女湯という名の桃源郷
今日、電車で女の子がこれを読んでるのを目撃してしまった・・・
俺は武器屋を出た後、鞘に付けられた金具をショートパンツに固定し、いつでも刀を抜けるようにして歩いていた。
予想以上に武器屋巡りに時間が掛かってしまったので、そろそろ日が沈む時間だ。
空室のある宿屋を探す為に薄暗い夜道を駆けずり回るのは嫌なので、早めに部屋を確保した方が良いだろう。
俺はサラの記憶にある宿屋の中から、値段と設備、ここからの距離などを考慮した結果、とある宿屋へと行くことを決めた。
「今夜泊めて貰いたいんだけど、部屋はまだ空いてるかしら?」
「はい、ちょうど1人部屋の最後の1つが残ってますよ。食事代は別料金で一泊35Gですけど、良いですか?」
「じゃー、とりあえず3日ほどお願い」
助かった。どーやらここではLUC1は発動しなかったようだ。
俺は銀貨1枚と銅貨5枚をサラと同い年くらいの宿屋の娘に手渡した。
「ありがとうございます。それでは、こちらの台帳にお名前を記入して下さい」
「わかったわ」
俺は宿の台帳にナギサと記入し、少女から部屋の鍵を受け取った。
「ナギサさんのお部屋は3階の5号室です。お食事をされる場合は是非ウチをご利用下さい。宿泊客の方の場合、通常料金よりもちょっとだけ安くなりますので。それと、お風呂は地下1階になります。入浴時間は18時から22時までです。また、男湯と女湯では地下への階段が別になっているので、間違えないように気を付けて下さいね?」
「えぇ、気を付けるわ(間違って『男湯』に入らないようにだがな?w)」
俺は少女に礼を言って、階段を上って行った。
「うぉー!一週間振りのベッドだぁー!」
部屋に入った瞬間、俺は思わずベッドにダイブしてしまった。
でも、これくらいは仕方がないだろう?
今までずっと森の中(しかも木の枝の上)での野宿生活だったのだから・・・
ベッドの品質は値段相応であり、お世辞にも高級ベッドとは言い難いが、地面や木の枝に比べたら天地の差なので問題無い!
入浴時間の18時までもう少し時間があるので、それまでベッドの上でダラダラすることにしよう。
「・・・さて、そろそろ時間だな」
俺は壁に掛けられた時計(機械仕掛けではなく、魔法で動いてるらしい)が18時を指したのを見計らい、換えの下着をタオルで包み込んで人目から隠しつつ、風呂場に向かって行った。
「こちらス○ーク、女湯の潜入に成功した。大佐、指示をくれ!」
女の子の脱衣シーンを生で拝めるぜ、ひゃっほう!と期待していたのだが、どーやらちょっと早く来過ぎたようだ。
仕方がないので、誰もいないのを良いことに暇潰しがてら1人ス○ークごっこをして遊んでみましたw
ちなみに、この世界にはダンボールなんてないので木箱で代用です。
さてと、いくら今の俺が女の姿をしているとは言っても、こんなところを誰かに見られたら白い目で見られることは確実なので、そろそろ出ることにしよう。
俺は徐に立ち上がって木箱を引っぺがした。
正にその瞬間、浴室の扉を開いて先ほど会った少女がTシャツにショートパンツというラフな格好で出て来たところだった。
「えっと・・・先ほどお会いしたナギサさんですよね?・・・何をしてるんですか?」
少女は裏返した木箱の中から突然出て来た俺を見て、目を丸くしている。
「・・・か、かくれんぼ?」
「は、はぁ・・・?」
自分で言うのも何だが、この歳でかくれんぼは無いわ・・・
案の定、少女は首を傾げて困惑している。
「も、もうお風呂には入れるのよね?」
「あ、はい。どうぞごゆっく・・・り?」
俺は急いで服を脱ぎ、少女の言葉が言い終わらないうちに、タオルを片手にダッシュで浴室に逃げ込んだ。
「ぐわぁー、やってしまった!この後どんな顔をしてあの子に会えば良いというのだ・・・」
これもLUC1の影響だったりするのだろうか?
運良く宿を確保出来たからって、完全に油断していた。
これは何としても、早急に改善しなければ迂闊なことも出来ないじゃないか!
