表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
55/60

素直になれない女の子 第2話 イメージチェンジ

 あれから数日後。


 悠凛会長にあってから、私は二つのことに興味を持った。


 一つ目は生徒会。私は生徒会選挙に立候補すると決めた。


 私が立候補するのは後期だから、当選したら悠凛会長が引退した後に入ることになる。


 でも、生徒会自身に興味が湧いたので立候補しようと思う。


 二つ目は悠凛会長の弟だ。


 話によると私と同じ学年で隣の2組。


 あの人の弟なんだから興味を持つのは仕方がない。


 でも私は話しかける勇気がなかったので昼休みに2組の教室を覗いてみることにした。


 2組の教室前から覗き始めようとした瞬間に気づいた。




    私、弟さんの名前と顔を知らない。




 失念していた。何も知らないんじゃ覗いても仕方ないじゃないか。でも実際に来たのだから教室の後ろのドア前から覗いてみた。


 どうやら私の心配は不要だったらしい。


 だって、一眼見てあの人の弟が誰かわかったから。


 教室の窓際、後ろの席にその人が座ってる。


 頬杖をついて前を見つめている。


 明らかに他の人と雰囲気が違う。独特の雰囲気。



        あの人と、そっくり。



 この位置だと横顔しか見れないので前のドアの方に移動して覗く。


 ここから覗くと彼の顔がほぼ正面から見れた。


 に、似ている。かなりあの人に似ている。


 あの人の弟だというのも頷ける。


 あの人の綺麗な顔に似ているため男らしさがあまりなく、少し中性的な感じ。


 女の子の服とか普通に似合いそう。


 でも間違いなくカッコいい。それにあの人の弟ということもあって、さらに興味を持った。


 思わず目が釘付けになっていた。


 「1組の雛野さん? どうしたの?」


 2人組の女子に話しかけられた。


 「!! え、えっと」


 そのため、このクラスの女子に話しかけられていることに気づかなかった。


 「あ、もしかして七河に興味あるの?」

 「やっぱ違うクラスだとアイツに興味でるよね〜」

 「七河、顔だけは良いからなぁ」


 「え、ええっと」


 ‥‥‥顔だけは良い? 他はよくないって言うの?


 「アイツ入学してからこの数日で告白された回数が

  2桁超えたらしいよ。でも全部断ってるって。

  どんなに可愛い子でも断ってるらしいよ。

  上級生の人たちも告白して玉砕してる。

  アイツに何か問題あるんじゃないの?」


 「別にそんなの七河の勝手じゃん。

  ほっといてあげなよ」


 すると2人組のもう1人の子がそう言った。校則にギリギリ違反しない程度に髪を茶色に染めていて、ギャルっぽい人。


 「桜、七河に興味あるって言ってなかったの?」


 「あれはアイドル的な存在だと思ってるよ。

  見てるだけで眼福ってね」


 桜さんがそう言った。好きってわけではないのかな。


 「あんた、変わってるね‥‥‥」


 「うるさい。あ、雛野だっけ。

  アイツに用があるなら呼んでくるけど?」


 桜さんがそう提案してくれる。


 「だ、大丈夫! ありがとう! 失礼しました!」


 恥ずかしくなってきたので教室から離れる。


 ここで私はミスをした。


 弟さんの名前を、聞くことを忘れていた。




 私は生徒会に立候補したいと思っているから、その努力をしようと思った。


 まずは勉強。試験結果の上位に自分の名前が来れば、少しは生徒会に適してると思われると思ったから。


 毎日勉強を積み重ねたことにより成績はどんどん伸びて、初めての中間テストでは学年5位に入ることができた。


 他の順位を眺めていると



        3位 七河蒼空



 と書いていた。七河ってことは悠凛会長の弟さんだ。


 なんて呼ぶんだろう。


 「お! 3位か! さすが私の弟!」


 その声が後ろから聞こえて驚いた。


 振り向くと後ろには悠凛会長がいた。


 「悠凛会長!」


 「お、澪里ちゃん久しぶり!

  学年5位とはすごいじゃないか!」


 「ありがとうございます!

