カカオ130%チョコレート。
「気持ち悪い。二度とこんな真似しないで。私は認めないわよ。人として気持ち悪い。あなた男の子でしょ??」
氷のように冷たい目。
そして、冷たい言葉。
苦しい。
苦しい。胸が切り裂かれて、ズタズタにされた気分。
苦しい…くるしい…クルシイ…クルシイ…。
「時雨ちゃん大丈夫?またうなされてた?」
凛月が心配そうな顔でこっちを見ている。
「いや、まぁうん。大丈夫…。」
「めっちゃ汗かいてるよ??」
タオルを差し出され、時雨はタオルを受け取って汗を拭く。
急に時雨の胸が苦しくなる。
そして胸から喉に押し上げてくるものを必死にこらえるが…
「気にしないで、片付けはこっちでしとくから、休んでて」
「ごめん。本当にごめんなさい。時雨が悪いです。」
泣きながら時雨は謝る。
「時雨ちゃんは悪くないよ??大丈夫だからね」
凛月は時雨が落ち着くまで時雨の頭を撫でながら、大丈夫、大丈夫と声をかけてあげるのであった。
もう何回目だろうか。定期的に時雨はうなされる。
それは二年前。
時雨は凛月の影響…というか罰ゲームで女装した時に目覚めてしまった女装にハマっていた。
時雨は自分の家で、凛月から教えてもらった髪の結び方に挑戦していた。
ガチャ
勢い良くノックもなくドアが開けられる。
家にいないはず、さっき買い物に出かけたはず。
そう、時雨の母だ。
母は財布や、スマホが入ったバックを落とす。
「時人?何をやっているの?」
冷たい目。
冷たい声。
「いや、これは違うくて…その…。」
パチンッパチンッ
二回のビンタ。
そして
「気持ち悪い。二度とこんな真似しないで。私は認めないわよ。人として気持ち悪い。こんなことするなら、死んだ方がマシよ。あなた男の子でしょ??」
氷のように冷たい目。
そして、冷たい言葉。
苦しい。
苦しい。胸が切り裂かれて、ズタズタにされた気分。
苦しい…くるしい…クルシイ…クルシイ…。
時雨は、耐えられなかった。
自分が初めて、興味を持って、心から楽しいと思えたものを否定された。しかも母親。
時雨は、耐えられなかった。
「出ていきなさい。もう私の子供じゃない。どこで育て方を間違えたのかしら。」
時雨は泣きながら、凛月の家に逃げ込んだ。
雨の中、時雨は凛月の家に逃げ込んだ。
凛月は、一瞬戸惑ったが、時雨の目を見てただ一言。
「おかえり」
「話…聞いて……欲しくて…。」
「なんでも聞くよ、まずは涙拭きな?」
始めてみる凛月の真面目な顔。
真面目の顔の中に優しさがある。
真面目なんだけど、明るい顔。
その顔に時雨は安心を覚えた。
時雨は今日あったことを凛月に全部話した。
そうすると凛月は
「どうしたい?」
と一言。
「何がどうしたい?」
と時雨は聞き返す。
「家に戻りたい?」
「……戻りたくない…思い出したくもない…。」
下に俯く時雨。涙がまた溢れそうだ。
「でも、これからどうするの?」
「……分からない…分からないよ……。」
「うちに住む?」
「……………いいの…?」
「そりゃもちろんいいけど。」
凛月は続ける。
「そんなこと言う母親がいる家に時雨ちゃんをかえせないよ、時雨ちゃんの面倒は全部見るから。元はと言えば俺が女装させたのが悪いし…ごめん…。」
「…いや…凛月は悪くないから…。」
「いや悪いよ」
「悪くないから…悪くないから…。」
時雨の胸から強い酸性の刺激が押し上げる。
「えっちょっあ?!時雨ちゃん大丈夫?!」
背中をさする凛月。