そもそもやるなよ!とかいう意見は却下である。
折角の第2の人生、面白おかしく生きなければ損という物だ。
俺は少女にする言い訳を考えつつ、他の子がお風呂に入って来るのを待つことにした。
「桃源郷という言葉は女湯にこそ相応しい!」
本来の意味とはかけ離れまくっているが、ただ『桃』と言いたかっただけなので、本来の意味とかは別にどーでも良い。
現在俺の目の前には、女湯という名の木に大小多数の『桃尻』が生っている。
他にもメロンやスイカ、チェリーがいっぱいだ!
偶にリンゴやミカンも見掛けるが、それはそれで乙な物である。
俺はつい夢中になって、メシも食わずに22時までずーっと入り続けてしまった。
お陰でもうフラフラだ。
メシは食い損ねたが、悔いはない!
この宿屋のお風呂は宿泊客以外にも開放されており、誰でも1回3Gで利用出来る(宿泊客は無料)為、周囲に住んでいる若い女性たちが結構来るようだ。
勿論、偶に恰幅の良いおばさんも入って来たが、そこはフィルターを掛けて見ないように勤めた。
「くっ・・・流石に4時間も入り続けるのは無理があったか」
どーやら完全にのぼせてしまったようだ。
俺はふらつく体を押さえながら、どうにか壁伝いに歩いて浴室を出、パンツを履こうと片足を上げた瞬間バランスを崩してしまった。
あっヤバイ!このままだと顔面を殴打してしまう。と冷静に分析しつつも、体がまともに動かないこともまた理解していた。
「キャッ!」
・・・なんか耳元で女の子の悲鳴が聞こえたような?
「ちょっと大丈夫ですか?ってナギサさん?見ないと思ったら、あれからずっとお風呂に入ってたんですか?」
駄目だ。頭がフラフラして何も考えられない。
パト○ッシュ、僕もう疲れたよ・・・
俺はちょっと休んでから出て行くことにして目を瞑った。
「ちょ、ナギサさん?起きて下さいってば!こんなとこで寝たら風邪ひいちゃいますよ?」
何だが体が揺れている気がするが、もしかして地震だろうか?
だがしかし、俺の眠りを妨げることは何人たりとも罷りならん!
俺は断固とした決意を以ってこのまま眠ることにした。
・・・瞼を透過して来る光が眩しい。
もしかして朝まで眠っていたのだろうか?
宿屋の人に迷惑を掛けてしまったかもしれない。
後で謝っておくとしよう。
「・・・おはようございます、ナギサさん」
・・・あれ?
耳元から女の子の声が聞こえたような?
目覚まし時計のアラームだろうか?
名指しで起こしてくれるなんて、こっちの世界の目覚まし時計は随分と高性能なようだ。
・・・って待て待て、俺は脱衣所で眠っていた筈なので、目覚まし時計なんてこの場にある筈がない。
俺はゆっくりと目を開くと、ほんの数cm先に女の子の顔が横たわっていたのだった。
「おはようございます、ナギサさん。昨晩は良くお休みになられたようで何よりです」
どーやら先程の声は目覚ましのアラームではなく、この女の子の声だったようだ。
ところで、若干不機嫌そうな声な気がするんだけど、俺の気のせいだよね?
「・・・目が覚めたのなら、そろそろ離してくれませんか?」
「えっ?話すって、何を知りたいの?」
「そっちの話すではありません!昨晩からずっと抱き枕代わりに抱き締め続けている私の体を離して下さいと言ってるんです!」
とうとう女の子がブチ切れた。
「キャッ!」
俺はその怒声にビックリして完全に目を覚まし、ベッドから飛び退いた。
寝起きには少々辛いが、そのお陰で漸く状況が飲み込めて来た。
まず始めに、ここは浴室の脱衣所ではない。
加えて宿屋の客室でもないようだ。
ここの客室の備品はベッドの他には小さなテーブルとイスくらいしかなかったが、ここには色々な物が置いてある。
実際に見たことはないけど、なんとなく女の子の部屋って感じがする。
俺は恐る恐るベッドに目を向けると、顔を真っ赤にしながら完全におっぱいの上にずり上がってしまっているブラを引き下ろし、太ももまで脱げていたパンツをたくし上げている少女の姿が飛び込んで来た。
・・・・・・・・・俺は昨夜何を仕出かしてしまったんだ?
エタっておいて恐縮ですが、またもや新作に手を出してしまいました。
http://ncode.syosetu.com/n7582bo/
今度は超能力学園物です。
よろしければ読んでみて下さい。