1 英雄復活
異世界転生系の物語ですが、スルーせず是非見ていってください。
1 英雄復活
「……はぁ。」
目が覚めた。
いつも目覚める度に飽きるほど同じ天井を見る。
俺ももう中年のおっさんで35歳になる。ほかの35歳の奴らは、きっと自分に合った仕事を見つけて、愛する人と出会って家庭を築き、とても幸せな毎日を送ってることだろう。しかし俺はそんな奴らとは残念ながら違う、無職童貞で引きこもりのニートなのだ。
毎日同じ部屋に引きこもって、やり飽きたゲームをやり込み、ネットの某掲示板や某呟きアプリで意味もなく幸せそうな夢を見た奴らを叩き、親と会話することもしないゲロ臭いクズだ。
「……チッ。」
………………思い出すだけで反吐が出る。
……こんなクズニートの俺だが、中学ぐらいまでは普通に人並みの学校に通っていた。頭も悪くはなかったし友達の作り方も知っていた。だが、それゆえ身の程を高く見積ってしまい、調子に乗ってる所があったのだろう。高校に入学してまだ1ヶ月も経っていない頃、俺は陽キャでもないくせに、学校内のカーストトップであろう陽キャのグループに割り込むようにして話しかけたのだ。
今思えば仲良しグループに割り込むって時点で中々ヤバいやつだな……。
その時は、そいつらは俺の太った容姿を「ブタかよ」と言ったように、バカにするような発言だけをして陽キャは俺を追い払おうとしていたが、俺はそれに対し、何故かムキになり「バ……バカにすんなよクソ共が!!」と、叫ぶように反抗してしまった。デブいじりなどがほんとに奇跡的に中学までなかったため、俺はただただ純粋にバカにされたと思ってしまったのだ。
まさに井の中の蛙大海を知らずといったかんじだろう。
だが、その余計な反抗がダメだった。
その時は陽キャたちはやべぇやつに絡まれたといった感じで大半が俺をスルーだけで済んだが、その陽キャのグループのリーダー格らしい男に放課後、学校の裏に呼び出された。
そしてその男は、「陰キャの癖に調子に乗っているところが気に食わない」という理由で
人目に付かないことをいい事に、俺をフルボッコに殴ってきた。最初は俺も反抗したが、筋肉も大してついてる訳でもない贅肉まみれのデブだった俺の攻防は一瞬にしてなぎ払われ、結果的に顔に傷がつき、肋骨などを骨折するほどまでの負傷を負った。
その状態で家に帰ると、親から「なにがあったのか」と心配したような声をかけられたが、反抗期気味であった上に、その心配した様子が上辺だけのものに見えてしまい、「なんでもない。」といい、はぐらかした。今思えば、ここで親に相談でもしておけば多少、マシな生活を送れていたかもしれない。
………
こうして、俺の人生で初めてのいじめが始まった。
その陽キャは、学校内の周りの目がある場所では俺を玩具で遊ぶような感覚で、だる絡みを繰り返してきた。きっと、なにも知らない周りの奴らから見ればさぞ微笑ましい光景だっただろう。
俺からすればそれだけでも十分精神的な苦痛だったがな。
……しかし、周りの目がないトイレの中や、校舎裏などでは、だる絡みなどというレベルのことでは済まされなかった。以前のようにグループで殴られ蹴られのリンチ攻撃などは当然あったが、さらにその上、無理やり衣服を剥ぎ取られ、俺のムスコをスマホで撮影されてしまい、それがクラスチャットなどにその陽キャ共のせいで広められてしまったのだ。そのせいで俺は粗〇ンという不名誉なあだ名をつけられ、俺の心の傷はさらに深まって行った。
だがそんな地獄の中でも唯一友達でいてくれた菩薩様のような女の子がいた。その女の子は、明らかに周りに嫌悪されている俺を、そんなこと関係ないといわんばかりに明るい笑顔で話しかけてくれた。大して中が深まっていない俺を遊びにさそってくれたりもしてくれて、その中で俺は女子に見栄張って奢ってやったりもした。
