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ヒフングへの悪い知らせ

第11話


翌朝、ヒフングはゆっくりと目を覚ました。座り上がり、病室の周りを見回す。


エルリックは窓の外を見つめており、真剣な表情を浮かべていた。ヴリンの姿はどこにも見えない。


「お母さんのヴリンはどこですか?」ヒフングは少し不安そうに尋ねた。


エルリックはヒフングを見返し、優しい眼差しを向ける。

「起きたのか?ヴリンは君の家に行って、両親に君の状況を説明しているよ」と落ち着いた声で言った。


「そうですか…」ヒフングは少し安心しつつも、まだ混乱していた。


エルリックはヒフングに近づいた。

「ヒフング」と穏やかに声をかける。


「はい?」ヒフングは応じた。


「君には良い知らせと悪い知らせがある。どちらから聞きたい?」エルリックは真剣な表情で尋ねた。


ヒフングは戸惑いながら考える。

(心の中:良い知らせと悪い知らせ…良い知らせは、もうすぐ回復することかな…よし、まずは良い知らせからだ。)


「まずは良い知らせをお願いします」と小さな声で答えた。


「わかった」エルリックは頷いた。「良い知らせは、明日には病院を出られるということだ」


「そうですか…じゃあ悪い知らせは?」ヒフングは少し不安げに尋ねた。


エルリックは言葉を飲み込み、緊張した表情を浮かべたが、勇気を振り絞った。

「左手が軽い麻痺を起こしている。時間はかかるが回復は可能だ」と慎重に伝えた。


「え?」ヒフングは信じられないように目を見開いた。


深呼吸をし、気を落ち着けようとする。

「左手…回復にはどれくらいかかる?」声が震えた。


「医者によると、この深い傷の場合、適切に手をケアすれば、回復までに約三年かかる」とエルリックは真剣に答えた。


「三年…?」ヒフングはショックで顔が青ざめる。


「ケアするってどういうこと?」パニックになりながらも、なんとか落ち着こうとする。


エルリックは優しい眼差しでヒフングを見つめた。

「左手で魔法を使ってはいけない。魔法に触れてもいけない。頻繁に動かしてもいけない。ぶつけてもいけない」と穏やかに、しかし厳しく説明した。


「なに?」ヒフングは固まり、信じられない表情を浮かべる。


「分かる、受け入れるのは難しいだろう。でも、君は強くならなければならない」とエルリックは肩に手を置き、励ますように言った。


ヒフングはうつむき、深呼吸をした。

「少し一人にしてもらえますか?」静かに、床を見つめながら言った。


エルリックはしばらく彼を見つめ、悲しげな表情を浮かべたが、ゆっくりと部屋を出た。


ヒフングは一人、心の中で悲しみと恐怖、そして決意が入り混じった思いに沈んだ。



---


一方、ミルティ王は防衛将軍と熱心に話し合っていた。

「これは許せない!」ミルティ王は力強く言い、瞳を燃やす。

「自由にさせてはいけない。リフォルト学院の子供たちがハカオで攻撃され、重傷者も出た。フェッズ将軍も傷ついたのだ!」


防衛将軍は敬意を込めて頭を下げる。

「しかし、ハカオ王は攻撃を否定し続けています。文書化された協定は破られておらず、子供たちの証言も正式な証拠とは認められません」と真剣に説明した。


ミルティ王は苛立ちと困惑が入り混じる表情を浮かべる。

「防衛を強化しろ。これまでどの王国とも問題はなかった。しかし今、ハカオ王国と対立している!」と力強く言った。


「承知しました、陛下」と防衛将軍は答えた。



---


再びヒフングの部屋。ヴリンとエルリックが入室した。

「子供よ、大丈夫?」ヴリンは柔らかい声で心配そうに尋ねる。


ヒフングはゆっくりと頷いた。


