それは違う
「聞きたいことって、なんだ?」
返答する考えがまとまらないと思うが、とりあえず話を聞く。
「‥‥‥なんで今日あんなことしたの??」
「‥‥‥あんなこと?」
「さっきのこと!なんで教室に来たのよ!!
私に関わらないでって言ったじゃない!」
「‥‥‥そのことについては、悪かった。ごめん」
「!!なんであんたが謝るのよ!!
噂が広まった原因は私!
昨日酷いこと言ったのは私!!
あんたが風邪を引いた原因も私!!
全部私のせい!!
あんたが、謝ることなんてない!!」
‥‥‥俺は、悪くないのか?だが一つだけ訂正しないといけない点がある。
「‥‥‥別に風邪ひいたのは雛野のせいじゃないぞ?
昨日久々に温泉に行って水風呂に長い間
入ってたからだ。俺ってお茶目だろ‥‥‥?」
「なんで今頃嘘つくのよ!さっき言ってたじゃない!
大雨の日に濡れて帰ったからって!!」
‥‥‥俺、そんなこと言った?いつの間に言ってたんだ。頭が働かない。ホントは言うつもりなかった。風邪って恐ろしい。そして恥ずかしい。
「‥‥‥ごめん」
雛野が頭を下げて謝ってくる。え、なんで?
「なんで、お前が謝るんだ‥‥‥?」
「噂を引き起こしてごめんなさい!
辛い目に合わせてごめんなさい!
面倒ごとに巻き込んでごめんなさい!
あの日、傘を借りてごめんなさい‥‥‥!!」
「‥‥‥それは違う!!」
「‥‥‥え?」
両肩を掴んで目を合わせる。それだけは間違ってる!
「たしかに今回の原因は雛野にあるのかもしれない。
俺は面倒ごとに巻き込まれたかもしれない。
でも、傘を貸したのは俺の自己満足だ!!
お前に風邪を引かれたくなかったからだ!!
俺自身のために傘を貸したんだ!!だって、」
俺はここから言い淀む。この続きは言ったら恥ずかしいんじゃないか??
「‥‥‥」
「だって、なに? 続き、聞かせて?」
「‥‥‥だって、お前に風邪を引かれると、
テスト勝負ができないだろ?」
「え‥‥‥?」
「テスト勝負、楽しみにしてたんだ。
友達みたいなこと、したかったんだ。
それに、勝負に勝ったら俺の目的も果たせる。
一石二鳥だろ‥‥‥?」
‥‥‥あれ?また俺なんか言った?
「‥‥‥そういうわけだから傘を借りたことは
謝ることじゃない。
勝手に自分自身のせいにするな。
俺にも多少原因があるんだから」
「だってお前と同じくらい、
俺が目立ちすぎるってことだろ?」
「完璧な俺が、目立つのは仕方ないからな‥‥‥」
雛野がじっと見つめてくる。真剣に話を聞いている。
俺は自分自身が何を言ってるかわかってないのに。
「とにかく、そういうことだから俺に謝るな。
謝るくらいなら、お礼を言ってほしいかな。
それの方が嬉しい。
自分の行ったことが正しいって、思える」
「‥‥‥あんたって変なやつね」
‥‥‥お前にだけは言われたくないな。
「‥‥‥ありがと!!」
泣いているように見えたのは俺の気のせいだろう。だって、こんなにも眩しい笑顔を向けてくるんだから。
今回、俺のしたことは間違いじゃなかったんだ。それがわかっただけで、十分だ。
安心したことで気が緩んだのか、意識が遠のいていく。
「ーーーーーーー、ーーーー」
雛野が何か言っている気がする。
でも、何を言ってるか分からない。そして俺は意識を手放した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「蒼空!色々持ってきたわ!大丈夫!?」
私は水を買い、保健室に行って冷えピタをもらい、蒼空のいる空き教室に帰ってきた。
「静かにした方がいいわよ。今寝てるから」
雛野さんが自分の唇に人差し指を置いて言ってくる。
自然とそのポーズできるのはずるいわね。しかもあざとくない。ちょっと羨ましい。
「‥‥‥? あなた、顔赤いわよ?」
「!? べ、別に赤くないわよ!!!」
雛野さんの顔が赤い。少し恥ずかしがっているように見える。ま、まさか‥‥‥!