つい、脈アリなんじゃないかと勘違いしてしまうほど、その心の広さと優しさには女神のような神々しさがあった。それだけの事かと思うかもしれないが、俺はその女子の存在が俺の心には大きな存在で、それがエネルギーとなり、いじめを受けながらも暫くは学校に通っていた。
しかし、やはり人間ってのは信用できない。
夏休みにさしかかろうとしていた一学期末頃、実はその女の子……いや、女は俺がいじめられていると分かっていながらも、いじめの主犯格である男と付き合っていた事が発覚した。女はそこそこ可愛く、カースト上位らしい様子だったため当たり前っちゃ当たり前だが、正直その事実に落胆し、その女と話す気にはなれなかった。
女が陽キャの男と付き合っていたという事実だけがあるだけならまだ落胆するだけで済んでいた。
だが、そんな簡単にこの苦しみが終わるわけがなかった……終わるはずがなかったんだ。
俺がいつものように校舎裏で陽キャ達に殴られ、リンチにあっている時、その時は珍しくグループの主犯格の男がいなかった。その男は髪こそ染めてなかったものの、高い鼻に猫のような大きな目、目の横にはホクロがあるという特徴的な容姿だったため、直ぐにそいつが居ないことに気がつくことが出来た。
その時俺は、今回はあいつの分まで殴られなくて済む、そんなことを考えてしまった。……きっと、死亡フラグというものは声に出さなくとも考えるだけで、その効果を発揮してしまうのだろう。
「おぉい〜!ヘラを連れてきたぞ〜。」
その瞬間、奥からあの女の腰にいやらしい手を当て、意気揚々と陽キャがやってきた。
…………
それから先の記憶は、あまり曖昧で覚えていない。
…………
…………そうだ、そうだ……少しだけ思い出した。
あの後、陽キャは女に「こいつのことどう思ってる?」と聞いたんだ。俺はその女に大して落胆はしていたが、どこか期待の心が残ってしまっていたのだろう。俺は助けを求める目線を女に送った。
だが、女は俺を虫けらを見るような目で見ながらこう答えた。
「都合のいいやつ……て感じだよね〜。」
そうして俺はその発言で完全に気力を失い、そのまま体がボロボロになるまで蹴り飛ばされ、そのまま迷いなく家に帰宅し、親の心配する声を受け入れることなく自分の部屋に直行した。
それ以降、俺は部屋から1歩たりとも出ることは無かった。
……きっとあいつも今は幸せな生活を送ってることだろうな……実に忌々しい、呪ってやりたいと思う。
そんな、いつものように賢者タイムで思考を巡らせ終わると、俺はいつもどうり、うさぎも驚く性欲で、朝からエ〇ゲを楽しんでいた。エ〇ゲの女は裏切らないからな……。
人間不信の俺にはとても素晴らしい娯楽だ。
…………………………
その時、背後から凄まじいスピードで台パンしたような破裂音のような音が聞こえてきたため、贅肉の重さを感じながら後ろを振り返った。
するとそこには血走った般若のような形相でこちらを睨みつける親父がいた。
親父はいつも母さんと一緒に俺の部屋に来ては、俺の気持ちなどを考えず、説教垂れていたため正直嫌いだ。身勝手な主観かもしれないが、そう俺が感じているならそれは俺にとって事実となるのだ。
……しかしいつもいるはずの母さんがいないな?
まぁかならず一緒にやってくるわけじゃないだろうし、気にすることじゃないだろう。
「ハァ……ハァ……
お前……………………いつまで親のスネかじってるつもりだ……………………
お前のせいで……母さんが死んだんだぞッッ
お前が働いていれば、母さんはあんなことにはならなかったんだ......」
意味がわからない。俺はなにもしていない。
まさか母さんが自〇でもしたのか?......
