表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/21

ヒフンの試合

第7話


レイとルーゼが待機室に戻ると、ヴリンが不思議そうにレイを見つめた。


「あなた、目の力を持っているの?」


「はい。」レイは静かに答えた。「母は僕を産むときに亡くなりました。そのことで、この目の力を得たんです。」


「そう…でも、大丈夫なの?」ヴリンの瞳には心配が滲んでいた。


「ええ、大丈夫です。」


レイはヒフンのもとへ歩み寄った。


「次は君の番だね。」


「うん、もう待ちきれないよ。」ヒフンは微笑んだ。


しばらくして、場内にアナウンスが響いた。


「次が本日の最終戦! ミルティ王国代表、ヒフン! 対するはハカオ王国代表、レゴン! 両名、入場してください!」


「さあ、行こう。」ヒフンは呟き、ルーゼと共に舞台へ向かった。


両者が姿を現す。


「準備はいいか!」


「準備完了!」二人の声が重なった。


レゴンがニヤリと笑う。

「負ける覚悟はできてるか?」


「俺は負けを受け入れるためにここに立ってるんじゃない。」ヒフンは笑みを返した。


「構え!――始め!」


ヒフンは横に走り込み、一直線にレゴンへ迫る。


「愚かだな。」レゴンが呪文を放つ。

「ファイア・ラグモ!」


炎の壁が立ち並び、無数の火球がヒフンへと襲いかかる。

ヒフンは剣にオーラを纏わせ、次々と火球を斬り裂いた。


宙に跳び、風の魔法を発動する。

「ウィンド・ストライク!」


鋭い三角の風弾が突き進む。


「アースウォール!」レゴンは土壁を築き、攻撃を受け止めた。


だがヒフンは炎を剣に纏わせ、風で加速した勢いのまま壁を突き破る。


「無茶をするな…」レゴンは舌打ちし、オーラを纏った剣を振るう。


二人の刃が激突し、火花が散る。

直後、レゴンが脚に水の魔法を込めて蹴り放った。


「ウォーター・キック!」


水の衝撃が炸裂し、ヒフンは後方へ吹き飛ばされた。


(あのレゴン…本気で戦っていない。)レイは眉をひそめた。


(強い…だが勝つには頭を使わないと。)ヒフンは自分に言い聞かせた。


ヴリンの言葉を思い出す――「魔法にオーラを重ねれば、より強くなる」。


(よし…試してみるか。)


左腕に気を集中させ、炎を走らせる。剣にはオーラを纏わせたまま、再び突進する。


レゴンは魔力を纏った剣で受け止めたが、ヒフンは燃える左腕で打ち込む。

レゴンは後方へ飛び退く。


ヒフンはすかさず、オーラを重ねた炎を放った。

巨大な炎の奔流がレゴンに迫る。


(すごい…魔法にオーラをあんなに自然に重ねるなんて。)レイの目が輝く。


「もう魔法とオーラを融合できるのか!?」フェズが驚愕した。


観客席のヴリン、ジデン、ミシルも目を輝かせて見守る。


「チッ…道化がこんな真似を。」レゴンは顔をしかめる。

「ならばこちらも…」


「サンダー・ブラスト!」


雷光がほとばしり、炎と激突する。轟音と爆発が会場を揺らした。


(雷だと!?)レイの心臓が跳ねる。


「雷魔法…E級以上の術じゃないか。」ヴリンが呟く。

フェズは目を見開き、声を失った。


(あの人が勝てるの…?)ミシルの胸に不安が走る。


魔法の衝突は激しさを増し、ついに大爆発が巻き起こった。

観客の一部が吹き飛ばされ、待機室の窓も砕け散る。


ヒフンとレゴンは弾き飛ばされ、ヒフンの剣は場外へ。二人とも限界に近い表情だ。


「見直したぞ。」レゴンが笑う。「あの爆発でまだ立っているとはな。」


「ハァ…まだ戦える。」ヒフンは荒い息を吐きながら立ち上がる。


「だが終わりだ。」雷を纏うレゴンの手が光る。

「お前が俺と戦う時点で、結末は決まっていたんだよ。」


「言ったはずだ…俺は負けを受け入れるためにここにいるんじゃない。」


ヒフンの掌に炎が灯る。その色が、通常の赤から鮮やかな橙へと変わった。


「炎の色が…!」エルリックが目を見張る。


「橙の炎…赤の上位魔法、E級中位だ。」フェズが驚愕の声を上げた。


レイたちはただ見つめるしかなかった。


二人は同時に魔法を放つ。

ヒフンの橙の炎は雷を押し返し、レゴンを飲み込んだ。


「ぐあああああああ!」

レゴンは燃え上がりながら場外へ吹き飛ばされる。


すぐさま医療班が駆け寄り、水魔法で火を消した。


一瞬の沈黙のあと、観客席がざわめいた。


「卑怯だ! 中位E級の魔法を使うなんて!」

「こんな試合、認められない!」


騒ぎは瞬く間に広がった。


「何が起きてるの…?」ヴリンは動揺する。


「ハカオ代表が負けたことを認められないんだ。」レイが険しい顔で答える。


フェズがヒフンの隣に立ち、声を張り上げた。

「ヒフンは卑怯なんかじゃない! レゴンだってE級以上の魔法を使った! 規則に違反はしていない!」


だが観客たちは耳を貸さず、さらに暴徒化していく。


「まずいな…」エルリックが顔をしかめた。「今すぐ撤退だ。」


「行くぞ!」フェズが叫び、ヒフンの手を掴む。

風魔法で二人の身体は宙に浮き、会場を飛び出した。


「急げ! 俺たちも脱出するぞ!」エルリックの声に、仲間たちも続いた。



---




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