◆◇黄利君は引きこもり!?◇◆
―ラマル村―
それはとても小さな田舎の村。その中の一軒の家で金髪の少年、黄利はテレビゲームをしていた。
午前7:30分、黄利の家。
ドアからノックする音が聞こえた。ノックをしているのが母だとわかった黄利はゲームをポーズすると、部屋のドアを開けた。
「黄利、青水君が来たけど、どうする?」
母に問われたので、コクッと黄利はうなずき、黄利はまたゲームに目をもどした。しばらく経つと、黄利の部屋に青水が入って来た。一回溜息をつき、青水を見つめる黄利。黄利の事をじっと見つめる青水。二人はお互いをしばらく曇った顔で見つめ合った。
「おまえ、引きこもってから、一ヶ月ぐらいたっただろ・・・だからもうそろそろ学校に行った方がいいと俺は思う・・・」
先に口を開いたのは青水だった。黄利の方も今日こそ学校へ行こうと決心していたらしく、笑顔でコクコク頷いている。
午前7:56分、隣町の学校『スプラ学園』
ラマル村には学校が無いので、わざわざ隣町まで行かなければならないのだ。黄利が教室のドアを開けた瞬間・・・
「あ!黄利君が、来た~!」
一人の女子がそう叫んだ瞬間、女子達が雪崩のように黄利の方へ押し寄せて来た。黄利の方は青水の手を固く握っている。青水は握られている手から、黄利の不安を感じ取った。黄利が女子達を嫌がっている理由、それは・・・黄利が童顔で、この世界にいる人間の中で僅かしかいない色の精霊を操ることのできる人間、『精霊の操り人』だからである。それで女子達みんな黄利に興味を持ち、ほっぺを突っついたり、抓ったりするのだ。それを黄利はいじめだと思い込み、引きこもりになってしまった。一方青水の周りには、男子達が集まって来ている。
「青水さん、俺、マドレーヌ作って来たんですよ。良かったら食べて下さい!」
青水はどちらかと言うと、男にモテるタイプなのである。青水がモテる理由も、精霊の操り人なのと、クール(というより、あまりしゃべることが好きではない)さが、作用しているらしい。
昔のこの世界の人間は、精霊の操り人しかいなかったらしいが、別の世界から人間が乗り込んできて、次々と精霊の操り人達を殺していったらしい。その精霊の操り人の生き残りの子孫が、黄利たちなのである。今では精霊の操り人は貴重な人間とされていて、精霊の操り人を殺すと死刑になるほどの重い罪なのである。
なので、スプラ学園に二人しかいない精霊の操り人の黄利と青水は特別扱い(?)されている。色の精霊には属性があり、色で振り分けされている。精霊の操り人は十三歳になると、パートナーの色の精霊が憑くのだ。明日は黄利の誕生日で、ついに十三歳になる。その明々後日には青水の誕生日で同じく十三歳になる。二人はパートナーになる精霊がどんなものなのか、気になって仕方がなかった。
この世界の人達には、チームをつくってバトルをする習慣があり、このクラスでも男子だけのチームと女子だけのチームに分かれている。男子のチームは『クールボーイズ』、女子のチームは『キューティーガールズ』、もちろん先生たちもつくっている。その名前は『スーパーティーチャーズ』。リーダは校長先生。副リーダは副校長先生である。しかし、黄利と青水はどのチームにも所属していない。いつか自分たちのチームをつくるのが夢だからである。チームは三人以上で成り立つもので、メンバーは校長先生に頼んで朝会などで募集してもらったり、自分たちでスカウトしたりしても良いのだ。黄利と青水は、黄利をリーダにして『colors』というチームをつくるのが目標。しかし、最後の一人がなかなか現れないのである。
◆◇◆
午後3:30分
学校の帰り道。黄利と青水は疲れきって、とぼとぼあるいていた。二人の目の前に水晶玉の様な物が転がっている。それはとても澄んでいる玉だった。
「あ゛!?なんだこりゃ?なんで道のど真ん中にこんな物が落ちてんだ?」
青水はそう言ってその玉を蹴り飛ばしてしまった。その玉は見事に粉々に。すると・・・
「おぬし達!今割ったものが何か、分かっているのか!それは我の七十三番目の魂なのだぞ!どう償うつもりじゃ!!!」
誰も居ない所から声が聞こえて来た。そこに光が集まって、とても美しい女の人が現れたではないか。その女の人はとても冷たい顔をして、二人に近づいてきた。
「我の名はゴッド・スター・シャイン。この世で一番偉い者、いわば神じゃな」
ゴッド・スター・シャインは明らかに笑っているが、目は紛れも無く睨んでいた。二人は何が起きたのか解らず、ぼけーっとつっ立っていた。
「誰?この小母さん」
黄利が珍しく自分から話しかけてきたので、青水は少し嬉しかった。一方、ゴット・スター・シャインは、
「お、お、小母さんですって!?」
怒りを隠せないご様子。そして、手を空に向かって掲げた。その瞬間、漫画に出てきそうな杖が降ってきたではないか!! ゴット・スター・シャインはその杖を勢いよく掴んだ。するとその杖が光って、青水と黄利は自分達の体が熱くなってくるのを感じた。そしてその熱さは、黄利は二の腕、青水は手の甲へと変わった。そしてその熱さも激痛へと変化した。そしてそれぞれの痛い所に、紋章のようなものが出来ていた。
「おほほ、我に逆らうからこうなったのじゃ。それは呪いの紋章じゃ、その紋章がある限り、おぬし達は我の奴隷じゃ。・・・・ん?おぬし達、良く見るとカッコいいのぉ~。少しぐらいフレンドリーにしてやってもいいぞ。ほれ、おぬし達、シャインちゃんと呼んでみぃ」
ゴット・スター・シャインがベラベラと喋り出したので、二人は呆れてしまった。
「もう面倒くさいから、ゴスシャで良くね?ほらゴット・スター・シャ・・・なんとかの頭文字をとって、な?良いだろ?」
奴隷の身である青水が馴れ馴れしく話しているためか、ゴスシャさんは怒りを堪えている様子だった。その怒りを何とか乗り切って、ゴスシャさんはまた話し始める。
「おぬし達には、我の仕事を一つ、手伝って欲しいのじゃ。今から送る所に奴隷たちがおるから、そいつらと協力してやっていてくれ」
今のゴスシャさんの言葉が二人はしばらく理解できなかった。そして、
「え、送るって、どういうこと?ちょいま・・・・うわあぁぁ!!!」
二人はその場から姿を消した。
DNGURIは二人組なのですが、一人が話を考えて、もう一人が編集をしています。
頑張ってつくりますので、次回も楽しみにしていてください。