だが、俺は別に母さんに特別なにか暴力を奮っていた訳でもないし、なにか暴言を吐いていたわけでもない。ニートでありながらそーゆーとこは無駄な道徳心が働いており、なんとも自分に腹が立つ。
「ど…………ど………………どーゆーことだ?親父?」
久しぶりに使う声帯を力いっぱい開きながらそう質問した。誰とも合わなかったため会話する機会がなかったため、喉が鍵のかかった車輪のように締め付けられており、声を出す時に刃物でさされたような強い痛みを感じた。
「………………お前…………俺たちの目がないところでカードの金使ったろう……。
その証拠として請求がたんまりきてんだよ………。」
親父はこちらに勢いよく手紙らしきものを投げつけてきた。その手紙の袋を破り、かかれている文を見ると、確かにそこには気絶しそうなほどの金額の請求額が乗っていた。だが、俺はそんなことをした覚えは無い。確かにクズニートであることには変わりないが親の金を抜き取るほどのクズじゃない。
きっとこれは新手の詐欺かなんかだ。この誤解をとかなくてはきっとまずい……。
「そのせいで、家計が困難になった上、お前の世話に滅入ってしまった母さんは、飛び降り自○をした……。
お前は知らないかもしれないが、母さんはあぁ見えて心が弱かった……。」
……やはりそうなのか。……俺は正直親のことは嫌いではなかったが、同時に好きでもなかった。
ただただ、俺の気持ちも理解しようとせず、ただ俺を部屋から出すことしか考えてないような言葉しか投げかけてこなかった。上辺だけの慰めと説得の言葉だと今でも思う。
だが、どんな相手でも誤解されるのは御免だね。
「いや……俺は違…………。」
喉を痛ませながらも声を出すと親父はそれを遮るように声を荒らげた。
「そうだったなぁあ!!お前はそういつも言い訳して逃げてばかりだったなぁ!!!」
親父はそのまま、ズカズカと入り込んできては部屋のものを蹴飛ばし、俺の愛用していたパソコンすらも蹴り上げ破壊しだした。
俺はすぐさまなんとか立ち上がり、その破壊行為をやめさせようとしたが、脂肪で重たくなった体は言うことを聞かず、そのまま突き飛ばされてしまった。
後頭部を打ってしまい、かなりジンジンする。
「このクズニートがァァアッッッッッッ」
その途端親父は、倒れている俺に馬乗りになると首元を躊躇無く掴み、締めてきた。
親父はもう60代になるが、以前は空手の有段者であったため、未だにその力は衰えておらず、俺はそれに対し抵抗なんてできなかった。
「がッッ…………ガッッ……。」
声を出そうとするも、もう既に喉が潰されていたため、出るのは屍同然の情けない声ばかりだった。
既に首を絞められる苦しみは感じられず、虚しさばかりだけが心に広がっていく。
「母さんはッッッなんどもお前を助けようとしたッッッ
だがお前は聞く耳を持たない上に母さんをこんな形でおいつめたッッッッ
……………母さんのためにも死んでくれ……
〇〇〇……」
久しぶりに名前を呼ばれたが、その名前すら聞きたくない。
…………………………………………
確かに、実際に母さんは俺にいつも気にかけてくれていた…………だからなんだというのだ。
人間というものは1度折れたら、立ち直れるようなもんじゃない。
植物は折れても再生するかもしれないが、今の俺にそんな生命力と気力は無い。
…………………だが
もし…………もしだ。
……次変わるチャンスがあるのなら……
俺はこんなクズニートにならないような人生を送れるのだろうか。…………
人並みに青春を送り、人並みに仲間や友人を作り、人並みに働き、人並みに愛する人と出会い、家庭を築く……そんな人並みの人生を送れるだろうか。
いや……たとえやり直せたとしても、俺がそんなラノベの主人公みたいなこと、できるはずないか………………
所詮、アニメの見すぎの馬鹿げた幻想だな。
