無慈悲な鮮血
この日僕は久しぶりに学校に登校した。
色々な事をクラスメイトから質問される。
だめだ、
たたきつぶしてしまいたいほどのこの感情。
好奇心だけでの質問。
あの時のマスコミと何も変わらない。
ひどい話、僕の感情次第でこの人間たちはおそらくその命を失うだろう。
あらためて左手を見る。
周りにはわからないように左手には包帯を巻いている。
これが余計物議を醸し出しているようだ。
~昼休み~
今の状態であまり人と関わりたくは無い。
一息つく。
購買で買ったコロッケパンに食らいつく。
周りにはちらほら生徒がいるが、僕には関係ないようだ。
『お久しぶり。可愛い人』
背筋が冷たくなるのを感じる。
ありえない。
僕はフェンスに腰かけている。
その後ろは壁も何もない。
『オラクルとの対話は終わったのね』
話は続く、振り返る事が出来ない。
僕の中の何かが激しく警告する。
(振り返ってはならない)
『ねぇ、アナタはどの道を選んだの?』
僕の首に細い指がかかる。
冷たく、今にも壊れそうな指が官能的に僕の体を触れていく。
『クスッ』
笑い声が聞こえた、次の瞬間彼女は目の前に現れた。
年はおそらく僕より上、黒髪の令嬢は鳶色の目で僕を見つめていた。
「自己紹介がまだだったね、私は音羽 蓮華。アナタの名前は聞いてるわ修君」
動けない・・・彼女は淡々と話しているが、僕の近くに居る他の生徒は彼女の存在すら気がついてはいないのだ。
「ねぇ、おしえて?アナタは生かす道を、それとも崩壊の道のどちらを選んだの?」
興味だけで聞いているようには思えない。
改めて彼女、いや蓮華を見る。
オラクルの時も思ったが、彼女はまるで彫刻のようだ。
むしろその美が何かしらの恐怖をあおっているような気がする。
〈完璧すぎる美〉・・・それは生きている人間の様な感じがしないのだ。
蓮華は不思議そうな顔で僕を見ている。
「どうしたの?どこか痛いの?」
変な感じがした。
異常なほどの妖艶な表情と、今の子供の様な表情。
一体本当の蓮華はどっちなんだろう?
「そっか、私とは違うんだね。修君は生かす道を選んだんだ。」
残念そうな顔で僕を見る。
いや、僕は何も言っていない。
何をもって判断したんだ?
「修君は好みだから、きっと私と同じで人なんかいらないと思ってたのになぁ~」
残念そうな表情をして蓮華は僕に近づいて来た。
「でもいいよ?きっと私と同じようになってくれると信じてるから」
唇にやわらかい感触が伝わる。
咄嗟の事で何が何だかわからない。
頭の中が真っ白だ。
蓮華はスローモーションのようにゆっくり離れた。
そして、何かを悟ったように笑った。
「そっか、修君にはまだ繋がりがあるから私の様になれないんだね?」
繋がり?
「じゃあ、私がその繋がりを断ち切ってあげる」
蓮華が左手を空に掲げた瞬間、この学校に凄まじい悲鳴が広がった・・・




