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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
34/60

納得いかないけど

 5月13日、金曜日。


 テストが少しずつ近づいてきた。


 いよいよ勉強も佳境に入った頃。ま、俺はいつも勉強してるから徹夜なんてしないけどな!


 午前中の授業が終わり、昼休みになる。


 いつも通り結愛の弁当を食べて他愛のない話をする。


 実はこの時間がテスト期間中の楽しみの一つになっている。やっぱり結愛と話すのは楽しい。


 今日の昼休みは雛野が乱入してこなかったから平和だ。いやこの前は用事があったから来ただけで普段は来ないのは当たり前だ。


 でも、昨日の放課後以来から俺は雛野に友達感覚で接するようになった。


 あんな友達っぽいことをしたらもう友達だろ!


 もしかしてテスト終わったら雛野と友達になれる!?


 「蒼空?どうしたの?」


 「なにがだ?」


 「だってすっごく嬉しそうな顔してるから」


 「そうか!?いやなんでもないよ!」


 「明らかに様子がおかしい。何かあった?」


 純粋に心配してくれる結愛。いかん冷静にならないと。


 「嬉しいことがあっただけだよ。

  体調も元気だし」


 「そう?それにしては顔が少し赤い気がするけど。

  蒼空、一応熱を測らせて」


 「え?ああ頼む」


 俺はデコに手を触れられると思い前髪を右手で上げる。結愛はそれを見て微笑みながら、自分の前髪を上げる。


           ‥‥‥は?


     気づけばデコ同士がくっついていた。


 「!?ゆ、結愛さん!?」


 「静かにして。今測ってるんだから」


 いや測り方!!ここ教室!!!なんてことするの!?


 しかも結愛は目を瞑ってる。誤解されるわ!!


 「‥‥‥少し熱いかも。

  もしかしたら熱があるかもしれないわ」


 至近距離のまま結愛は話しかけてくる。


 「いやこんな測り方されたら熱くもなるわ!」


 「あら、完璧な蒼空が恥ずかしがってるの?

  相変わらず可愛い♪

  このままの状態でずっといましょうか」


 拷問だ!!恥ずかしすぎて死ねるぞ!!!


 「やめて恥ずかしい!」


 「もう、恥ずかしがり屋なんだから。

  せっかくだし違う箇所をくっつけてみる?」


 そう言うと結愛は俺からデコを少し離し、そのかわりに唇が近づけてくる。それは冗談じゃ済まないよ!?


 「〜〜!?もう無理!!」


 俺は体を逸らして回避した。積極的ってレベルじゃない!!!結愛は少し不満そうな顔をしている。


 「あ〜残念。せっかく2度目のチャンスだったのに」


 その発言を大きい声でするのやめてくれない!?


 案の定クラスが騒ぎ始める。そりゃそうだわ!!


 もう、恥ずかしすぎて死ねる‥‥‥


 俺をここまで追い詰める女の子なんて世界中でも結愛だけだろ!


 メンタルをゴリゴリ削られた昼休みは終わった。結愛の俺に対する攻撃力がカンストしてるんだけど。




 放課後。


 結愛は今日は残らず帰るらしい。家事をするんだそうだ。結愛は本当に家庭的だよな。


 「じゃあまた明日な」


 「じゃあね蒼空。愛してるわ」


 結愛は俺にそう言ってから帰っていった。だから平然と言えるのは凄すぎる‥‥‥




 今日は図書室で勉強しようと思い、図書室に移動すると、そこには見覚えのあるツインテール。


 「げ、あんたも図書室?」


 「そんな嫌そうな反応するなって。

  図書室は誰でも使っていいだろ!」


 「し!静かにしなさい!図書委員に怒られるわよ」


 「はい‥‥‥」


 完璧な俺、完全敗北。




 俺は雛野から少し離れた席に座り勉強を始める。なんかアイツより先に帰ると負けた気分になる。せめてアイツが先に帰った後に帰ろう。


 そんなことを考えていた俺、図書室閉館まで残り続けました。あ、7時です。


 いや最後まで帰らないんかい!相当勉強に熱心だな!


 俺と雛野は図書室から出るしかなく、結局2人同時に外に出た。


 「‥‥‥」


 「‥‥‥」


 なんか話そうよ!?この空気感地獄よ!?ここは俺が動くしかない!


 「‥‥‥雛野は最後まで残ってすごいな!」


 「‥‥‥別に最後まで残る気はなかった。

  早めに家に帰ってから勉強しようと思ってた」


 「?じゃあなんで最後まで残ってたんだ?」


 「それはあんたが残ってたからよ!!

  あんたより先に帰ったら

  負けた気分になるじゃない!!

  だからあんたが帰るのを勉強しながら

  待ってたのに!」


 は!?俺と全く同じ考えで残ってたのか!?お互いが足引っ張ってた!これは恥ずかしいぞ!?


 「そ、そうなんだな。なんか悪かったな」


 「!そ、そうよ!あんたが悪かったのよ!

  責任取りなさい!!」


 ‥‥‥ なんか怒られたのは納得いかないけど完璧な俺はそんなことを気にしない!


 「わかったよ。じゃあお前にジュース奢る。

  前にはお前に奢ってもらったし。

  それでいいか?」


 「あんたにしては悪くない提案ね。

  じゃ、さっさと行くわよ!」


 「行くってどこに?」


 「前に行った公園よ!」


 そう言うと雛野は先に歩いて行く。俺もその後をついていく。


 俺、公園に行くより家に帰る方が近いんだけどな。そんなことは絶対に言ってはいけないと完璧な俺にはわかる。


 これ、帰るの何時になるんだ??


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