表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/12

魔法修行 シャルロット視点

 農作業ばかりにかまけていられない。将来もし彼らに囲まれた時になんとか乗り切れる策を講じるしかないと思ったシャルロット。そのためには力業であるが魔法が非常に重要になると思った。


 そう思ったシャルロットは魔法の練習をすることにした。


「こうかしら?」


 今行おうとしているのは火属性の魔法ファイヤーの練習だ。シャルロットは手に持った棒の先に念じて火の玉を作り出そうとする。


「なかなか難しいですわね」


 先端に意識を集中し、火の玉を作り出そうとするが、どうにもこうにもうまくいかない。


「どうしても火の玉ができませんわ」


 まさか自分には魔法の才能がないのではないかと思い、シャルロットは大きなため息と共に項垂れた。


 項垂れていると隣から声が掛かる。


「なにをしておいでなのですか?」


 聞き覚えのある声だった。シャルロットが右に振り向くとそこにはロランが立っていた。シャルロットの体が硬直し、顔が若干引き攣る。そんなシャルロットに向かってロランは言った。


「ど、どうかなされましたか?」


「な、なんでもないですわ」


 そう言ってなんとか誤魔化すシャルロットであるが、将来断罪してくる相手に笑顔で出迎えるほどシャルロットには余裕はなかった。だからシャルロットは声を喉の奥から絞り出して聞いた。


「き、今日はどうなさったのかしら?」


 ロランは金糸の髪を揺らし、綺麗なグリーンの瞳を輝かせ美少年とも言える顔に微笑みを浮かべるとシャルロットに言った。


「先日のお礼です。あの時は本当にありがとうございました」


「気にされなくて結構ですのよ」


「いえ、気に致します」


「そう……」


 なんというか生真面目な少年だなとシャルロットは思った。悪女のシャルロットだからロランはあんな行動を取ったのではないかとさえ思ってくる。


 そこでシャルロットは少し頭を振ると、その考えは甘いのかもしれないと考える。そんなシャルロットにロランは改まって言う。


「お茶会の席で正式にお礼をするつもりです」


「そ、そう。楽しみにしていますわお茶会」


「そう言って頂けると嬉しいです」


 正直全然楽しみにしていない。なるべくなら関わり合いにならないように生きていこう思っていただけに計算がここまで狂うとは思わなかった。


 そんなことを考えていたシャルロットにロランは再度シャルロットに聞いてきた。


「ところで先ほどのは魔法の練習ですか?」


「ええ、ファイヤーがうまく出せなくて」


 ロランは棒を取り出すと、指揮棒のように優雅な動作をした後にファイヤーを披露する。


「ファイヤーは火属性の魔法ですので、強く火をイメージして放つ感じです。棒の先端に火をイメージして、集中を途切れることがなく念じる感じです」


 シャルロットはそれを聞くと、棒の先端に火のイメージを思い浮かべ、集中を途切れさせないようにしてファイヤーを作っていく。


 そうすると棒の先端にわずかな火の玉が浮かんでくる。


「やりましたわ!」


「おめでとうございます」


 さすがに屋敷の庭に火の玉を飛ばすわけに行かないので、そこでファイヤーの詠唱を止める。


 そこでシャルロットは優雅にカーテシーをしてロランにお礼を言う。


「あなたのおかげでファイヤーを少しだけできるようになりましたわ。ありがとうございます」


「とんでもないです、私は大したことはしていませんので」


 そこでシャルロットは棒を折りたたむと、少し安堵の表情をする。こうして一歩でも魔法が使えるようになったことはいいことだと思った。


 そんなシャルロットにロランは不思議な表情をしながら聞いてくる。


「どのみち私たちは、魔法学園に入学することになります。別に今のうちに真剣に憶える必要はないと思います。シャルロット様はなんのために練習をしておいでなのですか?」


「その、あのー」


 まさか将来あなたたちに囲まれた時に魔法で抵抗しようとしていますともいえずに、シャルロットは曖昧な返事を返すが、そこでうまい回避策を思いついた。


「将来の後学のためですわ。今のうちに勉強しておけば将来のためになりますもの、そうなりますもの……」


 最後は歯切れが悪いがなんとか言い訳の形になった筈だ。そんなことを聞いたロランは目をパチクリとさせてからシャルロットに感心するように言った。


「シャルロット様は非常に勉強好きなんですね。尊敬します」


 そんな可愛い顔で言わないで欲しいとシャルロットは思う。シャルロットはそこで誤魔化す。


「とんでもない言葉でございますわ。私などまだまだですわ」


 そんなシャルロットをロランは見やると微笑みを浮かべる。


「私も負けないように勉強したいものです」


「ハハッ……」


 乾いた笑みを浮かべてシャルロットはなんとかこの話題から逃げるしかなかった。それから暫くしてロランは家に帰っていって、シャルロットも屋敷の中に戻る。


 シャルロットは知らない。既にロランの心の中にシャルロットに対する愛が芽生えてきていることに。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