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-4-「なんだ!? これは」

 時空間魔法って何だ?この魔法で異世界に行けるのか・・・

 画面にはカウントダウンは表示されていないぞ。


 ギルドマスターが言っていた、特別な魔法かもしれない。

 滅多に覚えられない魔法で、個人の資質が大きく影響するユニーク魔法って言ってたな。

 確かめる方法も無いから、その辺はどうでも良いか。


 暫く座って考えていると、魔力が僅かに消費される感じがした。

 消費というよりも、何処かへ持って行かれてる感じに近いな。

 時空間魔法を取得する前には感じなかったから原因はこれだろう。雷魔法でなんとなく魔力の流れを理解出来ていたので、時空間魔法に魔力が流れている感じがわかる。たぶん、異世界へ転移する為の魔力を蓄積しているのだろう。

 普通の魔法とは違い、異世界に行くんだ。大量の魔力が必要だろうし、普通に魔力を込めたくらいでは無理なんだろう。時空間魔法で作った、何処かの場所に俺の魔力を溜め込んでる感じがする。

 魔法は一度に使い過ぎると、魔力が無くなり気絶するらしい。使い方を間違えば魔力不足で死ぬ事もあるらしいから、その対策なんだろう。


 試しに、時空間魔法を発動させてみる。

 ・・・はやり、転移しない。


「なんだ!? これは」


 右手の側に黒い渦のような物が現れた。

 時空間魔法を発動させて現れたんだから、俺の魔法だと思うが・・・


 直径30cm程の黒い渦が浮かんでいる。渦というよりも、空間に空いた穴に近いだろうか。渦に厚さは無いようだ。逆側からは渦は見えない。

 テーブルに置いてあったコップを、ゆっくりと入れてみる。コップを途中まで入れて横から見ると、渦の中に入った部分が消えている。渦から引き抜くと、元のコップのままだ。

 今度は右手を入れてみる。何の抵抗もなくスポッと入った。痛みも無ければ、温度も感じない。何かを触ろうとしても、何も触れない。


「今は何も入ってないから、触れないのか?」


 先程のコップを渦の中に軽く放り投げる。コップが落ちた場所目掛けて右手を入れるが、何も触れない。コップはどこだ?と思った瞬間、右手にコップの感触があった。

 コップを取り出して見たが、右手にもコップにも異常はないようだ。

 コップや携帯電話を入れて何度か試して使い方がわかってきた。物を出し入れ出来る空間で、中は時間経過がほぼ無いようだ。


「あとは、入口よりも大きい物が入るのか、容量はどれくらい入るのかを確かめるか」


 だが、入口よりも大きな物を持ち上げて移動させるのも大変だぞ。

 俺はテーブルを見ながら、入れと念じてみた。

 あ!テーブルが消えた。渦の中に手を入れるとテーブルにさわれる。だが、とても片手で引っ張り出したり、持ち上げる事なんてできないぞ。

 テーブルが有った場所を見ながら、テーブル…出ろと念じたら出てきた。元の位置から10cm程ズレているが、元通りだ。


 あとは、容量を調べたいが、俺が思いつく中で手短にある一番大きな物はこの家だ。だが家を入れる訳にはいかない。もし家が入ったとしても上下水道や電線が切断される事になる。

 家中の家具を全部入れるのも一つの手ではあるが、戻すのが大変だ。テーブルで試してわかったが、寸分違わず元の位置に出すには相当な練習が必要だぞ。


 俺は外に出て、近くに誰もいない事を確認した。

 そして、自分の車に向かって入れと念じたら車が消えた。直ぐに車を元の位置に出し、もう一度周りを見る。誰にも見られて無かったようだ。


 車のサイズなら入る。重さなら1トン以上入るって事はわかった。これ以上は今は調べる方法が無いので止めておこう。



 あぁ。腹減った・・・

 異世界じゃ、マトモな飯が食えなかったからな。


 冷凍庫から冷凍焼きうどんを取り出して、電子レンジでチンする。

 チンするだけで、なぜ『焼き』うどんになるのか良くわからないが、旨い。

 冷凍食品がマトモな飯と言えるかは別の問題だから考えてはいけないな。などと考えながらテレビをつける。


「ダンジョン21層のオークの肉が、安全で極上の肉質だと発表されました」


 オークって、二足歩行するブタだろ?ヨダレを垂れ流しながらブヒブヒ言って襲ってくる。姿は醜いが、体臭はそれ以上にキツいブタだろ。あんなのを食うのか。


 魔物は倒した後、魔石に変わる間に手早く剥ぎ取れば、その部位は消えずに残る事は知られている。だが食用の肉として捌くのか。


 珍味好きの金持ちや、食料不足の地域では流行るだろうな。

 俺は・・・餓死する寸前までは食べたくないな。


 あれ?もしかして、異世界の食堂で隣の人が食べていた肉って・・・

 うん。考えないでおこう。




 外は暗くなっている。

 限界集落のド田舎だ。夜中に出歩くような人は誰もいない。


 俺は土手を昇って川岸まできた。月明かりのおかげで水面が良く見える。

 まだ試していなかった魔法、火魔法の練習だ。


 魔力を集中させ、右手を出し「火球」と唱えた。

 目の前に炎が現れ、徐々に回転して球体に形を変えていく。10cm程の球体に纏まると同時に飛んで行った。


 水面に着弾し、そのまま水中に火球が潜った。


 ドガーーン


 次の瞬間、大爆発を起こした。たぶん水蒸気爆発だろう。

 俺は着弾場所から50mは離れていたので直接の被害は無かったが、全身ずぶ濡れだ。


「相当な威力だが、水蒸気爆発には気をつけよう」


 思ったよりも簡単に火魔法が使えた。魔法ってこんなに簡単に使えて良いのだろうか。体内の魔力には、まだまだ余裕がありそうだ。

 練習の続きはダンジョン内で行った方が良いな。獅子乃原(シシノハラ)ダンジョンは俺しか入る人がいないから、問題無いだろう。


 今の爆発音で誰かが来る前に帰ろう。

 こんな夜中に全身ずぶ濡れの俺。誰かに見つかったら面倒な事になりそうだ。


この物語はフィクションです。  

実在の人物・団体・地名とは一切関係が無いとは限りません。


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