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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
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ポテンシャルが怖い

 目覚ましのアラームが鳴る。


 それで俺は目を覚ました。もう朝か。


 今日は5月19日、木曜日。


 テスト2日目だ!! 昨日休んだ分頑張るぞ!!!


 ‥‥‥あれ?苦しい?熱い?


 いや、昨日と同じ感じはしない。 


 これは、物理的な苦しさと熱さ‥‥‥?


 「‥‥‥またユウ姉か」


 隣を見ると案の定、ユウ姉が俺を抱き枕にして寝ていた。


 昨日寝る時にユウ姉はソファで寝て、病人扱いの俺は自分のベッドで寝たのだ。なのに朝起きるとこの状態。


 「ユウ姉、朝だぞ〜起きろ〜」


 返事がない。ただ寝てるだけのようだ。


 「起きろ〜!!」


 肩を揺らして全力で起こしにかかる。


 「んぅ〜? ふぁ〜‥‥‥ソラぁ?おはよう〜」


 「おはよう」


 普段テンション高い姉でもさすがに寝起きは例外らしい。


 「弟に起こしてもらえるなんて久々だ!

  最高だ!ソラ、ありがとう!」


 「苦しい!熱い!抱きつくなって!」


 抱きついてきた。前言撤回。この人いつでもテンション高かったわ。


 朝食を済ませて学校に行く準備をする。


 昨日と同じなら、もう少しで結愛が来るはず。


 すぐに行ける準備をしてないと相手に申し訳ない。


 「ソラ、なんでそんなに急いでるんだ?

  今日結愛ちゃんは来ないぞ?」


 「‥‥‥は?」


 なんで、ユウ姉が結愛が普段迎えに来ることを知ってるんだ?


 なんで、結愛が今日来ないって言ってるんだ?


 「なんで、ユウ姉が知ってるの?」


 「昨日LINEで結愛ちゃんに聞いた!

  今日は私が責任持ってソラを送ってくから、

  安心してって言っておいたぞ!

  今日もテストなら余計に結愛ちゃんに

  迷惑かけられないだろ?」


 いつの間にLINE交換した!?


 「ん‥‥‥?俺を送ってく?

  学校まであんなに近いのに車で?

  車乗ってきてたの?」


 「え?徒歩と電車で来たけど?

  さあ、行くか!」


 「え?」


 「うん?」


         ‥‥‥はい?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 蒼空、大丈夫かしら。風邪治ったかな。何かあっても悠凛さんがいるから大丈夫だとは思うけど‥‥‥


 私は今日、蒼空の家に寄らずに学校に来た。


 でも教室ではなく校門前で蒼空が来るのを待つ。


 悠凛さん、蒼空を送るって言ったけど車で来たのかな?悠凛さんが運転する車に乗りたい‥‥‥遊びに行ってみたい。絶対楽しい。


 そんなことを考えながら待っていると蒼空の姿が見えた。蒼空はかなり目立ってる。


 普段の数倍は目立ってる。だって普段は今日みたいに周りがざわつき、視線が刺さりまくることなんてない。



 理由はただ一つ。


 悠凛さんが、蒼空の腕に抱きついているから。


 「ユウ姉! 離れてよ! 

  近くに人がいたら離れるって言ってたじゃん!」


 「あ、そうだったね! ごめんごめん!」


 そう言うと悠凛さんは蒼空から離れる。


 そして一緒に歩き出す。


 やっぱりあの2人仲良いわね。ホントに素晴らしい姉弟だわ。将来はあの人が私の義姉に‥‥‥最高だわ♪


 早くあかりちゃんにも会ってみたい。


 昨日妹に知ってるか聞こうとしたら避けられた。


 仲良くしたいのに。思春期って大変だわ‥‥‥


 今はとりあえず2人に話しかけよう。


 「蒼空、悠凛さん! おはようございます!」


 私は目立ちまくってる2人に話しかける。


 「おはよう、結愛‥‥‥」

 「おはよう結愛ちゃん!」


 元気さが反比例してる。少し面白いわね。


 「ユウ姉、もういいから」


 「え〜?もう少し良くない?