「両親には君の状況を伝えました。ハカオが宣戦布告したため、両親は王国の国境に派遣され、今週は家に戻れません」とヴリンは穏やかに、しかし真剣に説明した。


「今日は一人でいたい」とヒフングはつぶやいた。


「わかったわ」とヴリンは頷き、部屋を出た。エルリックも続いた。


ヒフングは窓の外を見つめ、胸の中に不安と迷いが広がった。



---


リフォルト学院では、レイが激しく訓練していた。突然、ヴリンとエルリックが到着。レイはすぐに駆け寄った。

「ヒフングの様子はどうですか?」彼は真剣な表情で尋ねる。

「すぐに見に行くつもりです」と続けた。


ヴリンは頭を振り、厳しい表情で告げる。

「ヒフングは今日は一人でいたいそうです。左手は軽い麻痺があります。回復は可能ですが、適切なケアをしても約三年かかります」


レイは驚きのあまり目を見開いた。

「え…?」と小さくつぶやく。



---


再びヒフングの部屋。ミシルが小さな鞄を持って入ってきた。

ヒフングは少し驚いた表情で彼女を見つめる。


「今日もお弁当を作ってきたの」とミシルは頬を赤らめ、照れながら言った。


「ありがとう」とヒフングは少し恥ずかしそうに微笑む。


ミシルは近づき、心配そうに尋ねる。

「怪我はどう?お医者さんから知らせは?」


「もう聞いたよ」とヒフングは静かに答えた。


「で、どうだったの?」ミシルは少しパニック気味に聞く。


「医者によると左手は軽く麻痺していて、回復には約三年かかるって」ヒフングは重い表情で答えた。


ミシルはショックで目を見開き、手に持っていたスプーンを落としてしまう。

「わっ!」


「大丈夫だよ」とヒフングは心配そうに声をかける。


ミシルはスプーンを拾い、布で拭き、弁当箱を開ける。中にはご飯、卵、野菜が入っていた。


彼女は一口分をすくい、ヒフングに食べさせる。ヒフングはゆっくり座って食べ、温かさを感じながら味わった。


ミシルはスプーンを弁当箱の横のテーブルに置いた。


「ヒフング」


「ん?」ヒフングが応じる。


「ごめんなさい…私のせいで、左手が麻痺してしまった」ミシルは頭を下げ、涙をこらえきれず少し泣いた。


「だ、大丈夫だよ、泣かないで」ヒフングは慌てて言った。

「君が無事でよかった」


「何歳?」ヒフングが尋ねる。


「私?16歳…」ミシルは言葉を詰まらせながら答えた。


「僕は17歳。君、1歳差でも僕にとっては君のために犠牲になる理由になるんだよ」ヒフングは温かく微笑み、頬を赤らめる。


ミシルは感動し、再びヒフングに抱きつきながら泣いた。


「もう泣かないで」とヒフングは手を握って落ち着かせた。


ミシルはヒフングにしがみつき、泣きながら抱きしめられる。ヒフングは頬を赤らめつつも、彼女の動揺に気を配り、優しく抱きしめて落ち着かせる。


しばらくして、ミシルはヒフングに食べさせ、弁当を平らげさせた。


弁当箱を閉じて片付ける。


「大丈夫?」ヒフングは優しく尋ねる。


「はい」ミシルは微笑み、落ち着く。


すべての物を鞄に入れて閉じ、真剣な表情で言った。

「改めて、助けてくれてありがとう。そしてごめんなさい、君の手がこうなってしまって」

「もし君が助けてくれなかったら、私は今ここにいなかったかもしれない」


ヒフングは静かに微笑む。

「命を救うためなら、手を失っても構わない。君も強くならないと、ずっと自分を責めないで」


ミシルは微笑み返す。

「ありがとう。今夜また戻ってくるね」


扉を開けて去っていく。


「食べ物を持ってきてくれてありがとう…とても美味しかった」ヒフングは心の中でつぶやき、顔を赤らめる。

「それに…今日は本当に可愛いな」と小さくつぶやいた。



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