クーデレって‥‥‥男の夢だよな!
俺、七河蒼空は今、七海の頭を撫でている。ずぶ濡れの彼女の頭を。
俺は七海が安堵と気持ちの昂りで涙を流していたので、それを落ち着かせるように。完璧な俺ってフォローも完璧!
でもこの状況が続くのが流石の俺でも少し恥ずかしくなってくる。俺は完璧だけど羞恥心はある。可愛いだろ!
「いや〜!!
俺ってなんでこんなカッコいいんだろうな!」
沈黙を破るために俺はそう言った。事実だけど!
「そうね、、さっきはカッコよかったわ」
「だろ!?、、、、今なんと??」
「もう言わないわ」
で、デレた!!!毒舌クール美少女がデレたぞ!!!
クーデレって‥‥‥男の夢だよな!
は!?いかんいかん。そんな場合じゃない。
高島が濡れた床を掃除すると言ってくれたため俺たちは人気がない所にとりあえず移動した。濡れた七海を他の人に見られないように。
彼女は普段他の人に猫かぶってるし、こんな姿誰にも見られたくないだろう。
「七海、寒くないか??」
「かなり寒いわよ。早く家に帰りたいわ」
当然だ。俺のハンカチやブレザーを貸してもそこまで効果はない。早くしないと俺の彼女が風邪を引いてしまう。
「でも七海。その状態で自分の家に帰ったら
絶対何か言われるぞ」
七海は考え込んでいる。これは俺の出番だな!
「じゃあ、頼れる彼氏の家来るか!」
「行く」
「だよな!そりゃいきなり男の家に来たりは、
え????」
「行くって言ってるでしょ。
今はあなた以外に頼れないし、仕方なくね」
マジかよ。正直予想外だ。俺の事を少しは頼りになると思ってくれてるらしい。そしてデレっていいよなあ!
「わかった。大丈夫安心して!
俺一人暮らしで家族と離れて暮らしてるからさ!
俺の両親に挨拶とかは考えなくていいよ!
そういうことは急がずにいこう!!」
七海に気を遣わせないように俺は言った。完璧だからな!
「フフ、何言ってるの?
誰も挨拶のことなんて考えてないわよ。
それにあなたのことは信用してるから。
一人暮らしでも家族と暮らしていても
どっちでもいい」
「‥‥‥お前どうした?なんかデレデレだぞ?
熱あるんじゃないのか?
悪い七海。デコに触れるぞ?」
「なんであなたが、
自分のおでこを私に近づけてくるのよ!!」
そう言ってビンタされる。すげー痛い。
いやさすがに冗談に決まってるじゃん。けどこれで元気出たかな。しかも冗談にもユーモアがある。さすが俺だ!
おでことおでこなんて非効率すぎるしな。
他意はないよ???ホントだよ?
幸い放課後だったので、濡れている七海を他の人に見られることはなかった。これで七海のイメージを壊さずに済んだ。
それに、濡れ透け彼女を見るのは彼氏の特権だからな!まあ偽だからそんなこと言ったらビンタされる!
今俺の住んでるマンションは高校からかなり近い。徒歩5分くらい。だから七海に家に来ることを提案したんだけどな。
俺が住んでるマンションに着く。俺が住んでいるのは2階だ。七海と一緒に俺の家の前に着く。
「本当に一人暮らしなのね」
「いやそこで嘘つかないよ!?つく意味ねえだろ!」
そう言いながら俺は玄関のドアの鍵を開ける。
「そこで待ってて!タオル持ってくる」
七海を玄関に待たせて俺はタオルを取りに行く。
そして持ってきたタオルを七海に渡す。
「ありがとう」
「礼はいらないぞ!完璧な俺は気がきくから
当然のことをしたまでだ!」
「あいかわらずね。その自信が腹立つわ」
どストレート。辛辣‥‥‥でもいつもの切れ味が戻ってきたな。元気が出てきて良かった。
「とりあえず風呂入ってけよ。
今から湯を溜めると時間かかるから
シャワーでいいか?」
「‥‥‥本当にいいの?」
「良いって言ってんだろ。彼氏には甘えなさい。
そんなかしこまっていつもの七海らしくないぞ?
やっぱ熱あるんじゃ?やっぱり測っておいた方が」
「あいかわらず失礼な人ね。
わかったわ。お言葉に甘えとく」
そうそう。お前はそれでいいんだよ。
「それじゃ入ってこい。
バスタオルとかは用意しておいてやるから。
その濡れた制服とブラとパンツは
洗濯カゴの中に入れといてくれ。
俺が責任持って洗濯するからさ!」
「言い方が気持ち悪い。
でもお願いするわ。
あなたのことは信用しているから」
時々褒めてくれるのはなんですかね‥飴と鞭??
「それじゃ着替えとバスタオル置いておいたから。
さあ、入った入った。」
そう言って俺は七海の背中を押して浴室へ。
しばらくするとシャワーの音が聞こえてくる。
一人暮らしの男の家で美少女がシャワーを浴びている。何も起こらないはずがなく‥‥‥たぶん。