13:半獣だって大変だ
「ふんっ。」
そう言って、うめちよさんは方向転換。
すると、ずーっと同じ方向を走っていた
まろん君はうめちよさんに鉢合わせてしまって…
「う、うわわわわ!!」
まろん君はうめちよさんを蹴飛ばしそうに
なってしまったので、よけようとしたら
盛大にずっこけてしまいました。
幸い、もこもこの白いカーペットの上に
ずざーっと転んだので怪我はなさそう。
「うう、なんでまた急にこっち向いて…!」
でも、これはもう終わったな。
転んだまろん君にゆっくりと不敵な笑みを浮かべて
近づいてゆくヤクz…うっ、ごほんごほん。
うめちよさんはお怒りのようです、はい。
さて、まろん君。君に思い残すことはない…
私をもまきぞいにした深い罪も含めて
うめちよさんに雷を落とされるがよい!!!←
「ふっ…アタシに勝てると思ってたの?
甘いわね…さて、どうしてくれようかしら…♪」
こけた背中に座って、まろん君を見下すうめちよさん。
まろん君に関しては、その体制を1ミリも
崩すことなくぴっしりと固まったままだ。
彼の表情は見るまでもなく、絶望で歪んでいるだろう…
私たちはどうしても、助けられないので
(と、言うよりも皆助ける気がまっっったくない)
ただそれを傍観しているだけであった。
「まろんもお馬鹿さんだね。
うめちよさんに勝てる人なんて、多分いないよぉ。」
くるみ君が哀れむようにつぶやいた。
うめちよさん最強説については、あまり深く聞かないでおこうか。
あんずちゃんも、あきれたように呟く。
「この状況、猫の時とそうかわんないけどね~。
いつものことだし~。」
こんな風にまろん君がうめちよさんに
ちょっかいを出して、最終的には捕まってしまう…
これは日常茶飯事らしい。
そんならば、まろん君。学ぼうよ…
ふと、近くにいたくるみ君と踏みつぶされている
まろん君を交互に見比べる…
何しろ、初めて満月の日にカフェに来たとき
まろん君はどこかに行ってしまっていたので、
まろん君の人間の姿を見るのは初めてだった。
「さっきから思ってたんだけど、
まろん君、結構背が高いんだね。それにくるみ君と
違ってふんわりしてるけど、少し毛先がはねてるし。」
まろん君はくるみ君よりも少し
大きくてぴょんっとした髪型の無邪気な人間の姿である。
二人を見比べると、異なっている部分がよくわかる。
だけどさすがは双子、ちゃんと共通した
ほんわかとした可愛さがお互いにあるわけである。
「んー、猫の時は対して大きさは変わらないんだよね。」
むぅっとした顔をしながら不満そうにくるみ君は言う。
う~ん、それはなんでなんだろうか…?
半獣とか、魔力とか…
漫画の中の世界ではよくあったりするものが
こうやって本当にあったりすると、理解に苦しむなぁ…
本当にあるものに直面してる私もすごいと思うけど。
「それはまぁ、魔力が関係してるからなんだよね~。
まだちゃんと魔力は安定してないから
そういうの、いろんなところに影響があったりもするし~。」
「そうなの?」
理解に苦しむ、けど
こういう話は聞いていてものすごく楽しい。
だって、こんな動物が人間になるとか、
その事情とか、どうなってるとか…興味深い!
「…ちょっ、そんなこと、言ってないで、これを、どうにか、してっ……」
一人と二匹で平然とそう話していれば、
うめちよさんの尻尾で首をしめられ、猫パンチをくらっている
まろん君が苦しそうに床をバンバン叩いていた。
うわぁ、うめちよさん気合入ってるぅ。
「そんなの自業自得じゃんかぁ。いつものことだし、大丈夫でしょぉ。」
大丈夫でしょって!!
くるみ君はまろん君に吐く毒が半端じゃないね!?
こんなに可愛い子が吐く毒は、
ダメージがでかすぎると思う。
そんなことを考えているうちにまろん君はノックアウト。
撃沈である。
そして、うめちよさんはすっきりした顔をしていた…
それを眺めていた私は、今日も改めて新鮮で
ある意味でやばいことばかり起こったなぁ、なんて
ぽけーっと考えていた。
そしてやっぱり、彼がまだ来ていないことをすっかり忘れていた。
…ここにいると急展開なことが多すぎて、
物忘れが多くなっちゃうね。




