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AO 《アーティファクト・オーバードライブ》  作者: 天道
第1章 運命の召喚と契約編
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第1話 運命の再会

少しめちゃくちゃだったアーティファクト・ギアを再編集した物語です。

無理なく書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。



俺にとって全ての始まりは再会と出会いだった。

それまで俺の人生の歯車は多分だけどゆっくりと動いていた。

しかし、その再会と出会いが重なる日に歯車が早く動き出した。

それが運命なのかどうかは分からない。

だけど、これだけは言える。

あの日の再会と出会い……それが、俺の待ち受ける戦いの運命の始まりだった。







平穏に過ごしたいのに、どうしてこうなったんだろう……?







それは何度考えても答えが見つからない疑問だった。



四月、それは始まりの季節であり俺にとっても大切な時期だ。

俺、蓮宮天音は先月中学を卒業し今日から高校生だ。

入学式とクラスの挨拶もそれとなく普通に終わり、今は桜並木でのんびりと過ごしていた。

「桜、綺麗だな……」

春の太陽の日差しが暖かく、ピンク色に映える桜の木々が祝福しているようだった。

「おう、天音。こんなところにいたのか?」

「恭弥……」

桜を眺めているとそこに俺の中学からの友達である栗色の髪をした少年、浅木恭弥が来て一緒に桜を眺める。

「本当にこの学園の桜は見事だな。流石は星桜学園(せいらがくえん)。名前に桜の文字は入ってないな」

星桜学園、それがこの学校の名前だ。

国家公認の国立の高等学校で、全国の八地方区分の八つの地方に一つずつ設立されており、日本に住む高校生は皆それぞれの学園に通っていて、俺たちのいるこの学園は関東地方にあるので『星桜学園・関東校』である。

小学校や中学校は全国に星の数ほどあるのに、何故高等学校が全国に八つしか無いのか、それには大きな理由がある。

「召喚の儀、楽しみだな~。天音はどんなのと契約したい?」

「俺は特にこだわりは無いな……家族として一緒に居てくれる奴なら誰でもいいさ」

召喚の儀……それは『聖獣』を召喚してパートナーにする儀式の事だ。

聖獣とは俺たち人間たちの住むこの世界とは全く異なる別世界の住人たちの事を指している。

その別世界は『聖霊界』と呼ばれ、そこには神・精霊・幻獣・魔物、果てには妖怪と呼ばれる人間とは全く異なる存在が暮らしている。それらを一纏めにし、聖なる存在として聖獣と呼ばれている。

古代より俺たち人間の祖先たちは聖霊界の聖獣たちとコンタクトを取っていた。そのため、聖獣の存在は俺たちにとっても身近なものとなっている。

少なくとも、俺や同年代の皆の家族は親が召喚した聖獣たちと暮らしている。

全ての始まりは俺が生まれるよりもかなり前である約100年も昔へと遡る。

姿や形と住む世界の違う人間と聖獣の距離をより縮め、二つの世界のお互いの友好を深めるために、その当時の人間界と聖霊界との代表同士の首脳会談で一つの法が決められた。

それが『人獣契約システム』である。

人獣契約システムとは人間の子供が十五歳になり、召喚魔法で聖霊界から聖獣を召喚し、契約の儀式を行うことで生涯共に過ごす『パートナー』となることが出来る。

基本的に召喚される聖獣は召喚した人間との契約を望むものが多い。

何故なら、人間に召喚され、契約をした聖獣は聖霊界にとって名誉な事だとされているからだ。

ちなみに、もし召喚された聖獣が人間との契約を望まなかったら、そのまま聖霊界の元の場所に送り返して、再度別の聖獣を召喚することが出来るので、聖獣本人の意思も尊重される。

