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掌の悪魔  作者: 土竜会
11/22

無知からの脱却

 この日は日曜日。


明日からは学校へ行かなければならない。


事件の後、約一週間休んでいたがそろそろ登校しないと授業に追いつけない。


そうだ、今日のうちにベルゼブブに聞きたい事を聞いておこう。


『私の・・・性別ですか?』


微妙に気になっていた。


話ではベルゼブブは男ではあるが、どうも中性的でどちらかわからない。


はっきり言って、女性だったら一緒の部屋で着替えるのは恥ずかしい!


『はぁ~、くだらない質問ですね。』


蠅の姿で僕の目の前を飛んでいたベルゼブブは人の姿へとなった。


『そもそも私たちは性別というものは無いんですよ?まぁ希望があればその姿へとなれますがね』


目の前でころころと性別を変える。


少し思う。きつくないのかなぁ~。


『まぁ気にしないことですよ。私の性別よりも大切な事があるでしょう?』


その通りではあるが、気持ち的にはすっきりした。


それと、もうひとつベルゼブブに言いたいことがある。


『?なんです?』


怪訝そうな顔で僕を見ている。


ありがとう。


これだけは伝えておかないと。


この悪魔のおかげできっと僕は今生きてはいないだろう。


そして、これから先も宜しくと伝える。


『・・・あ、いや・・・待って下さい。』


・・・もしかして照れてる?


『いや、まさか人間にここまで感謝されるなんて思ってもみなかったので』


少し恥ずかしそうに笑っている。


その表情だけ見ると、とても悪魔とは思えない。


ベルゼブブが近づいてくる。


そしてゆっくりと右手を差し出した。


『貴方達の世界ではこれが信頼の証なんでしょう?私がこんなことをするのはおかしいですか?』


おかしいなんて事は無い。


いかに悪魔であろうとも、僕はベルゼブブを信用する。いや、信頼する!


『悪魔を最後まで信用してはいけませんよ?でも・・・』


ぽんっと僕の頭をたたく。


そしてにこやかにベルゼブブは微笑んだ。


『しばらくはシュウさんを裏切ることはありませんよ?』


・・・いつか裏切るつもりなのだろうか?


しかし・・・


このような平凡な一日はそうないだろう。


昼からは教会へいってまたオラクルから話を聞こう。


ただ、今は少しでもこの日常を味わうこととしよう。

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