表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第1章 学年一の美少女と。
5/60

俺の偽彼女

 俺と七海が一緒に帰ってから次の日。


 俺たちは2人で学校に来て上履きに履き替えようとすると、


 彼女の上履きが、下駄箱に入ってない。


 「え?なんで入ってないんだ?」


 「私が昨日洗濯したいから持って帰ったのよ。

  今日家に忘れてしまったわ」


 「そうか、じゃあ俺がスリッパ借りてくるから

  そこで待ってて!」


 そう言って俺は職員室に行ってスリッパを借りて、下駄箱前で待っていた七海に渡す。


 「待たせた、これ」


 「、ありがとう」



 彼女の様子がおかしい。完璧な俺ならすぐにわかる。


 七海が嫌がらせを受け始めたことに。


 たぶん嫌がらせをしているのはあいつだ。


 でも七海はこれを大事にしたくないんだろう。


 七海は良いやつだ。さすが俺の彼女!


 偽彼氏として助けなければ男が廃る!


 いや、言い訳だな。


 俺は、後に友達になる七海を助けたいだけなのだ。


 休み時間。


 「プリント取りに行って運ぶんだろ?

  彼女のお前にカッコいい所見せたいから

  俺も行く!」


 「‥それ口に出したらむしろカッコ悪いわよ」


 あ、周りに人いないから猫かぶってない。


 このように俺は七海とよく行動するようになった。


 俺が一緒にいれば嫌がらせできないだろう。


 そう思ってはいるが、やはり俺が彼女についてるのにも限界がある。


 昼休み。


 俺は七海に話しかける。


 「七海!一緒に学食行こうぜ!!」


 「私今日は弁当なんです。明日一緒に食べましょう」


 いや周りに人いるから猫かぶりモード!


 こいつこういう所しっかりしてるよな!


 さすが俺の彼女!


 「じゃあ購買のパンにするから待っててくれ!」


 そう言って俺はパンを買いに行くふりをして教室を出て廊下から教室の様子を見る。


 「七河より自分の方を優先させるとか

  あんたなかなかひどい女ね。

  あ〜あ七河が可愛そう」


 そう言って座っている七海の前に立って言っているのは高島。


 やっぱりお前か。一応確認できてよかった。


 「やっべ!!財布持ってくの忘れてた〜!」


 そう言って俺は再び中に入る。さすが俺だ演技がうまい!!


 「あれ?高島?珍しいな。

  七海に何か用があったのか?」


 「ちょうどあんたの話してたのよ」


 「え!?七海が俺にデレてくれたの!?

  いや〜その時の七海、見たかったなぁ」


 「アホらし。もう行くわ」


 そう言って高島は教室から出ていく。


 「財布忘れていくなんて珍しいですね」


 「だろ?お茶目な俺を見れたのは貴重だぞ!

  七海、幸せ者だな!!」


 「そうですね。幸せ者かもしれません」


 ちゃっかり猫かぶってる。


 でもちょっとデレた気がする!


 この俺の完璧なフォローよ!!


 だがこの俺でも全部防ぐのは無理だった。体育は男女別だし、周りに見られなさそうな女子トイレの中にはもちろん俺は入れない。いや他意はない。本当に!


 体育を終えて教室に帰ってくると七海の様子が普段と違うことがわかる。


 「七海、どうした?大丈夫か?

  この俺の最高おんぶで保健室まで行く?」


 「いえ。大丈夫です。

  お気遣いありがとうございます」


 別に気遣ってねえぞ!そして猫被りモード。


 話してると違和感すごいんだよな。


 その後3日経つと、七海は前より落ち込んでいるように見える。


 でも七海のがんばりのために気づいてないふりをする。


 「おい、疲れてんのか?大丈夫か?

  完璧な俺が癒してあげようか?」


 「何言ってんのよ。平気よ。気にしないで」


 そして周りに人がいないと辛辣。だが返事にあまり棘がない。明らかに普段とは違う。


 そしてそれを彼女の言葉のキツさ加減で判断できる俺はどうなっているんだろうか?




 俺の偽彼女は、性格がキツいように見えて実はとても優しい。そんな彼女だから俺は助けたいのだ。



 放課後。


 俺は七海の席に近づくと、涙を流していることに気づく。



 「七海!今日も一緒に帰ろう!」


 俺は七海の後ろから話しかける。今顔は見られたくないだろう。彼女は1人でがんばっているから。

 

 「!そうね。帰りましょう」


 彼女は袖で涙を拭く素振りを見せる。


 俺はすぐに彼女に背を向けて見なかったフリをする。


 こういうの見られるのが1番恥ずかしいもんな。




 「今日は疲れたなぁ〜!膝枕してください」


 「冗談言わないの」


 七海と帰りながら話をするが、やはり返答がぎこちない。ここは普段の彼女なら、嫌よ。気持ち悪い。と返してくるはず。


 もう我慢できない。強い彼女が泣くほどにまで嫌がらせが続いているんだから。根本的に解決するしかない。


 彼女になんと言われようと、俺がなんとかする。


 俺は、完璧イケメンだからな!



      そして次の日がやってくる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