「‥‥‥あなた、蒼空に何かしてないでしょうね?」
「な!?何をするって言うのよ!!」
「静かにした方がいいって言ったの、あなたよね?」
「う‥‥‥! ご、ごめん」
素直に謝ってきた。え、あなたツンデレじゃなかった?あなたが素直になったらこの世の終わりよ??
とりあえず蒼空のおでこに冷えピタを貼ることにする。熱があるから早く貼らないと。
「んぅ‥‥‥」
冷たかったのか椅子に座って寝ている蒼空が反応してきた。
え、なにその反応。可愛すぎない?もう、可愛い♡
もっと見ていたい‥‥‥♡
「ちょっと、なんで顔を近づけてるのよ!!」
「え? あ、ホントだ。気づいたらつい夢中に」
「あんた、恐ろしいわね‥‥‥」
何が?どこが?私って怖いのかな?
「とりあえず、コイツどうする?」
「そうね。保健室に運んだ方がいいわね」
「でもコイツ、私たちに支えられて運ばれるの
嫌なんじゃない?」
「‥‥‥なんでそう思ったの?」
まさか、蒼空の本性に気付いてるの‥‥‥?
「え?だってコイツ自分のこと完璧だって
言ってるじゃん。そんなやつが2人に支えられて
運ばれるなんて恥ずかしいって思うでしょ」
「そうね。その通りだわ」
「‥‥‥? それで、コイツどうする?」
「それじゃあ、私がおんぶで」
「あんた話聞いてた!?
自分がおんぶしたいだけでしょ!!
それに体格的に無理でしょ!!」」
「あ、つい本音が」
「あんた、本当に恐ろしいわね‥‥‥」
私、そんなに恐ろしいの?そんなことないよね?
「‥‥‥いや、俺、1人で動けるから」
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「蒼空!? 目が覚めたの!?」
「ああ、冷えピタ貼られた時に起きた。
結愛、わざわざ持ってきてくれてありがとう」
「お礼を言う必要はないわ。あなたのためだもん」
うん、目が覚めてすぐにもっと目が覚めることを言われたわ。
「雛野も、ありがとな」
「何もしてないからお礼はいらない!
自分の心配をして!」
うん、どうしてもこの2人はお礼を受け取ってもらえないらしい。
「じゃあ俺は家に帰るわ」
「え!? だめよ蒼空! 保健室行かないと!」
「大丈夫だって! もう元気だし!
明日からテストだからな!勉強しないと!」
「明日は休んでほしいんだけど。
でもあなたはこういう時に頑固だから
やめてと言っても無駄なんでしょ?
じゃあせめて今日は休んで。お願い」
結愛が俺と目を合わせてそう言ってくる。
「わかった。今日は休むから安心してくれ」
そんな目をされたら無視するわけにはいかない。
「‥‥‥よかった。蒼空なら聞いてくれないと思った」
「‥‥‥あんた、話聞いてなかったわね」
結愛、俺のことを何だと思ってるんだ??
雛野、意味深なこと言うのやめて??
「じゃあ帰るか!」
「ちょっと待って」
「待ちなさいよ!」
「な、なに?」
「保健室には絶対に行くわよ」
「保健室には行かせるわよ!」
なにこのシンクロ率。君たち実は相性良いのでは?
この後2人に保健室に行くまで隣を歩きながら監視され続けた。そして保健室へ。
うん、今の2人に逆らえないわ。完璧な俺でも。
そして熱を測ったけど平熱に戻ってた。
これで万事解決だな!!
あ、初めて3人で帰りました。
俺の家が1番近いため俺が2人と真っ先に別れた。
2人とも送っていこうと思ったが、病人は早く帰りなさいと念を押されてしまった。
まあ2人が風邪気味の俺の世話をすると言ったのを断ったから、これくらいは承諾しないといけないよな。
明日からのテスト、がんばります!!




