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反撃

第21章


フェッズは王の右側のソファに座った。

ヒフン、レイ、そしてミシルは王の前のソファに腰を下ろす。


王はミシルを見て、少し戸惑った表情を浮かべた。


「ヒフン」王の声が静かな部屋に響いた。


「はい?」ヒフンは緊張と戸惑いを抱えながら答えた。


「なぜお前とレイをここに呼んだか、わかるか?」


「わかりません」ヒフンは即答した。


王は身を乗り出し、鋭い目で見つめる。

「ミルティ王国のスパイ部隊が、敵軍が今夜再び攻撃の準備をしていることを突き止めたのだ」


「えっ!?」ヒフンは息を呑んだ。


「まだ諦めていないのか…」レイが真剣な声で言った。


ミシルは微かに微笑んだ。予想していたかのように。


「お前たちをここに呼んだ理由は、戦いが始まれば、必ずお前たちはどこからか関わってくるだろうと知っているからだ」王は視線を外さずに言った。


「へへ」ヒフンは頭をかき、レイも同じように頭を掻いた。


王は一瞬目を伏せた。

「無計画に首を突っ込ませるより、計画を知らせておくべきだと思った。協力できるかもしれないが、くれぐれも捕まるな」


「了解です!」三人は声を揃えた。


「ところで、ミシル、お前は戦闘に参加できない」


「えっ!?」ミシルは目を見開き、ヒフンとレイは困惑した表情で互いを見た。


「なぜ?」ミシルは少し震える声で聞いた。


「そうだ、なぜ彼女は参加できないんだ?」ヒフンも尋ねた。


レイは考え込む。

「まさか…」


「そうだ」王は頷き、窓の外を見た。

「昨夜、スパイ部隊からの手紙を受け取った」


「そして?」ヒフンが不安そうに聞く。


「ミシルが女性だからだ」


「えっ!?」ヒフンとミシルが同時に叫んだ。


王はレイに目を向けた。

「お前もなかなか頭がいいな」


「そうだ。敵が女性の民間人を捕らえれば、貴族の奴隷にされる。道具としてしか扱われない」


ヒフンは固まった。

「じゃあ母さんは…?」


「安心しろ」王は落ち着いた声で言った。「奴隷にされるのは捕らえられた民間人だけだ。捕虜となった五人の兵士はハカオ王国の牢にいる」


「そうか」とヒフンはほっと息をついた。


「じゃあ参加するのは俺とヒフンだけか?」レイが尋ねる。


「その通りだ」王は頷いた。「捕らえられれば死ぬ可能性もある。覚悟しておけ」


「わかった」ヒフンは強く頷いた。


「俺もわかった」レイも頷いた。


「では、夕方までに戻れ。我々はその時攻撃する」王は告げた。


「はい」三人は答えた。



---


城の外で、ミシルは黙って立ち尽くし、地面を見つめながら思考を巡らせていた。


「まずは腹ごしらえをしよう」ヒフンが口を開き、少しでも和ませようとした。


「うん」レイが頷いた。


「ここには兵士用の城の食堂があるはずだよね?」ヒフンが尋ねる。


「そうだな」レイが答えた。


「じゃあそこで食べよう」ヒフンが提案した。


「行こう」レイも応じた。


「ミシル」ヒフンが呼ぶ。


「はい?」ミシルが振り返る。


「大丈夫?」


「大丈夫」ミシルは微笑むが、不安を隠していた。


「さあ、城の食堂へ行こう」レイが促した。


「うん、行こう」ミシルも応じた。


食堂に着くと、ヒフンは思わず息を呑む。

「わあ…」


想像以上に広い食堂だった。三人はそれぞれ食事を購入し、共に座った。


ヒフンは麺、レイは卵入りご飯、ミシルは鶏肉入りご飯を選ぶ。


「ヒフン、麺だけ?」レイが軽くからかう。


