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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
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勝負(?)の終わり

 初めて、友達ができた。



 「!? また泣きそうになってるじゃない!」



 「き、気にしないでくれっ」



 仕方ないだろ。嬉しすぎるんだよ。完璧な俺でも、嬉し泣きは普通にする。お茶目だろ?



 「あんた、涙脆いわね」


 「ほ、ほっといてくれ」


 「あんたって、面白いわね」


 「雛野にだけは言われたくないぞ?」


 「‥‥‥」


 「? どうした?」



 「‥‥‥呼び方」



 「え?」



 「‥‥‥友達になったんだし、呼び方変えようよ」



 上目遣いで頬を染めながらそう言ってきた。



 「い、良いな!!!!!!」


 「て、テンション高いわね」


 「なんて呼べばいい!? 澪里? みおりん?」


 「は? き、気安く名前で呼ぶな!」


 え? 俺たち友達だよね‥‥‥?


 「‥‥‥ニックネームで呼ぶのはどう?」


 「それいいな!! たとえば?」


 「そうね‥‥‥ナナくんはどう?」


 「‥‥‥くん付けはやめないか? 恥ずかしくない?」


 「ま、たしかにそうね! じゃあ、ナナで!」


 「それじゃあ、俺はヒナって呼んでいい?」


 「良いわね! 友達って感じがするわ!」


 「友達っぽいな!! いいなこの呼び方!!」



 呼び方を変える。まさしく友達みたいだ!!




   「それじゃあ、これからよろしく。ヒナ!」




         「うん。ナナ!」




 こうして俺と雛野、いやヒナは友達になった。


 まさか、友達とこうやって一緒に帰る日が来るとは。


 俺が今回がんばった意味は、あったんだ!!!


 これからの学校生活、超楽しみだ!!!!






 ヒナの家の近くまで来た。そういえばヒナを送るのは初めてだな。


 「そういえば、言い忘れてたことがあるわ!」


 「? なんだ?」


 「助けてくれて、ありがとう!」


 「? 俺、なんか助けたー」




           ちゅっ。




           「!?」



       頬に柔らかい感触‥‥‥??



     ヒナの唇が、頬に当たってる‥‥‥??




           は!!?



           は!!?



         「んぅ‥‥‥ぷはっ」



       頬からヒナの唇が離れる。


      ヒナの顔が真っ赤になってる。


      いや、たぶん俺の方が赤い。



         「は? は!?」



      「これは感謝の気持ち!!

       ありがとう、ナナ!!」



     ヒナはそう言って走っていった。



    これって、友達の距離感なのか‥‥‥?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ヒナと友達になった日の夜。


 俺は電話をかけていた。相手は‥‥‥


 「ソラ! どうしたんだ珍しい!

  姉ちゃん嬉しいぞ!」


 「ユウ姉、聞きたいことがある」


 「なになに!?」


 「好きな男のタイプは?」


 「ソラと同じくらい可愛い人!」


 「‥‥‥そう。それじゃおやすみ」


 「え? ちょっとまっ」


 電話を切る。


 ヒナ。家族でも知らなくていいことあったわ。





 土日が過ぎて5月23日、月曜日。


 土日は家で休養してた。そのおかげで体調はバッチリだ。


 テストも終わって日常が戻ってきた。


 今は結愛と一緒に学校に登校している。


 「今日は順位発表ね」


 「‥‥‥」


 「? 蒼空?」


 「! ああ。でも点数少し下がってるからなぁ」


 「それでも上位30位までには入ってるでしょ?」


 「それは入ってると思うが、

  せいぜい一桁切れないくらいだろうな。

  ああ〜悔しい!!!」


 「再テスト含めて10位前後でも十分すぎるわ」


 「そ、そう?」


 結愛って俺に甘くない? あ、これ前も言ってたな。


 「蒼空。昨日何かあったの? 様子が変よ?」


 「そうか? テスト終わりで浮かれてるかもな」


 「本当? それだけ?」


 「それだけだぞぅぇ!?」


 何だ!? 後ろからタックル!?


 いや、後ろから抱き着かれた?


 「ナナ、おはよう!!」


 背中から声が聞こえる。誰かは言うまでもない。


 「あ、ああ。おはよう、ヒナ」


 後ろから抱きついてきたのはヒナだった。


 昨日のことを思い出して緊張してしまう。


 か、完璧な俺が緊張してるだと!?


 「ヒナ‥‥‥? ナナ‥‥‥?」


 あ、説明してなかった。結愛から殺気を感じる。


 俺が言うんだ間違いない!!!


 「俺とヒナは友達になったんだよ」


 「友達ですって‥‥‥?」


 「そうよ!! 私とナナは友達よ!!

  そういうことよ!!」


 「何がそういうことよ? あなたたちが友達?

  どういう風の吹き回し?

  そして何より雛野さん、今すぐ蒼空から離れて」


 「なんで? 友達なんだから別にいいでしょ?

  ね! ナナ!!」


 「そ、そうなのか?」


 「そうよ! ナナ、ちょっと腰下げて!」


 「? こう?」


 「ほら見て! 友達なんだから!! ね〜♪」


 「「‥‥‥」」


 そう言うとヒナが俺の頬に頬ずりしてくる。


 うん、これは友達の距離感と違くない!?


 いや友達の距離感は俺にはわからないけど!!


 これ言ってて悲しくなるけど!!


 あれ? なんか前にも似たようなことあったよな??


 「‥‥‥それが友達の距離感??」


 結愛さん、君が言うとあれ?ってなると思うよ?


 「他の人の距離感なんて関係ないわ!!

  私たちの距離感は、私たちが決める!!」


 耳元でヒナがそう言った。


 「い、良いこと言うなヒナ〜!!

  でも今はとりあえず離れようね!!?」


 「ナナ、なに恥ずかしがってるの?

  ‥‥‥昨日の方が恥ずかしかったでしょ?」


 おい!? 何言ってるんですか!?


 「‥‥‥そらぁ?」


 「ヒェッ」


 「教室に着いたら詳しく教えてもらうからね?

  今のうちに説明の準備しておいて?

  嘘ついたら、叩き潰すからね♪」


 「‥‥‥はい」




 こうして、副会長との勝負?が終わりを告げた。


 勝負を持ちかけられたが結局勝負をせず、そして勝負を持ちかけてきた相手と友達になった。


 そんな話、誰が信じるだろうか。


 平穏な日々が戻ってきたわけだ。




        いや、平穏か‥‥‥?


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