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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
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素直になれない女の子 第3話 相談と接近

 弟さんと初めて話してから、かなりの時間が経った。


 あれ以降、一度も話してない。


 その間に色々なことがあった。


 悠凛会長とLINEを交換できたり、悠凛会長が引退したりなど。


 そして何より、私は生徒会副会長になった。


 会長になった人は悠凛会長の後輩で、前期は副会長だったらしい。


 とても性格が独特だけど、悪い人ではない。


 この話は、今は重要ではないからあまり話さないでおく。


 何故か私は告白されることが多くなった。


 髪型を変えたから? コンタクトにしたから?


 副会長になったから? 前より目立ったから?


 わからないけど告白を受け入れることはない。



  私は恋愛的に好きな人なんて、いないから。





 今は2月の終わり。


 卒業式まであと数日。悠凛会長が卒業してしまう。



 その悠凛会長から私は呼び出されていた。


 しかも休日。とあるカフェに呼び出された。


 「受験は大丈夫なんですか?」


 「だいじょーぶ! 結果待ちだし、自信あるから!」


 この人がここまで言うのだから大丈夫だろう。


 「そうですか。それで、話って何です?」


 「ああ。それはね‥‥‥」


 「?」



     「弟を気にかけてやってほしい」



         「‥‥‥え?」



 驚いた。当然だ。私は数ヶ月前に、全く逆のことを言われたのだから。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 12月。


 とある喫茶店。


 私は悠梨会長に呼び出された。呼び出されるなんて初めてのことだ。


 「澪里ちゃん。お願いがあるんだ」


 「なんですか? なんでもどうぞ!」


 「ありがとう」


 悠凛会長が私の顔をジッと見つめてくる。何かを覚悟した顔だって。それほど言いづらいことなんだろうか。




     「‥‥‥弟と関わないでほしい」



         「‥‥‥え?」



 完全に予想外のことを言われた。関わらないでほしい?どういうことなんだろう。


 私はあれ以来全く交流が無かったため、弟さんの変化に気づくわけがなかった。


 でも、()()()くらいは知ってる。


 そう考えていると悠凛会長が話し出す。


 「ソラと澪里ちゃんってまだ親しくないよな?」


 「は、はい。4月以降会ってないので向こうも

  私に全く気づいてないと思います」


 「それは好都合だ。頼む! 関わらないでくれ!」


 「な、なぜですか? 理由を聞いても?」


 「‥‥‥ごめん。理由は言えない」


 「え‥‥‥?」


 理由が言えない? なんで?


 「弟のためにも理由は言えない。

  私が本人なら、絶対に言われたくないから。

  でも私はもう卒業してしまう。

  だからもう頼れるのは

  楓と、澪里ちゃんしかいないんだ!!」


 会長が涙を流した。初めてだ。この人が泣いてるところを見るのは。


 「私には何もできなかった。

  今まで気づいてあげられなかった。

  助けてあげられなかった。

  姉だから、家族だからこそ弟は私に

  気づかれないように振る舞ってたんだ。

  本当は私が何とかしたい!助けたい!守りたい!

  でも、私が直接動くわけにはいかないんだ!!」


 会長が拳を握りしめる。悲しい、悔しい気持ちが伝わってくる。


 私が何とかしてあげたい。


 「‥‥‥私が近づかない方がいいんですね?」


 「‥‥‥ああ」


 「わかりました。

  とりあえず弟さんには近づかないようにします」


 「本当にごめん。仲良くなってほしいんだけど」


 なんで悠凛会長が謝るのだろうか。本当に人が良すぎる。私は会長の頼みだから叶えてあげたいと思うのだ。


 「私はもう卒業だ。離れてしまう。

  私が頼れるのは楓と、澪里ちゃんしかいない」


 そんなことないと思う。


 でも、このような頼み事をできる相手として、私の名前が上がってくれるなら本望だ。これ以上嬉しいことはない。


 「ちなみに、楓会長には話しました?」


 「‥‥‥話してない。

  楓はあの性格だから、

  絶対に理由を聞き出そうとする。

  だから言わない方が良いと思ったんだ。

  それに、あの子はソラを気に入ってる」


 「そうなんですか?」


 「ああ。何故か最近私に聞いてきたんだ。

  『弟くんのこと教えてくれませんか?』って」


 「楓会長が人に興味を持つなんて珍しいですね‥‥‥」


 「だから言わない方がいいと思った。

  そういうわけだから、頼む!」


 「はい! 任せてください!」


 悠凛会長の頼みは、叶えてあげたい!!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「弟さんに何かあったんですか?」


 「ああ、だから今度は関わってほしいんだ」


 「何があったか聞きませんが、良いことですよね?」


 「ああ! 良いことだ!!」


 「よかったですね!」


 「ああ! 本当によかったっ‥‥‥!!!」


 悠凛会長から涙が溢れる。安心しているようだ。


 「それで、私は何をすればいいんですか?」


 「例えばなんだけど、ソラに近づく女子がいたり、

  ソラが目立った行動、もしくは騒動を起こした時に

  澪里ちゃんがソラに接近してほしい」


 「なるほど。ちなみに理由は、聞けませんよね?」


 「‥‥‥ああ、言えない。すまない」


 「わかりました。私に任せてください!」


 「‥‥‥ありがとう! ソラを頼む!!」



 こうして、私は条件が揃えば弟さんに近づくことになったのだ。



 そして、条件はすぐに揃った。


 しかも、2年生に進級してすぐだ。


 弟さんが七海結愛と付き合い始めたなど、それはお試しの付き合いなど、そのことを大々的に発表したなど、まさかの全ての条件が揃ってしまった。


 これは接近せざるを得ない。


 だから私は、彼に接近を試みた。


 悠凛会長、良いですよね?


 弟さんと七海のお試し交際が終わった直後に接近すると怪しまれる。だから少し時間を空けよう。


 そして約3週間後。ついに行動に移す。


 2年1組の教室の前に着く。緊張する。


 でも、悠凛会長のためなんだ!!




         「失礼するわ!」


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