「うん、へへ」ヒフンは微笑み、思い詰めた様子のミシルを見つめた。


食事を終えると、三人は城の庭に腰を下ろす。夕暮れが近づき、空は赤く染まっていた。


「もう時間だ」ヒフンが言った。


「うん」レイが頷く。


ヒフンは立ち上がり、手を差し出した。

「さあ、レイ」


レイは一瞬ヒフンを見つめ、手を取った。二人は立ち上がる。ミシルは涙ぐんだ目で見つめる。


「行こう」ヒフンはミシルに向き直る。


「先に行って」レイは頷いた。


ヒフンは深呼吸し、ミシルの手を握りしめる。

「俺たちは先に行く」


ミシルは黙ったまま、心臓が高鳴る。


ヒフンはレイに合図した。

「レイ、先に行け」


レイは短く頷き、城の広場へ向かう。


ヒフンはミシルを見つめ、手を強く握った。

「なぜ?」


「あなたが行ったら…死ぬかもしれない」ミシルは震える声で告げた。


ヒフンはミシルを優しく立たせ、手を握ったまま目を合わせる。

「心配するな。俺は死なない。今日も、明日も。もし死ぬ者がいるとしたら、俺たちじゃない」


ミシルの瞳には涙が光る。ヒフンはそっとそれを拭い、目を逸らさずに言った。

「俺は君を上の世界に連れて行くまでは死なない。約束する」


ミシルの涙が頬を伝う。ヒフンは手でそっとぬぐう。

「泣くな…明日、俺は君の前に立つ。そして君を連れて行く」


ヒフンは体をゆっくり近づける。顔が近づくと、息が触れ合う。二人は柔らかく唇を重ねた。夕日の中、世界が息を止めたかのように静まった。


背後の壁越しに、レイがそれを見守り、微笑む。やがて城の広場に向かう。


ヒフンは息を吐き、ミシルから視線を外さずに囁いた。

「必ず戻る…そしてまた会おう」


ミシルはただ頷き、恐怖と信頼が入り混じる心で二人の背中を見送った。



---


やがてヒフンは走ってレイに追いつく。

「レイ!」


「さあ、整列だ」レイはきっぱりと言った。


「はい」ヒフンは答え、兵士たちの列に並ぶ。


王は戦略を説明した。

「ダリウスは千の兵を率い、城中心と周辺の村を守る。フェッズ、我々に従え、援護に回る」


「はい!」兵士たちは声を揃えた。


「武器を持たぬ者は兵器庫から好きなものを取れ」


レイとヒフンは剣を取り、広場に戻る。


「全員準備はいいか?」王が問う。


「はい!」


「よし、ミルティ国境へ向かう。ダリウスは城を守る。残りは我々に従え」


彼らは国境へ歩を進める。到着すると、王は命令を下した。

「敵は森の中にいるはずだ。ここから分散せよ。合図まで気付かれるな」


三人の将軍が森を包囲し、ヒフンとレイは王とフェッズに従った。


木の上から、敵のキャンプが眠っているかのように見えた。


「眠っているようだな」王が言った。


「どうする?」フェッズが尋ねる。


「即座に攻撃!」王は命じた。「攻撃!!」


兵士たちは一斉に突入し、抵抗する敵を捕らえ、倒した。多くのハカオ兵は自ら命を絶つ者もいた。


「フェッズ、捕虜を城へ護送せよ。自殺できぬように監視しろ」王が命じる。


「はい!」フェッズが応えた。


「残りは我々に従い、敵城を制圧する」


兵士たちは声を上げ、王の後に続く。


城門に到着すると、五人の衛兵が立っていた。そのうち一人は指揮官だ。


「どうする?」ヒフンが呟く。


「殺せ。生き残れば増援を呼ぶ」王が命じた。


兵士たちは迅速に動き、王は二人の衛兵を火魔法で倒し、指揮官も討ち取った。そして城門を開き、一気に中心部へ突入した。



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