   ()()()にまだ会ってないし」


 「‥‥‥今の生徒会長に知られるかもよ?」


 「うっ!それはまずいな!

  間違いなく楓にウザ絡みされる!

  アイツは私のこと好きすぎるんだ!!」


 「激しく同意する」


 この2人、ホントに仲良いわね♪


 2人の会話のやりとりで癒される。ずっと聞いていたい。


 「仕方ない、私はそろそろ帰るわ!

  ソラ、テストがんばれよ!!」


 「うん。ユウ姉‥‥‥昨日と今日、ありがとう」


 「!! ソラ〜!!」


 「マジでやめて!? 視線が刺さるから!

  ユウ姉有名人だから!!勘弁してくれ!!!」


 悠凛さんが抱き着こうとしたが蒼空が悠凛さんの頭に手を置き必死に阻止している。


 この2人、尊すぎない‥‥‥??



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「結愛ちゃん! ソラをお願い!」


 「はい!任せてください!」


 結愛、即答じゃん。ユウ姉のお願いならなんでも聞きそう。


 「それじゃあ2人とも、またな〜!」


 ユウ姉はそう言って去っていった。


 本当に嵐のような人だ。それもユウ姉の魅力なのか?


 「それじゃあ行くか!」


 「ええ、行きましょう」


 俺たちは教室に向かって歩き始める。


 「私、蒼空について一つわかっちゃった♪」


 「な、何を?」


 「蒼空の自分を褒める癖、

  悠凛さんをモデルにしてるでしょ?」


 「‥‥‥ばれたか」


 「悠凛さん、自分に自信がある感じだった。

  自分を褒めることは全然なかったけど、

  蒼空を褒めてるときに、()()()って言ってた。

  自信に満ち溢れてた。

  それに悠凛さんは、絶対に好かれる性格をしてる。

  何故かは言語化出来ないけど、それはわかる。

  今の生徒会長に尊敬されてるくらいだし」


 「‥‥‥もう隠す必要ないな。

  ユウ姉は昔から周りに好かれてた。

  俺にすらわかる。ユウ姉は好かれる人間だと。

  ユウ姉のことは尊敬してる。

  でも弟の俺は周りに認められてない。

  だから俺はユウ姉のマネしようと思った。

  自信満々な所をマネしてみようと思ったんだ。

  もしかしたら、ユウ姉みたいに好かれるかもって

  思ったからな。

  だから俺とユウ姉は似てるのは違うんだ。

  実際は俺がユウ姉に似せてたんだ」


 なんで俺は結愛に対して自分の恥ずかしい所を言ってしまうんだろう。


 結愛の反応を待つ。少し緊張してきた。


 「別に最初から似てると思うけど。

  相変わらず、蒼空って可愛い♪」


 「‥‥‥え?」


 「それにお互いが相手を尊敬してる姉弟なんて、

  最高じゃない♪」


 「え、それだけ?」


 「それだけって?

  他に言うことなんてないわよ?」


 ‥‥‥そうだった。結愛はこういう性格だった。


 「いやなんでもない。さあ、テストがんばろう!」



          「ぅおー」



 結愛は右手を上げて、普段通りの様子で言ってきた。


          「‥‥‥」


 予想外の返事が来た。反応できなかった。



 「‥‥‥何か反応してよ。恥ずかしいわ。

  悠凛さんのテンションが好みなんでしょ?」


 「違うよ!?」


 普段と言わないようなことを言った結愛が可愛いすぎて、反応できなかっただけだ。


 掛け声のテンションが絶妙に合ってなかった。明らかに言い慣れてない感じが出てた。可愛すぎないか?


  狙ってしてないのだから、ポテンシャルが怖いよ。


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