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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
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大丈夫、だってあなたは‥‥‥

 5月17日、火曜日。


 今日はいよいよテストの前日。


 ついに明日からテストが始まる。


 だがそれよりも今は噂をなんとかしないといけない。


 俺が行動を起こすのは放課後。休み時間は時間が足りないし、昼休みだと生徒が移動している可能性が高い。


 放課後終わってすぐならまだ教室に人がいるだろう。


 できるだけ人が多い方が効果が少しでも上がるからな。だから放課後で解決してみせる。




 昼休み。放課後に行動を起こすと決めているので少し落ち着かない。


 今日も結愛の手作り弁当をありがたく食べていつも通り話をする。結愛のおかげで俺は自分のクラスメイトの視線を気にしなくなった。


 美味しかった弁当を食べ終わり今日の放課後についての話をする。


 「蒼空、今日の放課後ね。

  がんばってとは言わないわ」


 「ひどくない!?」


 「だって、あなたなら絶対に上手くいくもの。

  焦る必要はないわ。落ち着いてね。

  あなたは、完璧なんだから」


 ‥‥‥本当に結愛は俺が1番言ってほしい言葉を送ってくれる。本当にありがとう。


 「ああ!ありがとう!

  スマートに解決してみせるさ!!」


 「可愛い♪」


 可愛い言うのやめて!?恥ずかしくなってくるわ!!


 「でも今日の計画を実行してる時に

  あなたは辛くなるかもしれない。

  だって‥‥‥いやなんでもないわ」


 「いやそこまで言ったら教えて!?」


 「言う必要がないわ。あなたのために」


 そう言うと結愛は席から立ち上がる。


 「?結愛?」


 「少し場所を変えましょう。立って」


 言われた通りに立つと手を掴まれる。結愛に引っ張られながら教室を出て廊下を歩いていく。


 そして誰もいない空き教室にやってきた。


 「どうしたんだ?」


 「蒼空、目を閉じてくれない?」


 ‥‥‥なぜに??


 「なぜに??」


 「いいから早く閉じて?じゃないと襲うわよ♪」


 それは冗談だよな!!?


 「はいわかりました!!!」


 慌てて目を閉じる。さすがに目を閉じます!!


 「私に襲われるのは嫌なの?悲しいわ‥‥‥」


 「いや今までで1番反応に困るわ!!」


 こんなの完璧な俺でも正解がわからない。


 いやこれは誰でもわからないか!


 「冗談よ。1割は冗談。

  私がいいって言うまで目を開けないでね」


 いや先に言ったほうが気になりすぎるわ!!それはもう冗談って言えないだろ!!


 そんなことは言えないので目を閉じ、そしてある意味口も閉じてしばらく待つ。


 ん?今思ったけど何をする気なんだ??


 見られてる状態だと恥ずかしいことか!?


 まさか自主規制入るようなことじゃないよね!?


 前に結愛に押し倒されたことがあるので本当に不安になってくる。結愛ならやりかねない!


 少し待ってみるけどどこかを触られてる感覚はない。え、本当になんなんだ?


 そう思っていたら俺は左胸ら辺に触れられてる感覚を感じた。今はブレザーを着ているのであまり触れられてる感じはしないけど。


 そのまま目を閉じて直立しているとやがて触れられていた感覚がなくなる。


 「目を開けていいわよ」


 「‥‥‥え?開けていいの?」


 「もしかしてキスでもされると思った?

  確かに驚くあなたを見ながらキスをするのは

  とても気持ちよくてムラムラするけど

  今日はしないわ。

  今日の予定がある蒼空を動揺させたくないもの」


 「‥‥‥」


 いや、その発言で既に動揺してるんだが??


 俺はそんなこと言えるわけもなく結愛に触られていた左胸を触ってみる。どうやら左胸のポケットに何かを入れたようだ。


 重さは感じない。相当軽いもののようだ。何か気になったので胸ポケットに右手を突っ込もうとする。


 「まだ見ちゃダメ」


 結愛に右腕を掴まれる。え、ホントに力強くない?


 「あなたが辛くなった時に助けてくれるはず。

  だから辛くなった時に見てほしい。

  それはおまじない。そして思い出して。

  あなたは一人じゃない。私があなたを見てる。

  私はあなたを想っていると言うことを」


 「‥‥‥わかった。ありがとう」


 結愛はとても恥ずかしいことを、そして嬉しいことを言ってくる。結愛の言う通りにしよう。


 もし放課後に行うことを俺一人で出来なかったら相当カッコ悪い。だって本当に大したことがない計画なんだから。でも、いざとなったら支えてもらおう。


 迷惑をかけたくないと思うことを大切だけど、気を使わずに相手を頼ることも大切。信頼ってそういうことだよな。


 2人で教室に戻ってくる。もう授業が始まる時間だ。


 昼の授業を受ける。俺ならできるとわかってはいるけど落ち着かない。気分が高揚してるかも。


 大丈夫だ落ち着け俺。俺は一人じゃない。支えてくれる人がいる。絶対になんとかしてみせる。




 授業が終わってホームルームが終わる。


 放課後になった。さあ、いよいよだ。


 俺はすぐに教室を出て行こうとする。結愛が近づいてくる。


 「蒼空」


 結愛がまっすぐ俺を見つめる。


 「落ち着いてね。大丈夫、だってあなたは‥‥‥」


 結愛はそう言って微笑む。さすが、俺のことをよくわかってるな!



        「完璧だからな!!」


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