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絶対

 定足はいつもの手慣れた手つきで、グラスに氷を入れ冷蔵庫の麦茶を注いで差し出した。この暑さだ、貴婦人にとっても冷たい麦茶は有り難かったのか、麦茶を少し口に含んで微笑みを返した。この貴婦人もまたいつもの盗聴機の調査だと、定足は高をくくってしまっていた。机の上ではもう見積りをPCで作ろうと、単価を計算していた。貴婦人からはお金が取れると踏んだようで、盗聴機調査としては最高価格のプランを考えていた。黒嶋社長はジャケットを羽織り身なりを整えて、貴婦人の前に座り挨拶を交わした。貴婦人は名を片村美夏と名乗り、軽く会釈をして恥ずかしそうに肩を竦めた。

「始めまして、社長の黒嶋です。ここでは守秘義務に万全の注意を払っておりますので、ご安心下さい」

片村美夏はその言葉に肩の力を緩め、ホッとしたような表情を作った。そのままコップの麦茶で喉を潤してから、また恥ずかしそうな表情を作って、今回の依頼内容を語り始めた。

「実は主人が小学校の教頭をしておりまして、このところ様子が…何となく若い女性の先生と浮気をしているのではと…夜も遅く帰ってくるようになって、土日も何処かへ行ってしまう。気のせいではと思うようにもしていました。けど、やっぱり主人のスマホにロックが掛かっていて―、そんな人じゃありませんでしたから絶対そうだと―、絶対…」

 片村美夏は悲しそうな表情を引き締めて、強めの口調で絶対と繰り返していた。

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