11:まろん、頑張る!
「も~、やめなって~。」
「魔力を変に使ったら、体調崩しちゃうわよっ。
安静にしてなさいっ。」
あんずちゃんとうめちよさんが説得するように
くるみ君に声をかける。
けれど、もう反応が返ってこないくらい
すごい必死に耐えているみたいで…
こんな猫の姿、見たことがないです。
「人間の姿でも、遊べるし、面白いじゃん…
前まで、普通に遊んでたのに…」
「そんなこと言ってるから、まだ甘ったれなんだろー…
オレは、猫として生きたいのっ…」
くるみ君がまろん君を切なげに見つめながら言った。
そんな、生き方まで決めてしまうほどなのか…
大げさじゃない、なんて思っていると…
「馬鹿ね、まだそんなの決めるの早いじゃないの。
まだまだまろんちゃんは未熟よ。魔力も、体も。」
うめちよさんまでもがさっきよりかは真剣に
話しかけていましたもので…
どうやら結構な本気の話だったり、する?
生き方ってそんなに真剣に考えるものなの…?
私の顔にその考えがでていたらしく、
それに気づいたうめちよさんが答える。
「半獣はね、成人すると魔力は決めた方に
傾くようになるから、成人するまでにだいたい
自分の生きる姿を決めるの。人間か、動物かって。」
そ、そうなんだ!そんなことがあるのか…!
じゃあ、それは結構重大な事ではないですかっ。
人間か、動物か…私だったら…う~ん、迷っちゃうけどなぁ。
まぁ、迷うことがないただの人間なんだけども…
「なるほど、なるほど!じゃ、うめちよさんは人間に
ならないんじゃなくて、なれないってことなの?」
「あー…そんな事はないのよね。
傾いた方じゃない方の魔力を急に使うと、
中途半端な姿になったり、体調を崩したり…。
まろんみたいにああやって、無理に使ったりしても
同じようなことなのよ。」
おおお、なんとわかりやすいうめちよ講座!
半獣事情も魔力も、すごく深いんだなぁ…
中途半端の姿って言うのが、すごく気になるけど。
…ってことは笑いごとじゃなく、
まろん君を楽な姿にしてあげないと危ないんじゃ…!?
そう思って、まろん君があんまり気にかけないような
言葉を探して呼びかけてみる。
「ま、まろん君!無理はしないで…!ほらっ、かるた!
一緒にかるたしようよー!」
「…うぅ、しないー!!」
し、しぶといなっ…
一瞬、顔のこわばりが緩んだ気もしたけれど
やっぱりまろん君の気は変わらないみたい…
「ほら~、コハクも心配してるじゃん~。
何を強がってるの~。」
「うぐぅ…」
あんずちゃんの説得にも応じず…!
まろん君なんかはまだ成人まで時間がたっぷりある年齢なんだし、
もうちょっと考えてもいいんじゃないのかなぁ…
すると、何かに耐え切れなくなったらしい
うめちよさんが、先ほどとは違う謎のオーラを
出しながらまろん君の前に近づいた。
「…若いくせに、なんなのよ。このやろう。」
「……。」
ついには、無言になってしまったくるみ君。
いや、うめちよさんが圧をかけているのか。
うん、そうにしか見えない。
うめちよさんの恨み恐るべs「おいこら、小娘。」
うぇぇぇ、怖い!なんでいつもいい感じに
心の声を聴いているのぉぉ!?
私がうめちよさんにおびえていると
次に前に出てきたのは…
「もう、いいからいいから。遊ぼうよ、ね?」
すっと、くるみ君が片手に持ってきているのは
みたらし君が遊んでいたふわふわ猫じゃらし。
それを、まろん君の鼻の前でくすぐるように
優しく振り続けて…?
「うっ…やめっ…くしゅっ!!!」
強張っていたまろん君の顔は、だんだんとくずれてゆき
最終的には可愛らしいくしゃみを一発かましました!
その瞬間、まろん君が爆発!?
ではなくて、よくあるへーんしんっ☆みたいな
もっくもくの煙がまろん君をおおってしまって。
すると、どうでしょう…
人間の姿になったまろん君は、さすがに猫用の小屋に
収まりきらなかったみたいである。
小屋から半身だけでた、人間の姿のまろん君がついに登場。
…あれ、人間の姿?
んん、人間っちゃ人間なんだけど…??




