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クミトさんの不思議な猫カフェにて  作者: 焼き焦がされたスルメ
コハクちゃんと不思議な半獣関係
15/16

14:忘れたころに、急にくる


「どうしたんです…?バタバタ聞こえてきましたけど…?」


「うぉあっ!!?クミトさっ…!?」


またしても、女子高生らしくない図太い驚き方をする私です。

いつの間にか後ろに立っていたクミトさんが

静かな声で話しかけてきたので…

しかも、いつもより少し低い声だったので

誰の声かわからなくて、ものすごくびっくりした。


「あ、クミト。ちょっと、まろんが

 うめちよさんの怒りの鉄槌をくらってて…」


くるみ君はやんわりとそう言った。

怒りの鉄槌って…まぁ、確かにそうだったけど。


「あー…そうなんですか。まろん君は、やんちゃですね…。」


そう言いながら、ふわ~っと見たことのない

微笑みを浮かべるクミトさん。


今日、なんだかおかしくないか…?


改めてクミトさんを見てみれば、いつもの

パッチリ二重はとても重そうですごく眠たそうに見える。

クミトさんはそのクマのある目をごしごしと、こすりながら

大きなあくびを一つ。



もしかして、寝ていたの?

営業中だよ、ね…?


しかも今日はなぜか、大きな藍色のふんわりした

リボンでたいして長くもない髪を縛っている。

今日は、本当にどうしたんだ。クミトさん?


「クミ、寝てたの~?ただでさえ今日は満月なのに~。

 徹夜なんてするもんじゃないよ~。」


「えっと、すいませんです…

 どうしても今日、コハクちゃんにあれ食べてほしくてですね…

 あれ、何度作ってもうまくできなくてですね…」


ぶつぶつと、言い訳をするように呟きました。

クミトさんかなり眠たいようです。


てか、あれって何…あれあれって何ですかっ。

とてつもなく気になるじゃないですか!!


「クミトさん、何を作っていたんです?」


私の声を聞いたクミトさんは急に、ぱちっと目を開けた。

そして何か黄色い粉がたくさんついたエプロンを

はたいてから私に向き直った。


「も、申し訳ないです!コハクちゃんが来ていたの

 知ってたんですけど…あれがあとちょっとで完成しそうだったので

 色々やっていたら、うたた寝してしまいまして…!!」


「あれ?あれって完成したんじゃなかったのぉ?」


「あれ、まだ作ってたんだ~…あれ簡単そうに見えるのにね~。」


あぁん、もうクミトさん焦らすのお上手!!

寝ていたことはもう見ればわかるから!


あんずちゃんもくるみ君も、一緒になってあれあれ言わないでよ!

あれあれ大パレードだよ!!


「ちょっと、コハクちゃん困ってるじゃない。

 あれが何か聞いてるんだから、教えてあげなさいよ。」


先ほどまでまろん君をしめあげていたうめちよさんが

間に入ってきて口をはさんだ。

あぁ、あの時はとっても恐ろしかったけど

こういうときはとっても頼りになる…!


「あ、あのですね。先日なつめさんから人間は

 人間界は満月の日にお月見、というものをやる、と聞いたんです。

 それでですね、わらび餅を作っていたんです!」


「わらび餅…!?

 そんなので徹夜したんですか、クミトさん!?」


「はい、とびっきりおいしいのを研究してたんです。

 なかなかこう、うますぎる!っていうできにならなくて…」


「味見とたくさんできたわらび餅は

 あんずたちがいっぱい食べたけどね~。」


「そ、そうだったんですか…でも、………」



そう人間ならばお気づきでしょう。

まず、今はお月見の時期ではないということ。

もう一つ、お月見の時に食べるのは団子である、ということ…



これは暴露するべきなのか、言わない方がいいものか…

いや、でもクミトさんの目の下のクマが物語るようにも、

徹夜までしたって言ってたし。

水を差してしまいそうで申し訳ない…


「もしかして、わらび餅お嫌いでしたか?」


あああ!そんなわかりやすい、しゅ~んとした顔しないで!!

ますます言いにくくなったではないか!!


「いいえ!わらび餅は好きです…けど…」


「けど…?」


あああ、けどなんて言ってしまったら

もうこの先言ってしまうしかないじゃないかっ。

ちらり、とクミトさんを見れば、私の隠し事が

とても心配なのか、まだしゅんとした表情で私を見つめている。


うっ…その表情を見てると、心が痛くなります!


あー!もう言ってしまえーっ!!



「お月見は春にやるものじゃ、ないんです…!

 あと、月見の時はお団子を食べます、月見団子!!」



シーン…



クミトさんがが凍りついたことは言うまでもない。



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