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AO 《アーティファクト・オーバードライブ》  作者: 天道
第1章 運命の召喚と契約編
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第4話 陰と陽の混沌

今回は天音の秘密についての話です。


かなり不幸な事になっています。

純白の鳳凰・白蓮と絆を結んだ俺は千歳達の元へ戻った。

「ただいまー」

「お帰り、天音!それから、ようこそ白蓮ちゃん!」

千歳は満面の笑みで白蓮を迎えた。

『天音、この人は誰だ?』

「こいつは俺の幼馴染みの……」

「私は天堂千歳、天音の妻よ」

「おいいいいっ!?またお前は何を言ってるんだ!?」

『天音の妻……?じゃあ、あなたの事は母上と呼ばせてもらいます』

「ええ、喜んで!」

「ちょっと待てぃ!白蓮よ、どうしてそうなった!?俺と千歳は結婚どころか付き合ってすらないぞ!?」

白蓮に千歳が妻という誤りをすり込まれ、だんだん追い込まれていく心境となっている。

すると、恭弥と悟空がポンと俺の肩に手を置いた。

「諦めろ、天音。それがお前の運命だ」

『良いじゃねえか、可愛いくて器量も良い女子が妻になってくれるなんて。もう今すぐ結婚しちゃえば?』

「恭弥、悟空……どうやら俺を怒らせたいみたいだなぁ……?」

霊力が再び吹き荒れ、鋭い眼差しで恭弥と悟空を睨みつける。

「やっべー、天音を怒らせちまった……」

『ふーむ。仙人でもない人間でこれだけの力を持つとは……中々の才を持ってるな』

「よし……逃げるか!」

『流石にさっきの退魔の剣を出されると元妖魔の俺でもキツイからな……うん、逃げよう』

恭弥と悟空はその場から逃げようとするが既に霊力で作った刀を担いだ俺はその後を追う。

「逃がすか!!!」

さっきから調子乗っている二人に対し、流石に俺も堪忍袋の尾が切れかけ、全力で二人を追いかける。

『何あれ?』

『知らん』

「気にしなくて良いよ。男子特有のじゃれ合いみたいなものだから」

そしてその光景を千歳達はのんびりと眺めているのだった。



追いかけっこで良い汗をかき、取り敢えず二人には俺の制裁の拳骨を頭に喰らわせた。

「いってぇ……」

『うぉお……この一撃、お師匠様を思い出す重い一撃だぜ……』

「あまり調子に乗るなよ、二人共」

「それは無理。千歳絡みで天音を弄るのが趣味になったから」

『なんか面白そうだからそれに便乗する』

「てめぇら……」

全く懲りてない二人に対し、今度はその頭に重い一撃を喰らわせるために巨大な剣を作り出そうとしたその時。

「はいはーい、そこまでよー」

「千歳……」

千歳が俺の腕に抱きついて二人の制裁を止めた。

「天音、あんまり怒ると幸せが逃げちゃうよ?」

「って言われても……」

「それにほら、柊先生からお話あるから聞こう」

「わ、わかった……」

千歳に腕を抱きつかれると慣れないためかドキドキしてしまう。

銀羅と遊んでいた白蓮は俺の頭に乗り、柊先生からの話を聞く。

「それでは本日の行事はこれで終わりです。皆さん、お疲れ様でした」

入学式から召喚の儀式までの全ての行事が終了し、これで終わりかとほっとする。

そして、最後にこの学園の卒業生である柊先生の言葉を受け取る。

「最後に皆さんに一言。今日から皆さんは相棒の聖獣と共に三年間、この学園で寝食を過ごします。初めての生活に楽しみと同時に不安があるかもしれません。ですが、この生活が皆さんを成長させ、聖獣との絆を強くします。一日一日を大切にして、より良い学園生活を過ごしてくださいね!」

