表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
掌の悪魔  作者: 土竜会
4/22

勇敢と無謀 2

案内されるまま、僕はその場所へと向かった。


周りの人たちからは僕の姿は見えていないらしい


「ちょっと暗示をかけておきましたよ。今のままじゃあ行動が制限されますからね」


どうやらベルゼブブの力らしい、一秒でも時間がほしいこの瞬間にはありがたい


その場所へと必死に走る


息が切れる


そんなことは関係ない!今は自分の体なんてどうだっていい


「そうそう、アナタでは他人行儀ですので、これからはシュウさんと呼ばせてもらいますよ?」


今そんなことを言っている場合ではないような気がするが、とりあえずベルゼブブの提案を了承する


「ではシュウさん、見えてきましたよ」


ここは・・・


僕の目の前にはあの解体中のビルが広がっていた。


ここに妹がいる・・・深呼吸をして気持ちを落ち着ける


おそらくここに入れば僕はもう戻れない・・・


覚悟はできているのか?左手の悪魔は僕に訴える


あぁ、とっくに出来ている。あの女性にあった日から僕の運命はきまっていたんだ。


自分でも不思議なくらい落ち着いた気持ちで、僕はビルへとはいって行った・・・



『おや、宿主来たようだぞ』


奥に見える人影は二つ、一人はおそらく今日見たあの男だろう


「よくここがわかったな、どうだったお前の両親は?なかなか見事だっただろう?」


暗闇で表情は見えないが、明らかに楽しんでいる。


ふざけるな!!


僕の妹はどこだ!!


「あぁ、あの子か  ここにいるぞ。ほらお兄ちゃんが来たぞ」


男が何かを投げた。そこにはボロ雑巾のようにボロボロにされた妹の姿があった。


「お・・・にい・・・ちゃん」


生きている・・・生きていた。それだけで心が少し軽くなる。


『なぁ、宿主。思ったよりも早くココに来た褒美にこの子を返してやってはどうだ?』


もう一つの人影が男に話かける


「そうだな・・・いいだろう、ほら行くがいい」


男は妹を縛っていた縄を切ると、僕の元へ帰れと促した。


妹は走って向かってくる。


あと数メートル


やっと手が届く


「!!」


鈍い音がしたと思うとまるでスローモーションのように目の前で妹は倒れていった。


『ハッ、ハハハハハハ!!返すわけ無いだろう?良い顔だ、絶望に染まったその顔』


妹の背中に手斧を突き立てた男は帽子を脱ぎ、妹の血で帽子を染めている


ゆるせない・・・許せない許せない許せない許せない許せない!!!


激しい感情が僕を包む


怒り、憎しみ、悲しみ、無力感色々な感情が入り混じって絡まりあう。


目の前には人形のように倒れた哀れな妹の姿がある。


左手が疼く、ベルゼブブに僕の感情が流れ込んでいくことが分かる。


「ん?・・・まさか・・・お前も悪魔を?」


明らかな状況の変化に男はレッドキャップを手元に戻した。


『何故だ?宿主、まだ帽子を染めてしないのに』


レッドキャップは残念そうに鮮血で染まった帽子をかぶる


「あいつも俺と同じようだ。なに、最後にあいつの血で染めればいいだろう?」


彼らが身構えているのがわかる。


次の瞬間、赤い帽子の悪魔レッドキャップは僕の首めがけて飛びかかってきた。


「思ったより私を具現化するまで時間がかかりましたね、シュウさん」


左手からそれは現れた。


中性的な顔立ち、華奢な体、しかしその体からは周りの景色が歪むような禍々しい力であふれている


目の前に冥界の貴公子と呼ばれるほどの悪魔が現れた。


「な、なんだあの悪魔は?レッドキャップ!!何者だ?あいつは」


明らかな格の違いに男もレッドキャップも後ずさりしている。


しかし、2人の周りには無数の蠅が飛び回っている


それは既に彼らには逃げ道が無いことを暗示していた・・・


「さぁ、レッドキャップよ敗北した者は消える決まりですよ」


ベルゼブブは笑いながらレッドキャップに向かって歩いていく


まるで蛇に睨まれた蛙だ。身動き一つできない哀れな悪魔に、ベルゼブブはゆっくりと手を伸ばす


『何故ですか?あああ彼方様は人間ごときに呼び出されるわわわ訳が・・・訳が・・・』


彼の会話はそれまでだった。無数の蠅に集られた瞬間、ボロボロとレッドキャップの体は崩れていった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