耐えられるわけがない
雛野が泣いてる。俺、言いすぎた!!完璧な俺の珍しいミスだ!
「わ、悪い。少し言いすぎた!!ごめん!」
「‥‥‥っ、泣いてないわよ!!」
「いや泣いてるよ!ボロ泣きだよ!悪かった!!」
「だからっ、泣いてないわよぉ〜〜!!」
俺は雛野が泣き止むまで待ち続けた。
「少しは落ち着いたか?」
「‥‥‥ええ、泣いてないけど落ち着いたわよ」
いやそれは泣いてること認めてるよね?矛盾しまくってるぞ!この俺でも反応に困るわ!!
「‥‥‥あんたに嘘ついても意味ないわね。
そうよ!泣いてたわよ!
涙が止まらなかったわよ!!」
「急に認めたな!?理由を聞いていいか?」
「正直に言った理由は絶対言わないけど、
なぜ泣いてしまったかは教えてあげる」
「あ、ああ聞かせてくれ」
「‥‥‥嬉しかったからよ」
「‥‥‥うぇ?」
「私、今まで家族以外に説教されたことないの。
みんなが私を怖がって話しかけてこない。
だから私には気軽に話してくれる人はいなかった。
助けてくれる人なんていなかった。
ずっと、孤独だった。」
‥‥‥それって
「それが私には辛かった。
私は自分に自信があるけど、
それで孤独に耐えられるかは別だった。
だからあんたが私に気兼ねなく話しかけてくれて、
助けてくれて、私のために説教までしてくれて、
嬉しかったのよ‥‥‥」
‥‥‥やっぱりだ。雛野は俺と似ていたんだ。
雛野は俺とは違って本当に自分に自信を持っている。でも、孤独に耐えられないと思っていたのは同じだったんだ。
でも雛野はずっと変わらずに今の態度で接している。
自分に自信があるから。自分を曲げてまで人と仲良くなりたいとは思わない。ありのままの自分と仲良くしてくれる人しか認めない。
その考えをもつ雛野を、俺は羨ましいと思った。
「‥‥‥なるほどな。そういうことだったんだな」
「なによ、何か文句あるの?」
「文句なんて無いよ!あるわけがない!!
孤独は耐えられないよな!!辛いよな!!!」
「え、あんたもそうなの?」
「え‥‥‥、いや!俺も同じというわけではなくて、
客観的に見てということだ!」
「そうよね。あんなに周りを気にしてないあんたが
孤独を気にしてるわけないよね!!」
‥‥‥うん、そうだね。
「私、あんたを見直したわ!!
どうやら、いやなんでもないわ!!」
「何を言おうとしたのか気になるけど、
まあいいや。
かなり暗くなってきたし、そろそろ帰るか!」
「そうね!いっしょに帰るわよ!」
「!?」
さすがに聞き間違いだよな??
「?聞こえなかったの?いっしょに帰るわよ!」
聞き間違いじゃなかった!まさか雛野がそんなこと言うなんて思ってなかった!!完璧な俺でも予想外だ!
「そ、そうだな。帰るか」
「一緒に帰るついでに一問一答やるわよ!!」
「いいな!!やるか!」
俺たちは公園から出る。そうして今から楽しいバトルが始まろうとしている!!
「今回はあんたが問題を出しなさい!
私が全部答えてやるわ!!覚悟しなさい!」
「おお!望むところだ!!」
こうして俺と雛野は一緒に帰ることになった。もちろん雛野の家まで送っていった。俺は完璧だからな!
そして結局、今回も勝敗は決まらなかった。コイツ、なかなかやる!!
俺は今日1日の件でこう思い始めている。
もしかしたら雛野とは友達になれるのではないかと。
だけど後にそんな可能性は無かったとすぐに気づく。
土日が過ぎて5月16日、月曜日。
テストまであと2日、明日が最後の追い込みになる。
俺は教室に入ると、違和感を感じる。
クラスメイト全員が俺を見ているのだ。そして小言で何かを話してる。
俺は少し気分が悪くなった。なんだいったい?
自分の席に座って少し考えてみる。俺、何かしたか?
だが考えてもこんなに視線を集める理由がわからない。
授業が始まる前の時点で俺は精神的に負荷がかかっていた。
クラスメイトの好奇の視線はまだ我慢できる。
でも、結愛からの視線には耐えられるわけがない。
そうだ。結愛は普段なら朝から話をする。
だが今は結愛から全く話しかけられないのだった。
それが、今の俺には辛すぎた。




