第三十五話 レオのご飯。
「明人さーん!」
「!!レオさんじゃあないですか!」
(メモリーカード使ってる!)
レオは、即座に状況を理解し、それから
「近くに空き屋がありましたので、そこまでみんなを・・・。」
「わかりました。」
明人は、脇に実古を、背中に百合花をおぶった。
「レオさんは、優をたのみます。」
「あぁ・・・はい。空き屋に、伊奈さんが待機してますんで。」
てこてこ道をあるいていると、レオがいきなり話し出した。
「姉は・・・、中学校三年生の時他界しました。私たち一族は、もとから
地獄へ落ち、大王を継ぐと決まっているそうです。」
「・・・。」
「地獄で家族四人で仲良く暮らしていたのですが、父が大王の座を、
僕か姉に譲ると言い出してから姉はおかしくなったのです。
そして・・・、」
すると明人が、
「家出ですか?家出ですか?」
と言い出したので、レオはおかしくなって、笑ってしまいました。
「ははっ違いますよ、とうとう今の状況に至ってしまったのですよ。」
「レオさん・・・お姉さんの事・・・。」
するとレオは明人に笑顔をむけ、
「いいんですよ、天国で元気にやってくれてれば。明人さん、ありがとうございました。」
レオがはっと気づき、
「そういえば、明人さんメモリーカード抜かないんですね。」
「あぁ、今抜いたら倒れちゃいますからね。」
ふふっと笑った明人をレオは心配そうにみつめる。
「あ、ここです。」
レオが指差したのは一階建ての家でした。
かちゃ。
「あ、明人くん、レオくん!」
玄関で伊奈さんが出迎えてくれた。
「はは、伊奈さん、こんにちは。」
すたすたと中へ行ってしまった明人をみて、伊奈は
「!?レオくん」
ビックリしているようだ。いつもと性格ちがうから・・・。
「メモリカードだよ。」
「あぁ。」
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百合花、実古、優の治療が終わって、皆を和室に寝かした後、
「明人君、治療しますよ。」
「いいえ、結構です。それより皆の様子を見てきますね。」
ばたん。
和室のドアを閉め、中へ入っていった。
「あ・・・。」
レオが止めようとしたが、遅かった。
「レオ君、明人君は軽症なの?」
伊奈が、心配そうにきく。
「いや、一番重症だよ。頭やられてるし。」
レオは、夕飯の仕度をしようと包丁をにぎる。
「今日は、僕がご飯つくります。」
天使のようにニッコリ微笑んだが、伊奈には悪魔にみえた。
「駄目ええぇええぇええぇぇぇ!!!!」
(レオ君にご飯をたのむと、テロ行為になる!!)
「なんで?いや?」
レオはそんな事は知らない。
「いや・・・お願いします。」
笑顔に負けた瞬間だった。
〜キャラの伝言板〜
作者「伊奈さん、レオのごはんってどんなのですか?」
証人I「はい、前にてんとう虫が入ってました。」
《プライバシーの為、音声は変えてあります。》
明人「さっき、伊奈さんって言ったよね!?プライバシーってなに!!?」
作者「いいじゃん。」
証人I「では、さようなら。」
明人「最後まで!!?」