悪魔の誘惑
その日の朝、ニュースでは騒がしい事になっていた。
中東和平が破棄されたようだ。
原因は、中東にあるブロックの現在はエシュルンと名乗っている国が、世界政府の象徴として
神殿を再建すると言いだしたのだ。
ちなみにその場所は三つの宗教の聖地でもある。
反発は当然だろう。
また世界は荒れるのだろうか?
「何をしてるんです修さん、今日の夜ですよ」
そうだ、今日は蓮華との約束の日、
彼女とわかりあえるか、あるいは・・・
その時、聞こえないふりをしていたが、ベルゼブブはこう呟いていた。
(世界が動き始めた)
その時は、今の僕には何の事かわからなかった。
夜、僕は始まりの場所に立っている
少し待った。5分、いや10分くらいか
「お待たせ」
後ろから声がする。
息が詰まる。
汗が止まらない。
手が震える。
このまま心臓が握りつぶされそうだ。
「ここじゃ狭いね、その先の公園へ行こ」
足元に闇が広がる
次に意識がハッキリした時、僕は公園のベンチに座っていた。
「ここならゆっくり話が出来るね」
足元に闇を纏い、月に照らされた蓮華はとても幻想的で綺麗だった。
「修君、私と一緒に全部壊しちゃおうよ」
子供の様に僕の目の前で笑いながら彼女は告げる。
・・・わかっている
でも、彼女に聞いてみた
なぜ世界を壊そうとするのかを。
蓮華は少し困ったような顔で僕を見る。
「私はね、きっと生まれちゃいけなかったんだ~、だからパパもママも私を嫌いだったんだよ」
僕を見ている彼女の眼は悲しみに満ちていた。
「でも、私は2人が好きだったよ。今は動かないでずっと私を待ってくれてる」
彼女の掲げた左手から映像が映る。
そこには瞬きひとつせず、ピクリとも動かない老夫婦の姿があった。
「修君も私と一緒に行けないのなら・・・」
黒い塊が蓮華の左手に収縮する
マズイ!!
咄嗟にベンチから離れる
「人形にしてあげるね」
やわらかい笑みを浮かべたまま左手を握った。
ベンチはズタズタに引き裂かれていた・・・