  生徒会に立候補したいと思ってるんです!」


 「そうなんだ! がんばってくれよ〜!」


 「3位に書いてあるのって、弟さんですか?」


 「そうなんだよ!! さすがソラだな!

  姉として鼻が高い! 自慢の弟だ!!」


 悠凛会長が普段の3割り増しのテンションで答えてきた。


 そうか、ソラっていうのか。七河蒼空か。


 「弟さん、悠凛会長に似てますよね!」


 「お、そうだろ! 私に似て可愛い顔してるだろ?

  本人に言うと拗ねるけどな!

  そんなところも可愛い!!」


 どうやら弟が関わるとテンションが高くなるらしい。


 弟さんのことがかなり好きなようだ。


 「そ、そうですね」


 「澪里ちゃんも可愛いよ!」


 「そ、そんなことないですよ。地味ですし」


 「そうか?

  もしそう思うなら髪型とか変えてみたら!」


 「そうですね。

  悠凛会長は、私は何が似合うと思いますか?」


 「そうだな〜‥‥‥

  ツインテールとかどうだ!?

  澪里ちゃんに似合うと思う!」


 ツインテールか。やったことないから良いかもしれない。


 「そうだ! せっかくだしソラにも聞いてみよう!」


 「え、ええ!?」


 「呼んでくるから待っててね!」


 「ええええ!!?」


 急に、弟さんと会う機会が巡ってきた。






 「ユウ姉、教室に入ってくるのやめて!?

  目立ちまくりなんだよ!!!」


 「それは私とソラだから仕方ない!

  名誉なことだと思えばいいさ!」


 「そんなポジティブになれるか!」


 悠凛会長に腕を引っ張られながら弟さんが私の前に来る。


 近い距離で見るとカッコいいことが身にしみてわかる。


 教室で見た彼と、悠凛会長と話してる彼の印象が違った。教室の時よりも話しかけやすそう。


 やはり家族相手だと変わるのだろうか。


 「で? 話ってなんだよ」


 「この子イメチェンしたいらしいんだ!

  ソラ、何かアドバイスない!?」


 イメチェンしたいなんて一言も言ってないです‥‥‥


 「この子って1組の子だよな?」


 「え?」


 驚いた。まさか知られてるとは思わなかった。


 「お! 知ってるの!?」


 「まあなんとなく。イメチェンか〜。

  え? なんでわざわざ俺に聞くの?

  ユウ姉の意見だけで良くない?」


 「そんなこと言わずに! 男子の意見として!

  お願い! 後で頭ナデナデしてもらうから!」


 「嫌だよ!? ていうか俺が撫でる側かよ!」


 この2人、超仲良い。理想の姉弟に見える。


 「う〜ん。女子の髪型とか全然わかんないからな〜」


 「おい弟! もっと女の子に興味持て!

  そういう話は私が教えてあげるのに!!」


 「ユウ姉、考えてるから少し黙ってて???」


 「はい‥‥‥」


 もはや漫才に聴こえてくる。なにこれすごく面白い。


 「眼鏡じゃなくてコンタクトにしてみるのはどう?

  結構イメージ変わるんじゃない?

  この子、綺麗な目をしてるし良いと思う」


 「!!」


 自然にそんなこと言われた。やはり悠凛会長の弟だ。


 「いいね! さすが私の弟だナイスアイデア!」


 「いや大した事は言ってないと思うけど?」


 「わ、わかりました! 参考にします!

  ありがとうございました!」


 「またね〜!」

 「ほんとに何だったんだ?」


 私はさっき言われたことで顔が熱くなり、今の顔を見られたくなかったのでお礼を言ってその場から離れる。



    イメチェンか。悪くないかもしれない。




 土日を挟んで月曜日。


 私は教室に入るとみんなから視線を浴びる。


 「雛野さん可愛い!!」

 「超似合ってるじゃん」

 「ここまであの髪型が似合うとは」

 「コンタクトにしたんだ〜!」


 多くの意見が耳に入ってくる。


 そう、私はイメチェンをしたのだ。



   憧れと興味による、イメージチェンジを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