その召喚と契約の儀を安全に執り行うためにこの星桜学園が誕生したのだ。

「俺は出来れば旅慣れた奴が良いな。将来は冒険家志望だし」

「冒険家ね……本当に夢がでかくて尊敬するよ」

「じゃあお前も冒険家の一員に――」

「俺は平穏な生活を望んでいるからお断りします」

「ちっ……」

恭弥は祖父や両親の影響から冒険家を目指していて、俺を冒険家の仲間にしようと企んでいるのだ。

でもあいにく俺は平穏な生活を望んでいるからそれを拒否しているんだけどね。

「さて、そろそろか……行こうか」

「おう」

桜並木を後にし、召喚と契約の儀が行われる場所へ向かおうとしたその時。







「天音……?」







高い声で名前を呼ばれ、振り向くとそこには星桜学園の女の子がいた。

その女の子は綺麗な黒いセミロングの髪と黒真珠のような眼をしていて、俺より少し背が小さく、一目で見たら大和撫子を連想しそうな感じだった。

そして女の子は重たそうに大きなキャリーバックと通学鞄を持っていた。

「どうして俺の名前を……?」

この子はどこかで見たような気がするけど思い出せない。

小学校や中学校では会ってないし、クラスメイトでもない。

女の子はギュッと胸元に手を当てながら俺を見て少しずつ近づいてくる。

あれ……黒髪に黒眼の女の子……?

そう言えば小学校に上がる前に……。

俺は幼いころの記憶を少しずつ蘇らせ、恐る恐る名前を呟いた。







「ちーちゃん……千歳……?」







千歳。

その名前を口にした瞬間、女の子の顔は輝くように笑顔になり、荷物を放り出して俺に抱き着いてきた。

「天音ぇえええええーーっ!!!」

「おわっ!?」

抱き着いてきたその子を抱き留め、倒れないように何とか踏ん張った。

「天音、天音~。会いたかったよ~!」

すりすりと頬ずりをし、これでもかと言うぐらいに俺に強く抱きついて体をより密着させる。

「いや、あの、ちーちゃん……じゃなくて、千歳?本当に千歳なのか!?」

「うん!千歳だよ!十年ぶりだね!元気だった?天音は相変わらず女の子みたいな綺麗な顔をしているね!!」

「顔の事は余計だ!?って、千歳ってこんな女の子だっけ!?もっとお淑やかな女の子だったよね!?三つ子の魂も百までじゃなかったのか!?」

女の子である千歳に抱き着かれ、歳不相応な大きな胸がかなり密接して当たり、心地よい香りが広がり色々と混乱してきた。

「天音……」

「きょ、恭弥!助け……」

恭弥はジト目で俺をにらみ、そして我関せずと言った感じでその場から立ち去り、こう言葉を残した。

「リア充爆発しろー。俺も彼女欲しいなあー。幸せになれよ馬鹿やろー」

「行かないでぇえええええ!!頼むから置いてかないでぇえええええ!!?」

恭弥から見放され、俺は思春期である自分の理性と葛藤しながら恭弥を引き留めるためにとにかく叫んだ。



再会した俺の幼なじみの千歳……本名は天堂千歳。

俺が小さい頃によく一緒にいたけど、小学校に上がる前に引っ越してしまった。

その理由やここにいる経緯を移動しながら千歳は説明し、それを恭弥が整理する。

「えっと、つまり……話を整理すると、この子は天音の幼なじみで生まれた頃から体が弱くて、小学校に上がる前に治療の為に両親と一緒にアメリカに渡米して、治療の末にここ数年で病気も治って普通の子と同じように生活できるようになったから日本に帰国して星桜学園に入学することになった」

「うん」

「でも、アメリカと日本の時差のズレや飛行機の遅れ、果てには道路の渋滞などが重なって入学式には間に合わず、召喚の儀を受ける為に目的の場所に向かっている途中で愛しの天音に再会した……って事で良いんだな?」

