攻撃力が凄まじい
放課後。
今日はすぐに人がいなくなったので、教室で勉強することになった。
結愛は俺の隣の席を動かして俺の席にピッタリとくっつけてくる。
「ちょっと近くね?」
「そんなことないわ。
近くないと教えづらいでしょ?」
「じゃあ向かい合うようにするのはどう?」
「これでいいの。さあ始めましょ」
軽く流された。そんなに隣がいいのか?なんで?
俺たちは教室で勉強を始めた。
俺は英語をしている。結愛は数学。勉強を始めて30分が経った。
集中して勉強していると、左肩に何かが触れる感触が。横を向くと結愛が俺の左肩をポンポン叩いていた。
「結愛、どうした?」
「わからない問題があって、教えてくれる?」
「おう!頭脳明晰な俺に任せてくれ!」
「うん。可愛い♡」
会話が成立してない。最近よく可愛いって言ってくるんだよなぁ。男としてはあまり嬉しくない!
「ここなんだけど」
「ちょっと見せてもらっていいか?」
「はい。どうぞ♪」
結愛は俺に教科書を渡してくる。よし、俺の力を見せてやる!!
「あ〜、これは難しいよな」
「そうなんだ。
でもすぐに問題を解くなんてさすが蒼空ね」
「!、そうだろ!頭脳明晰だからな!」
「うん!可愛い♡」
いやさっきも同じ会話したよな!?
「コホン、この問題の解き方はな」
「うんうん」
結愛に問題の解き方を教える。結愛は理解が早くて教えがいがある。
スマートに教えていると、ここで問題が生じる。
ふにゅん。
「!?」
「どうしたの?急に話すのやめて」
「いや、なんでもない」
ま、まさか左肘に感じるこの感触は‥‥‥!!!
双頭の巨乳、こんにちは。
いや、こんにちは。じゃない!こんな凶器を押しつけられたらさすがの俺でも動揺する!!
「あれ?蒼空?どうしたの?なんか動揺してる♪」
‥‥‥わざとだった!!!
「何のことだか。完璧な俺は何事にも動揺しない」
「まあ、そういうことにしておいてあげる♪
蒼空は反応も完璧ね♪」
その発言が俺を本気にさせた。完璧な俺を出し抜こうなんて100年早い!たぶん。
その後も結愛の凶器が思いっきり当たっていたが、俺は平常心で結愛がわからない問題を教える。さすがメンタルも強い俺だ!!そしてもう1時間が過ぎた。
「どうだ。これでわかった?」
「むぅ〜蒼空の反応が面白くな〜い」
結愛が頬を含ませてジト目で俺を見てくる。か、可愛い。その仕草に動揺しかけたわ!いや完璧な俺は動揺しないけど!!
「いや問題のことを聞いてるんだけど?」
「問題はわかったわ。やっぱり蒼空は完璧ね」
「‥‥‥ありがとう」
普段の対応をするとなぜか可愛いと言われてしまうのであまり反応しない。無反応も考えたが無視はしたくないからな!人のことも考えられる俺は完璧!!
「もう、普段と違う反応も可愛い♡」
いや結局言われるんかい!!!!
その後の結愛には手を焼いた。
「〜〜♪」
「あの、頬をつつくのやめてもらっても?」
そう、結愛がひたすら左頬を指でツンツンしてくるのだ。さすがに少し恥ずかしい。
「ごめん、もう少しだけ♪」
結愛が楽しそうならいいか。てか俺って間違いなく結愛に甘いよな。
「‥‥‥もう少しだけだぞ」
「ありがとう♪ やっぱり、可愛い♡」
「‥‥‥」
それから少し時間が経った。
「‥‥‥ふう、疲れた〜。
そろそろ私は帰るわね」
「え?もう帰るのか?まだ時間あるぞ?
一緒に帰らないのか?」
「蒼空から誘ってくれるのは
とっても嬉しいのだけど、
テスト期間は我慢するって決めたの。
これ以上いると蒼空へのイタズラがエスカレート
してしまいそう」
‥‥‥それは言えてる。頬をつつかれるくらいならまだしも、さっきは耳に息を吹きかけようとしてきた。
‥‥‥すでにエスカレートしてるとは言えない。どんな人間でもこんなイタズラに平常心でいられるか!
「わかった。結愛の厚意に甘えとく」
「うん。今日は勉強教えてくれてありがとう。
それじゃあまた明日ね。愛してるわ、蒼空♪」
「!!、ああ、じゃあな」
結愛は満足した顔で教室を出ていく。
なんで恥ずかしいことを平然と言えるんだ。この俺がいつも動揺しているんだが??攻撃力が凄まじい!!
俺はこの後も教室に残って勉強を続けたが、結愛の発言やアプローチを思い出して集中できなくなるのだった。
完璧な俺をここまで動揺させるとは、結愛には本当に頭が上がらない。
もしかして結愛って俺に対して最強なのでは?絶対勝てないのでは?