そうして俺は息さえすることがままならなくなると、目の前の背景がだんだんとボヤけ、暗くなって行っているのに気づいた。だが、そこにはうっすら涙を流す親父の姿も見えた気がした。
息子を殺したことを今更後悔しているのか?バカバカしい…………。
…………こんなひねくれた思考だから、こんなクズニートになったんだろうな。
……………………まぁ…………、そんなクズニートの最後ならばこれが1番お似合いだろう。
俺はそんな全てを諦め、不貞腐れた捻くれ感情を抱きながら、だんだんと深い眠りについた。
しかし何故か、目の前が真っ暗になり暫くたった頃、「死ぬんだな俺」と、強い思いが心の底から込み上げてきた。その途端、いままでの出来事が走馬灯として目の前に映画のように流れ出し、何故か俺は心から涙を流してしまった。嫌な思い出ばかりなはずなのに何故か泣いてしまったのだ。
そんな、悲しみにくれ、意識が薄まる中、真っ暗な視界に突如、俺を助け出すような光の手が見えた。
同時に「やっと見つけた。」という声がきこえた気がする
…………きっと俺が死にたくないあまりに俺自身が生み出した幻覚だな……きっとそうだ。
そうして俺の意識はその手を受け取るように、消えていった。。
…………………………まぶたの裏からなにか光を感じる……
おかしい、俺はいまさっき親父に殺されたはずだ……
……………………
……ん?何故かいつものように目が覚めた。起き上がると、そこに広がっていた光景はいつも見慣れていた俺の部屋でも、親父に破壊された荒れた部屋でもなかった。
その周りの光景からは、椅子が並べられ、まわりには宗教画っぽい絵画が飾られているため、かなり大きなキリスト教の教会のような建物っぽい印象を受ける。
周りには俺に向かって手を合わせ、祈りを捧げている、アジア人と白人をまぜたような、あまり見たことがない人種のやつらがいる。
俺は崇拝している偶像の上で寝てしまっていたのではないかと焦ったが、よく見ると俺は祀られる偶像のように祭壇に寝ていたのだ。
まさか、こいつらは俺を信仰しているのか?このクズニートを信仰したところで、ご利益どころか、きっと信者に災厄がひっ付いてしまうだけだろう。
その途端、いまさっきまで祈ってた人たちがなにやら驚いてすぐさま誰かを呼ぶような叫び声を上げて、どこかに行ってしまった。
「英雄が復活なされぞッッッすぐ王をお呼びしなくてはッッッ」
言葉は明らかに日本語じゃないのに何故か理解出来る……。
しかし俺が英雄だと?ありえない。
英雄というのは、ナポレオンとかの、人々を導く勇者のようなものだろう?
俺は英雄って称号よりも、親殺しの外道って言ったような称号のほうがお似合いだ。
そんなことを考えていると、しばらくして、教会の入口辺りから物凄いスピードで走る足音が教会全体に響くように聞こえてきた。ふと走る音が聞こえてくる方向に目をうつらせると、そこには女戦士と言ったような凛々しい風貌の赤毛の美女がおり、こちらに嬉しいそうに走ってきていた。
何故だ?理解がおいつかない……、これは死ぬまでに神様が見せてくれている夢かなにかだろうか?ならば存分に楽しみたいものだが、正直夢にしてはあまりにもリアルすぎる。
「ペルクレスッッッ
はぁ……はぁ……予言どおり……目が覚めたのねッッッ」
その途端、その美女によって俺は祭壇から引きずり下ろされ、強引に抱きしめられた。
よく見るとその女は目から涙を溢れ出すように流しており、何度も「よかった……よかった……」と嬉しそうに呟いている。
この美女はどうやら俺の事をとても愛しているように見えるが、何故こんな状況で、こんなにも俺が起きたことに喜ばれてるのか、さっぱりわからず放心状態だ。
同時にその奥から、まさに王様と言わんばかりに、髭を蓄えた姿をした男が話しかけてきた。
「ついに目覚められたか、英雄よ…………」
王らしき男は見た目以上に渋い声でそう呟いた。その王の登場を皮切りにさらにその後ろから色んな奴らがこの教会にかけこんできた。
