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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
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言い方やめて!?

 5月12日、木曜日の昼休み。


 いつもと変わらず結愛から手作り弁当をもらって2人で食べていた。もちろんあの日以降、箸は持ってきてくれと釘を刺した。


 結愛には ‥‥‥わかったわ。 と納得してない様子で言われた。え、俺が悪い感じ?


 あれを毎日するのはメンタル強い俺でも心に刺さる、色んな意味で。


 「テスト勉強捗ってる?」


 「ああ!過去最高と言っても過言ではない!!

  この俺の過去最高だからすごいことになるぞ!」


 「はいはい。相変わらず可愛いわね♪」


 ‥‥‥いや、可愛いことは全く言ってないんだが??


 自分用の箸で今日も美味しい弁当を食べ終わり、結愛と話をしていると。予想もしてない事態が起きる。


 「失礼するわ!!」


 あれ?なんか数日前に聞いたことある。いや、まさかなぁ‥‥‥今来られると結愛と一触即発間違いなし。


 声がした方を見ないようにしていると、どんどん誰かが自分の席に近づいてくる。いや、流石に違うよな?


 「あんた!私が来たのになんで無視するの!!」


 俺の席の前でそう言ってくる。


 すでに周りがざわついてる。お前はただでさえ目立つのに目立つ行動やめて!?


     「おい‥‥‥また副会長様が来たぞ」


      「しかもまた七河に用事かよ」


     「副会長さまぁぁぁ〜〜〜〜!!!」


 このようなヤジが聞こえる。最後のは空耳であってくれ。


 「いや‥‥‥まさか俺への用事で

  この教室に入ってきたとは思っていなかった。

  悪いな雛野」


 俺は教室に来た生徒会副会長、雛野澪里に返事をする。まさか俺に用事があったなんて。


 「当たり前でしょ!!私がここに来る理由なんて

  あんた以外に無いんだから!」


 「誤解しか生まれない言い方やめて!?」


 言い方!!誤解が生まれる言い方だろ!ああクラスのみんなが超見てくる。超目立ってる!超ざわついてる!


 「あなた、本当に何しに来たの?

  この前の話は蒼空から聞いたけど、

  テスト終了後まで話す必要はないわよね??

  なに?私の邪魔がしたいの???」


 案の定、結愛が高圧的な態度で話しかける。クラスメイトの数人が逃げ出した。賢明な判断だ。俺も逃げていい?いや完璧な俺は逃げたりしない!!


 「あんたには関係ないのよ。邪魔しないで」


 「それはこっちのセリフよ。ただでさえ蒼空が

  あなたに振り回されているんだから。

  これ以上私の蒼空に迷惑かけないで」


 「あんたはコイツと付き合ってないんでしょ?

  なら関係ないじゃん。別に私はコイツのこと

  なんとも思ってないから関係ないけど。

  本当に昨日の件で用事があるだけよ。

  なんならコイツに聞いてみたら?」


 え?そこで俺に投げやり??とてつもないキラーパスなんですけど。運動神経抜群の俺でも取れなさそう!!


 「‥‥‥蒼空???どういうこと??????

  昨日この女と何かあったの????」


 こんなに怖い結愛はあんまり見たことない!!これは返答を間違えるとヤバいとわかる!


 「いや、その、普通に傘貸しただけだと思うけど」


 「‥‥‥まさか、私もしてもらったことない

  相合い傘をこの女としたとか言わないわよね??」


 「してない!!傘貸して別々に帰った!

  雛野がそんなことされたらキレて殴るのは

  想像つくだろ!」


 「‥‥‥たしかにそうね。ならいいわ。許す」


 ‥‥‥許す?許されてなかったらどうなってたの??

 完璧な俺でも想像つかん!!


 「想像つくとか言われるのが腹立つけどその通りよ。

  私はあんたに傘を返しに来ただけ。

  はい、これ。傘貸してくれて、あ、あ、

  ありがとう‥‥‥」


 雛野は少し目線を逸らして頬を赤くしながら言った。


 ツンが強すぎる分デレた時は破壊力がすげぇ!典型的なツンデレじゃねぇか!


 「うぇ!?」


 そう思っていたら結愛からの肘打ちが横腹に‥‥‥は、初めてビンタ以外の物理攻撃くらった。攻撃力、高い。


 「お、おう。どういたしまして

  これで風邪引かれたら勝負にならないからな」


 「!そうね!勝負のためだもんね!!

  あんたを少し見直したわ!!!」


 いや上から目線がすごい‥‥‥この俺が呆れているから相当だわ。


 「じゃあね!ちゃんと勉強しなさいよ!!」


 そう言って雛野は走りながら教室を出ていく。生徒会役員が走るなよ!


 「‥‥‥蒼空、ずいぶん仲が良くなったみたいね??」


 「どこが!?どう見ても俺が下に見られてるだろ!」


 「それに蒼空とあの女が玄関で鉢合わせてたなんて。

  やっぱり私も残った方がいいのかしら‥‥‥」


 「そんな悩むことじゃないと思うけど‥‥‥

  それは結愛に任せるぞ」


 「‥‥‥少しだけ残ろうかしら。

  私もテスト勉強しなきゃいけないし。

  蒼空に教えてもらえるなら捗るし。

  頑張ったら頭撫で撫でしてくれるかもしれないし」


 ‥‥‥すごい理由付けしてる。


 結愛と一緒にいることに理由なんて必要ないのに。


 しかも最後は願望じゃねえか!!いや全然頭くらい撫でるけどなんか恥ずかしいぞ!


 ここは俺から言わないと男じゃないな!


 「悩まなくていい。残る理由なんて必要ない!

  今日は一緒に勉強しようぜ!」


 「!!、うん!一緒にやろ!」


 結愛は満面の笑みを俺に向ける。


 やばい‥‥‥可愛すぎて目を合わせられない。


 こうして、今日の放課後は結愛と勉強することになった。


 ‥‥‥あれ??もしかして完璧な俺が誘導された???


 ま、結愛が元気になってくれるのなら誘導されてもいいと思うのだった。


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