そっか……千歳はアメリカで頑張って病気を直したんだな。

アメリカは日本より医療が発達しているし、それで無事に普通の女の子として生活出来るようになったのか。

幼い頃の千歳の姿を思い出しながらしみじみとした気分になる。

「うんうん。そう言う事だよ、浅木君」

「恭弥で良いよ。にしても……天音の事、よっぽど好きなんだな……」

「もちろん!だって天音は私の旦那様になるんだから♪」

千歳はそう言うと歩きながら俺の右腕に抱きついてきた。

「ちょ、ちょっと待って!何で俺が千歳の!?」

「だって、婚約指輪くれたじゃない。ほら!」

そう言うと千歳は首からかけてあるチェーンのペンダントを俺に見せる。

ペンダントには大粒のガラスで出来た緑色の石がはめ込まれたおもちゃの指輪が通っていた。

「それ……おもちゃの指輪……?あっ!」

それは俺が昔千歳にあげた……。

「思い出した?小さい頃に天音がくれたんだよ?ちーちゃん、僕と結婚してお嫁さんになってくださいって。言いながらね♪」

そ、そうだった……幼い子供のませたと言うか羞恥心のない純真な心のせいで千歳にプロポーズをしていたんだった。

その頃の千歳は今と違って病気で体が弱っていたから性格まで弱々しくなっていて、一言で言うならお淑やかで守ってあげたくなる女の子だった。

だんだん思い出してきたが、幼い頃の俺はその頃の千歳に惚れていてプロポーズしてしまったのだ。

我ながら恥ずかしい限りだ。

でも……。

「ほう、すでに婚約済みか……よし、結婚式のご祝儀を用意してやる」

「ありがとう!恭弥、とってもいい人!流石は天音の親友!友人代表でスピーチをお願いしてもいい?」

「おう、任せておけ」

どうしてこうなった……?

俺が惚れたお淑やかな千歳の見る影も形は無く、今時な感じの元気ハツラツな女の子になってしまった。

「用意しなくていい!任されなくていい!それより、まだそんなおもちゃをまだ持っていたなんて……しかも約束を覚えているなんて……」

そんな昔の約束を覚えていることに驚いていると、千歳は真っ直ぐ俺を見つめて口を開いた。

「覚えているわ。だって……天音は私の大切な幼なじみで、初恋の人だもん。初恋の人にプロポーズされたら嬉しいもん。この指輪がアメリカでの私の支えになってくれた……」

「千歳……」

「だから、天音。私はあなたが好き、大好き、愛してる!この気持ちは誰にも負けないわ!絶対に天音と結婚して、子供をいっぱい作って、幸せな生活を送るんだから!!」

今時こんなにもストレートな愛情表現の言葉を並べる女の子はいないだろう。

だからこそ、その言葉は俺の心に突き刺さり、体が熱くなって顔が赤くなるのを感じた。

「ははっ、こりゃあ相当なベタ惚れだな。天音の顔が真っ赤だ」

「う、うるさい、恭弥!!お、俺はまだ学生だ!!結婚なんてまだ早いし……」

「まだ?じゃあ卒業すれば結婚してもいいって事だな?」

恭弥は俺の発言にニヤニヤとムカつく笑みを浮かべた。

「えっ!?そうなの!?」

「ばっ!?何を言って……」

「わかった!じゃあ、三年後に結婚式を挙げようね!」

「三年後か……今からスピーチと催し物も考えとくか」

「頼りにしているよ、恭弥!」

「任せとけ、千歳姫。天音の親友として最高の結婚式にしてやるぜ!」

「ありがとう!サンキュー!」

「お前らいい加減にしろぉおおおおおーっ!!!」

勝手にどんどん話を進めて俺の将来を決めていく千歳と恭弥に俺は空に向かって大きく叫んだ。




.

AGとは違い、天音と千歳は幼いころに離れ離れになっています。

千歳の天音LOVEは相変わらずですがwww

ちなみに、天音はAGとは若干性格が異なるのでそこのところは了承しておいてくれると幸いです。

感想よろしくお願いします。

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