こいつもとても嬉しそうだ。
……だが人間不信で女性恐怖症のニートであった俺はつい、抱きしめている美女を突き飛ばしてしまった。それに対して美女は、なんで……?と言わんばかりの表情を見せた。そこには深い悲しみと動揺が感じられる。
「あの………………ここはどこですか?」
声が出た。出ないはずの声が出た。
自分でいうのもなんだがらとても爽やかなイケボな
俺の知らない声だった。
周りは、まさか……という感じに顔が強ばり始め、強く俺の言葉に困惑しているのが伝わった。
だがその中でも赤毛の美女だけは、直ぐに俺の肩を掴み顔を近づかせ必死に訴えかけるように叫びはじめた。
「私よッッッアンよッッッ
ペルクレスッッッ忘れちゃったの?私たちのことッッッ
……なんで……なんで……。」
またもや泣かせてしまった。
目と眉毛が吊り上がって凛々しい顔が、直ぐに萎れた花のように涙でぐちゃぐちゃになってしまった。
正直可哀想に、という感情があまり直ぐに出てこない。女ってやつには嫌な思い出があるため、どうしても抵抗感があるのだ。
まさにエヴァ〇ゲリオンのATフィールドといった感じだ。
「英雄よ……まさか……記憶を無くなられたのか………………だが仕方あるまい……あの転移の魔術で
膨大なマナを消費したのだ。預言通り復活するだけ奇跡だ。」
王と思われる男がアンと名乗っていた美女と周りの人たちを宥めるようにそう発言した。
魔術だと……?ここでは中世ヨーロッパのような魔術信仰がいまだに残っているのか?ならばどれだけ文化が遅れている地域なんだ。
「…………混乱していると思うが
念のため簡単に今の状況を話そう……。
私の名は聖王 ユピテル・スピキウス。
そしてあなた、ペルクレス・デウスディアは、魔界かと人界の境を崩壊させ、人界へと侵略してきた魔王三体を約5年前に封印した、我々人族の英雄であり、神の子だ。
また、ここは聖大陸の人族最大の国家、ポリマディア聖王国である。
魔王は封印されてるが、魔王軍の残党の魔族たちに
人族国家は実質的に支配されている。
……これ以上騒ぐと、監視の魔族がやってくる…………あとは個室でアンが教えてやってくれ。」
そう王らしき男が現状言った後、走るように戻っていた。
……………………………………
魔王?魔術?、厨二病か?……
だが、明らかにあのユピテルといった王の表情は真剣だった。そんな厨二病か?、と茶化すような雰囲気にはとうてい見えない。
俺は女神〇生とかのゲームも食わず嫌いせずに、よくやってたから、魔王サ〇ンやら神の子イ〇スなんかは聞いたことあるが…………明らかにそんな宗教だけの話とは規模が違うだろう。
だめだ、まだ混乱して理解が追いつかない……。
………………………
つまりだが…………
ここは決して、ヨーロッパの田舎町なんかではなく、地球……いや、この宇宙とは全く異なる異世界で、俺は英雄として復活……
いや、転生したのか。
………………………
………………………じゃあ死ぬ前の願い。
変わるチャンスが今これなのだろうか……?
たんなる幻想として抱いた願いが今、現実となった。この抱きしめられた感触や、声の聞こえ方からして夢などでないのは明らかだ。
この世界が異世界ならばきっと以前の世界とは異なる価値観に、人々、文化や技術があるはずだ。
話をきくになにやら戦後の暗黒期といった感じだが、そうだとしても俺には十分だ。
きっと前とは違うこの世界ならば、俺はやり直せるに違いない。
もしここで心を入れ替えることなく、ただ呆然とたたずむばかりでは、ニートにならずとも、同じような腐った人生を歩んでしまうに違いない。
ならば、そうならぬように覚悟を持ってこれから生きていこう。
俺はなぜだかしらないが、異世界に英雄ペルクレスとして転生し、新たな人生を歩む「決意」を心に刻んだ。
人間不信のペルクレスは、これからどうなってしまうのか……。