無知からの脱却
この日は日曜日。
明日からは学校へ行かなければならない。
事件の後、約一週間休んでいたがそろそろ登校しないと授業に追いつけない。
そうだ、今日のうちにベルゼブブに聞きたい事を聞いておこう。
『私の・・・性別ですか?』
微妙に気になっていた。
話ではベルゼブブは男ではあるが、どうも中性的でどちらかわからない。
はっきり言って、女性だったら一緒の部屋で着替えるのは恥ずかしい!
『はぁ~、くだらない質問ですね。』
蠅の姿で僕の目の前を飛んでいたベルゼブブは人の姿へとなった。
『そもそも私たちは性別というものは無いんですよ?まぁ希望があればその姿へとなれますがね』
目の前でころころと性別を変える。
少し思う。きつくないのかなぁ~。
『まぁ気にしないことですよ。私の性別よりも大切な事があるでしょう?』
その通りではあるが、気持ち的にはすっきりした。
それと、もうひとつベルゼブブに言いたいことがある。
『?なんです?』
怪訝そうな顔で僕を見ている。
ありがとう。
これだけは伝えておかないと。
この悪魔のおかげできっと僕は今生きてはいないだろう。
そして、これから先も宜しくと伝える。
『・・・あ、いや・・・待って下さい。』
・・・もしかして照れてる?
『いや、まさか人間にここまで感謝されるなんて思ってもみなかったので』
少し恥ずかしそうに笑っている。
その表情だけ見ると、とても悪魔とは思えない。
ベルゼブブが近づいてくる。
そしてゆっくりと右手を差し出した。
『貴方達の世界ではこれが信頼の証なんでしょう?私がこんなことをするのはおかしいですか?』
おかしいなんて事は無い。
いかに悪魔であろうとも、僕はベルゼブブを信用する。いや、信頼する!
『悪魔を最後まで信用してはいけませんよ?でも・・・』
ぽんっと僕の頭をたたく。
そしてにこやかにベルゼブブは微笑んだ。
『しばらくはシュウさんを裏切ることはありませんよ?』
・・・いつか裏切るつもりなのだろうか?
しかし・・・
このような平凡な一日はそうないだろう。
昼からは教会へいってまたオラクルから話を聞こう。
ただ、今は少しでもこの日常を味わうこととしよう。




