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クミトさんの不思議な猫カフェにて  作者: 焼き焦がされたスルメ
コハクちゃんと不思議な放課後
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0:コハクちゃんの放課後にて

私には放課後、ちょっとした楽しみがある。

私は高校まで電車通学で帰りももちろん電車で帰るのだが、

その帰り道に少し寄り道をするのだ。


私の通う高校の最寄駅から電車に乗って、15分くらいかけて4駅ほど下ってゆく。

到着して、ドアが開く瞬間にふわっと鼻に届く優しい自然の香りがなんとも言えない。

と、いうのも4駅下ったこの場所はちょいと失礼かもしれないが

ドがつくほどの田舎で、歩いて人に会うのが珍しいくらいの場所なのだ。

こんな場所で楽しみがあるのか?もちろん!

田舎は田舎でも春には若葉であふれ、夏は青葉が生い茂り、秋は紅葉が美しく、

冬の景色なんかも最高な自然いっぱいの場所なのである。


そんな景色を写真におさめるのが私の楽しみのひとつである。

あ、部活には一応所属していて、写真におさめるっていうので

お察ししていただきたい。

そう、私はほぼ幽霊部員的存在のマイペースな写真部なんです。

ちなみに盛り上がりのある二年生になることができました。良かった…←


まぁ、それはさておき駅を後にして私の大事なカメラを片手に

景色を堪能しながら、待ち合わせの場所へと歩く。

5分ほど歩くと、駄菓子屋さんが見えてくるのだ。

前までは、ここでお菓子を買って駄菓子屋さんの前のベンチに座って、

鼻歌なんか歌いながら食べてたなぁ。

前までは、だけどね。

今ではそのベンチで待ち合わせ相手の彼が、

ぽかぽかの太陽の光をあびながら眠っているのだ。


「みたらし君、今日も待っててくれたんだね。」


私はベンチにまんまるくなって眠る彼に話しかけた。

彼は大きくあくびをしてから「うなぁ~ん」と、答えのびをする。


はい、ここで待ち合わせの彼なんて言って、

なんだ彼氏持ちかよ、リア充め!なんて思った人は大ハズレ。

彼氏なんていません、いたら一人でこんなとこ来ないよ…っ…馬鹿野郎っ…

ま、そんなことはどうでもいいの。どうでもいいの!!


それで彼、みたらし君はとっても大きなふわふわの三毛猫。

首にはかわいらしい音色の鈴がついた赤い首輪がついている。

いつも、みたらし君はここで私が来るのを待ってくれるのだ。


「じゃあ、行こうか。」


そう私が言うと、みたらし君はふりふりと尻尾を振って私より先に歩き出した。

向かうのは、私のもう一つの放課後の楽しみの

多分、人間は私以外誰も知らない、不思議なあの場所である。


「一人でも行けるから、いつも待っててくれなくても大丈夫なのに。」


「にゃあ~ん。」


二人(正確には一人と一匹)で、ゆるゆると歩きながらお互いに

なんとなく会話する。

みたらし君についていくと、

だんだん小さな木漏れ日が差す雑木林に入ってゆく。


この雑木林、ちょっと不思議でどんどん進んでくと

自分がいなくなるようなふわふわした感覚がするのだけど。

それはこの道が異世界?とかなんとか、

これから行く場所に繋がってる証拠らしい。

最初にここを通った時は驚いたなぁ…今はもう慣れっこなんだけどね!


さてさて、みたらし君のぷりけつ(笑)を追いかけると

ようやく見えてきましたぞ。

周りの木々も開けてくると、植えられた可愛らしいお花に囲まれた

綺麗に整えられた道がでてくる。

その先には、小さくてちょっとしゃれた二階建ての建物がある。


この建物、実はカフェ。

しかも、案内猫みたらし君も含めた猫がいっぱいいる猫カフェである。

本来ここは私の住む世界ではなく、異世界?で

人間は入れないのだけどなぜか私は入れてしまうのだ。

本当になぜか、わからないけど…

 

そんな考えを遮るかのように、風に吹かれた木々の優しい音色が

さわさわと歓迎するように揺れる。

先を見てみればまだか、とみたらし君はカフェのドアの前で待っていた。


「にゃ~う…」


「あ、今いくよ。ふふふ、そんなに急かさないでよ。」


少し早足でみたらし君の元に行くと早く開けて、というように

私の顔を見つめてくる。


「はいはい、今開けますよっと。」


ドアをゆっくりと開けた瞬間に、

みたらし君はささっと中に入ってしまった。

カランコロン、と私が来たことを知らせるチャイムが鳴れば

奥から何やら物音が聞こえてくる。


「ようこそ、マグロカフェへ!いらっしゃいませ、コハクちゃん。」


薄茶色のクセのある髪の毛の、二重でまん丸の目をした

ここの店主クミトさんが笑顔で迎えてくれる。


そう、ここは不思議な世界にあるマグロカフェ。

私のお気に入りの、大好きな心温まる優しい場所。



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