勇敢と無謀
結局その日は眠れなかった、今のところ体に変化は無い。
彼女の言っていた『左手』が教えてくれるとはどんな意味なんだろう?
だめだ、深く考えても分からない。もうすぐ学校に行く時間だ、急いだ準備しなくては・・・
何事もなく、授業が終わり僕はバイトへと向かった。
「ーーーーーー]
何の音だ?
あちらの方から聞こえる。その場所は解体中のビルがある場所だ・・・
なんでだろう、その場所に用はないのに体が勝手にそこへ向かう
まるで吸い寄せられるかのように僕は奥へ奥へと進んでいった・・・
!!何かやわらかいモノを踏んだ。そこを住処にしている動物でも踏んだのだろうか>
・・・違う!!これは・・・人間だ! いや、人間であったものと言うべきか・・・
既に事切れた女性の死体が転がっている。
「そこに・・・誰かいるのか?」
気付かれた!!咄嗟に物陰に姿を隠す
「レッドキャップ、他の人間の気配はするか?」
暗闇でよくは見えないが何やら左手に何かを話している。
左手に?・・・なぜ左手に話すんだ?
「ん?なんだこれは・・・」
しまった!!いきなりだった為手に持っていたバッグを置いたままにしてしまった。
『・・・誰かは知らんが見られたようだな・・・どうする宿主』
「そうだな に、しよう」
最後の言葉が聞き取れなかった。男はバッグをその場に置いて闇の中へ消えていった。
助かった・・・。僕の頭の中にその言葉が流れる。
しかし、あまりこの場所に居ることは危ないかもしれない。急いでバイトへ向かうとしよう。
バイトが終わり時計を確認する。11:00そろそろ帰らないと危ないな。
先ほど見た光景であまり仕事に力が入らなかったが、仕方がない・・・とにかく帰ろう
家についたが妙な光景が広がっていた。沢山の人が僕の家を取り囲んでいる。
その中の一人、隣に住んでいるおばさんが僕を見るなり駆け寄ってきた。
「修君、無事だったんだね」
無事?ボロボロと涙を流しているおばさんに訳を聞いた。
「落ち着いて聞いてね、修君の家で殺人が起きたのよ・・・警察が話すにはだれも原形を留めて無いほど無残に・・・うぅぅぅ」
・・・そんな・・・
僕は警察が止めるのも聞かずに家に入った。何人も警官が居たが家の中は真っ赤に染まり、所々に肉片が飛び散っている。かろうじて広間で死んでいたのは父親と母親だとわかる。
「キミはこの家の子供か?これ以上見ない方がいい」
茫然としている僕を警官が外へ連れ出した。
『あ~あ、あの時アナタがあの男を殺しておけばこんな事にはならなかったのにね』
!!左手から声がする。 左手の声は、話を続ける
『あの男が言っていたでしょう?皆殺しにしようって』
どうやらこの声は僕にしか聞こえないらしい。これが少女の言っていた悪魔なのだろうか
だったら何故あの時の男の会話を教えてくれなかったんだ!!あの時聞き逃していなければ、何とかなったかもしれないのに
『アナタが聞かなかったからでしょう?でも急がなくていいの?この家で殺されたのは2人ですよ』
2人?・・・僕の家族構成は4人。両親と僕と妹・・・妹は生きている!!
『妹を助けたいですか?手伝ってあげてもいいですよ?』
一瞬戸惑いを感じたがなりふり構っていられない。何としても妹を助けなければ
『じゃあ契約成立ですね。そうそう私の名前はバアル・ゼブル、アナタ達の中ではベルゼブブって呼ばれてる存在ですよ』
どんな悪魔であろうと関係ない。まだ生きているのならすぐにでも向かわないといけない。
妹はいつ殺されてもおかしくないのだ。
『では、蠅たちに調べさせましょう。な~に、すぐに見つかりますよ』
左手から表情は見えないがベルゼブブは楽しそうだ。
そうこの瞬間から、僕はあちら側に足を踏み入れたんだ・・・




