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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子

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43/60

見せられない

 言った。全部言えた。


 みんなは何も言わずに沈黙している。雛野も驚いてるようだ。


 「‥‥‥俺の話を聞いてくれてありがとう!

  時間取らせてごめん!失礼しました!!」


 2年3組の教室から出て、廊下を歩いていく。


 完璧だ。最後のセリフが特に良かった。あれは効いたはず。さすが俺だ。


 とりあえず人目につかない所に移動してーー


        「うっっっ‥‥‥」



        視界が、歪んだ。


 頭が痛い。気分が悪い。フラフラする。気づくと身体が傾いていた。あ、これってヤバいんじゃないか?


 床に倒れるのを覚悟して目を閉じる。いや違うな。


 勝手に目が閉じていた。


 すると何かにぶつかって傾いてた身体が止まった。


 いや、これは支えられている?恐る恐る目を開ける。


        「蒼空、大丈夫!?」


 視界が歪んで顔がはっきり見えないが、声を聞いただけで誰かわかる。間違えるはずがない。だって、俺にとってーーーーーだから。


       「‥‥‥大丈夫だよ。結愛」


 結愛が支えてくれた。さては2年3組の教室の外から見ていたな?


 さっきも助けてくれたのに、また助けてくれるのか。


 俺、何回も女の子に助けられてるってダサいよな。


        「ちょっとごめんね」


 結愛は俺と肩を組んで空き教室に移動する。


 「悪い、もう動けない」


 俺は床にしゃがみ込む。結愛が近くの椅子を引っ張り出して俺に渡してくれる。なんとか椅子には座れた。気づくとデコとデコがくっついていた。


 ‥‥‥まだその測り方なのかよ。


   「‥‥‥熱いわ。間違いなく熱があるわね」


       「‥‥‥熱、あるのか?」


 「あるわ。正直に言うと前に測った時も微熱だった」


 嘘だろ。まさか俺、風邪引いてたの?情けない。


    「風邪を引いた原因はわかってるの?」


          「‥‥‥」


     「わかってるのね。教えなさい」


   「‥‥‥たぶん大雨の中を走って帰ったからだ。

    それ以外には特に思いつかない」


 そんなことで風邪を引くのか疑問だが、最近だとそれしか考えられない。


 「それって、雛野さんに傘を貸した時?

  やっぱり傘を貸したあなたは濡れて帰ったんだ」


 「‥‥‥」


 「もう、素直じゃないところが本当に可愛いわね♡」


 「‥‥‥ごめん今その冗談を返せる気力すらない」


 「あ、そうだったわね。ごめんなさい。

  じゃあ保健室に行きましょうか」


 「‥‥‥悪い。今動きたくない」


 「‥‥‥そうね。それなら仕方ないわね。

  ここで待ってて。水でも買ってくるわ。

  ついでに保健室に寄って冷えピタもらってくるわ」


 結愛が踵を返す。俺から離れていこうとする。




       「行かないでくれ‥‥‥」


       「!?、そ、蒼空?」


 気づくと結愛の手を掴んでいた。結愛が振り向いて驚いている。


 あれ、なんで俺は掴んだ?考えがまとまらない。


    「俺を1人にしないで‥‥‥

     頼れるのは結愛しかいないんだ‥‥‥

     こんな姿、結愛にしか見せられない‥‥‥

     もう寂しいのは嫌だ。1人は嫌だ。

     頼むよ‥‥‥今は俺のそばにいて‥‥‥」


 気づいたら俺は何かを言っていたようだ。俺は何を言った?


 結愛が顔を真っ赤にして驚いてるように見える。


 ‥‥‥え?俺は本当に何を言ってしまった?


 「‥‥‥あなた、本当に天性の可愛さだわ‥‥‥♡

  え?可愛すぎない?おかしくない?

  普段は見せないから余計に可愛く見える♡

  やばい考えがまとまらない。

  可愛い♡、可愛い♡、可愛い♡、可愛い♡

  もう、可愛すぎる♡大好き♡

  これ、もう蒼空が悪いよね?

  あなたが悪いんだから。

  今から私がすることに怒らないでね。

  それじゃあ、いただきま〜す♡」


 俺の両肩に手を置いた結愛が、顔を俺の顔に近づいてくる。


 ‥‥‥なんか目が怖いぞ?獲物を狙う目をしてる。目がハートになってるなんて、実際にあるんだな。うん、今絶対に考えることじゃないな。


 ‥‥‥ん?何をいただくんだ??



       「待ちなさいよ!!!!」


 俺は声がした方を向く。結愛も声がした方に向いて話しかける。


       「?、何か用?雛野さん」


 教室の扉付近には、雛野が立っていた。


 ‥‥‥え?まさか今のダサい俺を見られた!?


 「雛野!?いつからそこにいた!?

  ていうかどこから話を聞いてた!?」


 「あんたが風邪を引いた理由はバッチリ聞いたわ!」


 マジか‥‥‥超恥ずかしいじゃん。恥ずか死しそう。


 「七海。保健室で冷えピタとかもらってきて。

  コイツは私が見てるから」


 「それ、役割が逆でも良くないかしら?」


 「さっき暴走して何かしようとしたあんたと

  コイツを今2人きりにできるわけないでしょ!」


 「‥‥‥確かにそうだわ。今回はあなたが正論だわ。

  私、ちょっと頭冷やしたいから行ってくるわ。

  蒼空、待っててね」


 結愛がそう言うと教室を出ていく。


 ちょっと待って??今、雛野と2人きりなんて気まずいなんてレベルじゃないぞ!?


 「さあ、せっかく邪魔が入らないことだし、

  聞きたいことがあるんだけど?」


 笑顔で言ってくる。うん、笑ってないかも。


 俺、ちょっと頭痛くて気分悪いから寝てていい‥‥‥?

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