それはこれから三年間、相棒の聖獣と共に未知なる学園生活を送る俺たちへのエールだった。

そのエールを聞いた俺や千歳を含む生徒達は興奮してしまい、これから始まる学園生活に想いを馳せるのだった。

その後、解散となった俺たちはそれぞれ自分の用事のために分かれていく。

「それじゃあ私、学園長……おじいちゃんのところに行ってくるねー!」

「ああ、行ってらっしゃい」

「ええっ!?学園長って千歳のじいちゃんなのか!?」

千歳は銀羅と共に星桜学園の学園長の元へ行き、恭弥はその事にビックリして目を皿のように丸くした。

この星桜学園の学園長・天堂厳武は千歳の母方の祖父なのだ。

俺は今日の入学式で見る前に一度、学園長に会った事がある。

千歳がアメリカに行き、小学校に上がった頃、学園長が直々に蓮宮神社に来たのだ。

学園長は病弱で友達がいなかった千歳と遊んだ俺に感謝していた。

その頃の俺は千歳に惚れていて、大好きな女の子のためになんとかしたい気持ちがあったから別に感謝される筋合いは無かったが、千歳がアメリカに行ってしまったショックで俺はただ頷くしかできなかった。

でもその千歳がこんな風に変わって帰った来るとは夢にも思わなかったけどな。

そして、恭弥と悟空だが、結構凄い事をこれからする事になる。

『俺はちょっくら天竺と連絡つけて、みんなにこれから恭弥の側にいるって伝えてくるわ』

「天竺か……やっべー、お釈迦様とかと話をすんのか?緊張するなぁ……」

『はっはっは!心配するな、恭弥は正しい心を持っているから大丈夫だよ!』

悟空のもう一つの名前である闘戦勝仏を授けた御仏。

釈迦如来……つまり、仏教の教祖であるブッタ様に会いに行くのだ。

神仏の最高クラスの釈迦如来に会いに行くのは神子としてとても凄いと思うし、羨ましいと思う。

「後で感想を聞かしてくれ」

「おう……んじゃあ行ってくるわ」

早速二人は天竺へ向かう事になり、悟空は空から金色の小さな雲を呼び出した。

あれは紛れも無い悟空の持つ仙術の一つ、一気に何千里も飛ぶ事ができる空飛ぶ雲、金斗雲だった。

でも確か金斗雲は生身の人間は乗れないはずだけど、どうするんだろう?

