予言の悪魔
暗い・・・。
何も見えない・・・。
あぁ、またこの夢だ。
闇の中で僕は漂っている。
体は重く、指一つ動かせない。
『やぁ、またここに来たんだね』
目の前に僕が浮かんでいる。
もう何年も見続けてきた夢・・・僕が僕自身と問答を繰り返す意味の無い夢だ。
『僕は僕のもう一つの可能性、悪魔を宿し破壊を望む者』
破壊・・・それはオラクルが言っていた誰も助からない事を望む自分
しかし何故だろう、これは夢のはずだ。
それなのに意識が異常にはっきりしている。
『皆を救う道を選んだ僕、それでもすべてを破壊する僕になることも簡単なんだよ』
闇の中で無表情の僕が警告を告げる
その通りだ。
物事がどう転がるかはわからない。
僕はこれから先この意志を貫いていくことが出来るのだろうか?
『悩まないで。僕はどんな僕になろうと、僕だから・・・』
目が覚めた。
そこはホテルの一室。
時計を見るとまだ深夜。
そうだ
昨日の教会の帰り道、マルスと言う男と戦ってホテルに帰りつきすぐにベッドに潜り込んだんだ。
顎の傷は綺麗に治療されている。
おそらくあの悪魔が治療してくれたのだろう。
ベッドの脇に腰を落とし、改めて夢の内容を思い出してみる。
夢の中で僕は僕のもう一つの可能性と向き合った。
結局どう転がるかは僕次第なのだ・・・
ただ、今の僕では絶望的に力が足りない。
何も出来ないまま死にたくは無い。
左手を見る。
文様の中の蠅たちは、ウゾウゾと蠢いている。
これらを使いこなすことがきっと強さへの第一歩なのかもしれない。
明日の朝、ベルゼブブに相談をしてみよう。
そのためには今は眠り、体を休めよう・・・。




