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邪教聖女

ピンクブロンドの邪教聖女~転生した論破王と語り合う件

作者: 山田 勝

 もう、名前も忘れた。我は論破王!

 論破王と呼ばれる前は日の本の僧であった。

 既に、転生してから800年はたったか?


 今は一人山の洞窟にこもる。

 我はダークエルフという種族に転生をしたらしい。


 道行く人に法論を挑んでいたら論破王と呼ばれるようになった。

 もう、我に法論を仕掛ける者はいない。


 女神は天照大神が垂迹したもので、魔神はダイダバッタだ。釈尊の従兄弟にして殺害をしようとした者だ。


 つまり、この世界の宗教もなんなく説明が出来る。




 最近、昔の記憶が浮かんでくる。



 ☆前世


 ・・・鎌倉由比ヶ浜


『クソ坊主!これで懲りただろう!』


 刀が眩しい。

 我は砂浜に連れて行かれて、斬首する寸前に刀を寸止めされた。

 脅されたのだ。



『たく、散々、鎌倉を騒がせやがって、佐渡に流罪だ』


 我は幕府に諫暁したら島流しになった。

 法華経こそ唯一の法だと教えてあげた。


 今、人心が乱れ。天災が起きるのはひとえに邪教を信仰しているからだ。

 このままだと、他国が攻めて来ると預言した。



 沢山の坊主を論破してきた。

 鎌倉の辻に立って、真理を述べてきた。


 その結果、このざまだ。正しい法華経の行者たる我を迫害するなど、日の本は滅びるかもしれない。



 島流しが終わった。

 我には信徒がいる。

 身延に隠棲し力を蓄えよう。



 しばらくして、預言が的中した。


『〇〇様!蒙古が攻めて来ました!』


『何と、これで我の予言が当たった。幕府は我を無視できまい!』


 しかし、お呼びがかからない。


 何故だ!


『〇〇様!また、蒙古が攻めて来ました!』


『おお、蒙古は我を助ける仏の御使に他ならない!』



 ・・・・・




『蒙古が負けました!』

『〇〇様!邪教は祈祷していました。祈祷のおかげで蒙古を撃退出来たと吹聴しています。何と言えばいいのですか?』


『ええい!大蒙古は消滅したのか?と言えば良かろう。いいか。この事は決してこちらから言ってはならんぞ!』


『はい!』



 晩年、誰も我の話を聞いてくれない。

 信徒だけだ。

 弘法の流れが止った。


 だから、キツい言葉で罵ったこともある。


『法華経の敵は〇した方が良い!さすれば罪業を積まなくても良いだろう!』

『法華経の敵を〇して、〇に経典を記せば良い!』


 その後、我は亡くなった。

 もう、日の本時代の名前すら忘れた。




 我は転生をした。何故だ?

 褐色の肌だった。

 魔王は第六天魔だ。だからダークエルフの村を出た。


 我は何だ。仏法を守る守護神に違いない。

 韋駄天か?毘沙門天か?

 我は地涌の菩薩では無かったのか?


 まあ、良い。五百塵劫から世界は続いているのだ。また、転生をするだろう。

 しかし、永い。

 最近は、我に法論を仕掛けて来る者もいない。つまらぬ。


 我の同族と人族でさえも、我を狂信者、邪教信者とも言う。

 まあ、良かろう。


 狂った世の中では泥棒が正義になるから痛くもかゆくもない。



 気配を感じる。

 人族の女が来た。


 そうか。魔族と人族が共同で討伐しようとささやき会っていたのを聞いた。

 つまらぬ。


 来たな。

 桃髪の女だ。ヒラヒラの服だな・・・軽薄そうだ。

 奴は挨拶もせずに我に挑むと宣言する。




「ちょっと、法論に来たのだからねっ!この山の下の道で、ダークエルフが変な神を広めるから誰も通らなくなったのだからね!私はサリー!邪教聖女だからね!」


「聖女・・比丘尼の事か・・・まあ、良い。攻撃でも何でもすれば良かろう」


「分かったのだからね!『法華経非仏説』!」




 ピカッ!


 何だ!光が見える。


 我は桃髪の思念を受け取った。



 ☆2010年代日本


 何だ。魔の通力の国か?外は夜なのに昼間のように明るい・・・

 畳か?こんなにある。あれはデカい仏壇。

 教師と子供達が沢山いる。



『・・・いいですか?法華経は釈尊が今までのお経は方便であってこの法華経こそ唯一の真理だと言っています!その法華経を正しく受け継いだのが大聖人で、我が教団がうけついでいます。名誉大先生は大聖人の教えを分かりやすく解説してくれます。だから、我が、大戦果報告会は正しいのです!質問はありますか?』


『あの~、チューリップ大戦果班の佐里です。副本部長、岩田仏教辞典では、法華経は紀元の始めにインド北部の教団が作ったと書いてあります』



『え~と、他に質問はありませんか?』


『ちょっと、私、質問をしているのだからね!』


『はい!質問です。私、町子です。正しい教えを誹謗中傷する事を何て言いますか?』


『町子ちゃん。素晴らしいです。謗法と言って、善知識を誹謗中傷するので悪運を積みます。現証は晩年ににじみ出てくると言います。この辺にも誰かいませんかね~』


『クスクスクス~』


『ちょっと、私の質問・・・』


『では、大名誉先生と奥様に感謝の題目をあげましょう!』



『は~い』


『南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!・・・・』





 ・・・・・・・



 我は驚愕した。題目を唱えるが・・・おかしい。子供の質問を無視をした。

 未成熟な教師ではないか?僧はいないのか?

 恐らく、佐里がサリーであろう。邪教聖女の前世の処遇を見た事ではない。内容だ。


「何と、法華経は釈尊が説いたお経ではなかったのか?」

「そーだからね。少なくても、まともな所ではそうだからね!」

「では、末世は?」


「釈迦を易姓革命説で考えるのは仕方なかったのだからね。インドで残っていた石碑や経典から紀元前6か5世紀ごろに亡くなっていると推測されているのだからね!」


「では、年代がズレるではないか?」

「元々、末法、仏の教えがなくなる説は中国発祥だからね!」



 我は、この比丘尼と楽しく話をした。

 そうだ。我は天台で学んだではないか?

 いつから、論破が目的になったのだ?



 ・・・この元坊主の著作には中国の故事や他の経典からも引用していた。

 学究の徒でもあった。



 我は、サリーという比丘尼と共に山を降りた。



 ☆貴族学園


 人族の学び舎に案内された。


「殿下ぁ~、エリザベス様ぁ!ダークエルフが入学したいと言っているからね!」

「我を学生にしたまえ」


「サリー、どうした・・」

「ちょっと、サリー様!」


「山で拾ったのだからね!」


「いや・・・何でも拾うな。父上に相談するぞ・・・」


 ダークエルフは、人族の女神、魔族の魔神の両方を批判していた。

 懸念が表明されていたが、ピンクブロンドの男爵令嬢が連れ帰る事に成功した。


 後にダークエルフは、女神教会やアカデミーに留学する許可を受け。

 とりあえず元気にやっている。


最後までお読み頂き有難うございました。

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