「これ、俺は乗れるのかな?」

『心配するな、こいつは人間が乗れるようにした特別製の金斗雲だ。さあ、乗りな』

「お、おう!」

悟空に促され、恭弥は金斗雲に乗るとフワッと浮き上がる。

『さぁて、明日の朝までには帰らないといけないからな……全速力で向かうぜ!』

「えっ?で、出来れば安全運転で……」

『それじゃあ、行ってくるぜー。金斗雲、発進!』

「ご、悟空!ま、待っーーうわぁあああああああああああっ!!?」

恭弥の淡い頼みは悟空の耳には届いておらず、悟空が操る金斗雲はあっという間に空へと飛翔し、小さくなって見えなくなった。

「さてと……俺たちは寮に行くか。白蓮、行こうか」

『うん』

雛の姿の白蓮は俺の頭に乗り、俺は学生寮に向けて歩く。

どうやら白蓮は頭に乗るのが気に入ったみたいだ。

星桜学園は全寮制の学校で一部屋に二人が住む事になっている。

ちなみに俺の部屋は人数が奇数だった為に一人だ。

一人なのはみんなに羨ましがられるが、正直なところ、今の俺の『体』の事を考えると一人の方が都合がいい。

すると、太陽が沈みかけて夕暮れ時なのを気付く。

「もう夕暮れか……」

『どうしたの?』

「……白蓮、お前に話さなければならない事がある」

『話さなければならない事?』

「俺の……体の秘密だよ」

『秘密?』

秘密にしておきたいが俺の体は普通とはかなり違う。

それは夕暮れ……太陽が隠れ、夜の世界になった瞬間から起き始める。

その前に早く学生寮の自分の部屋に向かわなければならない。

俺は出来るだけ早足で学生寮の部屋へ向かった。



side千歳


綺麗な銀色の毛皮を持つ九尾の妖狐・銀羅と共に星桜学園の学園長……私のおじいちゃんに久しぶりに会いに行き、食事とかお話をして、すっかり遅くなってしまった。

そしてやっと今日から寝泊りをする学生寮についた。

「さて……既に夜の十時近くです。今から天音と私の部屋に向かい、夜這いをしようと思います!」

私の学生寮の部屋は天音と同じ部屋となっている。

『……千歳、夜這いは男がするもんじゃないのか?』

「今では女の子が男の子に夜這いする時代なのです。銀羅は予定通り、白蓮ちゃんを連れて行ってね♪」

『まあ構わぬが……入学早々子供を作る気か?』

「出来たら良いけど……まあ、天音はまだ望んでないから、私と天音の結びを強くしたいの!一生天音が私から離れないようにね。うふふふふ……」

天音との甘々な時を想像し、危うくよだれを垂らしそうになった。

『……何時の世も女は怖いな。妲己の叔母上もそうだったが』

「ん?何か言った?」

今銀羅の口から聞いた事のある名前を言ったような……。

『いや別に。それよりも着いたぞ』

天音の部屋に到着し、ドアノブに手をかけるが案の定、鍵がかかっていた。

私はおじいちゃんに貰ったこの部屋の鍵を取り出して少し緊張しながら鍵を開ける。

「さあ、マイスイートダーリン!今日から私と甘い生活をーー」

驚いた天音の姿を想像しながら部屋に突入した瞬間、私の眼に映ったのは……。

「えっ……?」

部屋に備え付けてあるシャワーを浴びて出てきたばかりの天音……ではなく、初めて見る少女がいた。

髪は私のより長い腰の辺りまで伸びている黒髪ロングで、雪のように白い肌をしていて、誰もが見惚れるような美少女がいた。

しかし、ただの美少女じゃない。

何よりも視線が集中した部分はタオルで隠した胸だった。

胸は私よりも一回りも二回りも大きく、グラビアアイドルでもやっていけるぐらいの巨乳で、胸にはそこそこの自信がある私でも驚くほどだった。

「あ、あなた誰!?ここは天音の部屋よ!!」

私はホルスターからフォーチュンを抜いて構えるが、それよりも早くその美少女は私に近づいて手を握る。

「なっ……!?は、離して!」

「いいから、入って……銀羅も」

『え?あ、ああ……』

私と銀羅はその美少女に部屋に引きずり込まれ、ドアに鍵をかけた。

「あなた……本当に誰なの?」

敵意は感じられないけど、警戒してディスティニーに手をかける。

「わからない……?『俺』が誰なのか……?」

「俺……?えっ……?」

少し困ったように笑みを浮かべる美少女……その笑みに見覚えがあった。

幼い頃、体が弱くて外にも出られず部屋に閉じこもっていた私の心を照らしてくれた光……。

その光があったからこそ、生きたいと願い、長い年月をかけて力をつけ、今の私がある。

「天音……?」

「うん、そうだよ」

その美少女……天音は笑みを浮かべたまま小さく頷いた。

『馬鹿な……!?お前は男のはず、なのに何で……!?まさか、一人の人間の体に陰と陽の混沌の力が渦巻いているのか!?』

銀羅は目を見開いて驚き、よくわからない単語を並べている。

「えっと……とりあえず、全部話すからちょっと待っててくるか?流石にタオル一枚だと恥ずかしいし……」

少女……ではなく、天音はシャワーを浴びた後だからタオル一枚で、流石に恥ずかしいので私と銀羅はベッドに座って待った。

天音は寝巻きの浴衣を着て私の隣に座る。

浴衣を着た天音は凄い色っぽくて大きな胸の谷間とか、とにかくエロかった。

女の私でもドキドキするぐらいだから、もし私が男だったら確率ほぼ100パーセントで襲いかかっていただろう。

「俺がこんな体になったのは……これが原因なんだ」

天音は腕を見せると薄っすらと青色に輝く模様が現れた。

その模様は流動を描くような不思議な形をしていて、刺青みたいな感じに見えた。

「これって……刻印?魔術や呪術とかで体に浮かび上がる模様?」

刻印とは魔術や呪術などで何らかの効果が起きている時に体に現れる模様。

例を挙げるなら何らかの呪いや魔術の力が発動している時に体に不思議な模様が浮かび上がる。

「これは霊煌紋。古くから邪悪な存在から人々を守り続けてきた蓮宮の当主の証で、歴代当主の霊力と術が込められているんだ」

「蓮宮の継承の証……?でもそれが何で天音の体を?」

「分からない……先代は俺の叔父さんで、もちろん男だけど体が女体化はしなかったし、太陽が沈んだ夜の世界になるとこの体になるんだ」

「原因不明の女体化か……ああ、もう!こんな呪術的な知識は分からないよ〜!!」

「別に良いよ。今はこの体に慣れているから。でも……」

「でも?」

「幻滅しているだろ?せっかく会えた幼なじみがこんな変な体になっているんだから……」

天音はまた苦笑いを浮かべてだんだん表情が暗くなってくる。

そっか……天音はずっと苦しんでいたんだね。

男として生きてきたのに体がいきなり女の子の体になるなんて、よっぽどショックで立ち直るのにも時間がかかった。

「こんな体……気持ち悪いよな?お前が望んでいるのは、男の俺だし……」

そして、今日十年ぶりに幼なじみの私と再会して、その夜にこうして秘密がバレちゃうんだから……部屋に突撃した私が一番責任があるけど。

でも……。

「大丈夫だよ……」

だからと言って、私の天音への気持ちが変わることはない。

「えっ……?」

私は下を向いている天音の頬に手を添えてこちらに向けさせて……。







チュ。







可愛らしい音が鳴り、部屋は静寂に包まれた。

「……は?」

「あはは、やっぱり恥ずかしいな〜」

「……はぁっ!?」

天音は呆然とした表情から一転、眼を見開いて驚き、衝動的に私から遠ざかる。

「お、おま、今、キ、キスを……!?」

「うん、これが私の気持ち。どんな姿でも私は天音の事が好き、大好き、愛してるよ!」

私は天音への変わらない気持ちを伝えるためにキスをした。

キスと言っても唇が少し触れるだけのフレンチなキス。

アメリカにいた頃は大胆なディープなキスを何度も見かけた事があるけど、流石にそれをする勇気は無かった。

「あ、そうだ。今度昼間の男の子の時にもキスをしてあげるね」

「しなくていい!しなくて!」

「天音、顔真っ赤〜!」

「お前のせいだろ!?」

やっぱり女の子の体になっても天音は天音だ。

体は変わっても心は変わらない、それだけ分かれば今は充分。

後はじっくりと攻めて夫婦になれるよう攻略するのみ!

「ところで、どうやって入った?鍵をかけたのに……」

「おじいちゃんにこの部屋の鍵を貰いました。おじいちゃんの権力で今日からここが私の部屋なのです!」

「ちょっ!?学園長の力を借りたのか!?それは反則だろ!?」

「よろしくね、天音」

「いやいやいや、思春期の男女が同じ部屋で寝泊りはダメだろ!?」

「でも……天音、夜は女の子だから男女の過ちは起きないんじゃない?私が百合属性なら話は別だけど……」

「百合って……確か女同士の……」

「レズビアンってものだよ。アメリカには沢山いるけどね〜、その反対もしかりで。ちなみに向こうにいた時の女友達にもそっちの趣味の子がいて……」

「やめろ!生々しい!!」

「ところで白蓮ちゃんは……あ、いたいた。小さいから気付かなかったよ」

白蓮ちゃんは雛のように小さくなって天音が用意したであろう空箱で作ったベッドでスヤスヤと眠っていた。

『全く……仲のいい二人だな。私はもう寝させてもらう』

「あ、だったら一緒に寝よ?」

『私は構わぬ。こっちの寝床を使わせてもらう』

銀羅は窓側のベッドに横たわってリラックスして眠る。

「さて……私もシャワー浴びよー。天音も一緒に浴びる?」

「さり気なく誘っているけどお断りします」

「分かった、じゃあ今度天音が浴びている時に入るからね♪サービスサービス♪」

「いい加減にしろ!?アメリカで本当に何があったんだよ!?昔のお淑やかなちーちゃんを返せ!!」

「いやー、そう言われましても師匠の影響で……」

「師匠?ちくしょう、また師匠さんか!昔のちーちゃんを返せ!!」

天音はどうやら私の性格が変わりまくったせいで、特に影響がある師匠に向かって怒りを露わにした。

おかしいな……師匠はこっちから大胆に攻めていけば男は簡単に堕ちるって言ってたのになー。

まあ天音は少し特殊だから仕方ないか。

まだまだ時間は充分にあるから焦る事はない。

ゆっくりと一緒に歩いて、心を紡いでいけばそれで良いのだから。




本作の天音は昼は男、夜は女……二つの体を持っています。


みんなにバレたら即座にファンクラブができそうですね(笑)


黒髪ロングの巨乳ですからね、巫女服を着たら最高に似合いますので(爆)


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