表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第2章 自称『完璧』な男の子VS通称『難攻不落』な女の子
29/60

言っちゃダメ

 雛野との話が終わった俺は、教室に着く。


 中に入るとすぐに結愛が駆け寄ってくる。


 「蒼空、話って何だったの?」


 さすがに結愛には言っておいた方がいいかもしれない。ちゃんと伝えておかないと後々勘違いされそうだし。


 「その話は今日の夜に電話で話していいか?

  ここだと人目があるし、帰る時も誰かに

  聞かれるかもしれない」


 雛野との話は本当に聞かれるとめんどくさいからな。


 「‥‥‥蒼空から電話したいって言ってくれた♪」


 結愛は頬を赤くして嬉しそうに言う。うん、話の要点そこじゃないからな?


 話のおかげで昼休みがすぐに終わった。ま、完璧な俺は少しくらいなら休まなくても大丈夫だけど!




 夜になったので俺は結愛に電話をかける。そういえば俺から電話かけるの初めてかもな。


 電話をかけるとワンコール以内で出た。え、そんな待ってた?


 「もしもし、いま大丈夫か?」


 「ええ、もちろん大丈夫よ。

  あなたからかけてきた初電話は

  絶対待たせないって決めてたから」


 「‥‥‥」


 結愛はすごいことを平気で言う。え、完璧な俺でも反応に困るんですけど。


 「それで、あの女からのお話ってなんだったの?」


 「あ、ああ今から話すよ」


 どう返すか迷っていると結愛から話を変えてくれた。これは好都合。ていうかもう呼び方が怖すぎるんですが‥。俺は結愛に雛野との話を伝えた。


 「‥‥‥は??テスト勝負?

  バカじゃないの?子どもなの?」


 それは雛野に言ってるの?それとも俺に言ってるの?


 「なんで関係ない蒼空があのわがまま女と

  勝負しなくちゃいけないのよ」


 「まあ向こうの理由はあまりよくわからないが、

  こちらにもメリットがあったからな」


 「どんなメリットよ??教えて」


 やっぱ言わないとダメだよな。でも、さすがに言うの恥ずかしいな‥‥‥本来の方を言おう。


 「勝った方が負けた方に

  なんでも1つ命令できるんだよ」


 「‥‥‥‥‥‥‥‥は???」


 やばい絶対不満あるだろこれ。完璧な俺でもどうフォローすればいいか考えが出てこない!


 「まさか、蒼空はあの女に何か命令したいの?

  え、まさか〇な命令する気なの?変態なの?

  なんでそういうのは私にしないのよ。

  私にしてよ。なんでもしてあげるのに」


 いや怒るのはわかるんだけど!怒る方向性違くね!?


 それに女の子がなんでもするとか言っちゃダメ!!


 「悪かったよ!!本当の理由言うのが恥ずかしくて

  実際に雛野が出した提案を言ったんだ!」


 「そうよね。

  蒼空が私以外にそんな変態な要求するわけない」


 なんで結愛になら要求すると思われてんの俺?


 「それで、早く本当の理由を教えなさい」


 「‥‥‥どうしても言わないとダメか?」


 「言わないとダメ」


 「どうしても??」


 「はやく」


 これはもう結愛に言うしかない。まあ、俺の本性もバレてるしいいか。


 「‥‥‥副会長である雛野に勝ったら

  評価が上がって友達、できるかもしれない‥‥‥

  周りが俺を認めてくれる、そう思ったんだ‥‥‥」


 「‥‥‥」


 ものすごく恥ずかしい。消え入りそうな声しか出なかった。それくらい恥ずかしいのだ。完璧な俺にも羞恥心はある。それに結愛がなんの反応も示さない。怖い。


 「あの?結愛さん?」


 「‥‥‥あなた、なんでそんなに可愛いの??」


 「え?」


 「え?じゃないわよ!ずるいわ!!

  なんでそんなに健気なの!?純粋なの!?

  恥ずかしがってるのもずるい!!

  今のあなたの顔をすごく見たい!!

  可愛すぎる!!好き!!大好き!!!

  やっぱりこの蒼空は誰にも見せられない!

  私だけが独り占めしたい!

  もう、そんなこと言われたら

  応援するしかないじゃない!!」


 ‥‥‥よくわからないが、なんか認めてもらえた。俺、こんなダサい自分を見られたくないんだけどな。


 「‥‥‥わかってもらえた?」


 「わかったわよ!蒼空が可愛すぎるってことが!

  あなたは私をキュン死させる気なの!?

  はあ〜〜、可愛すぎる♡大好き♡」


 結愛がすごく声を荒げて言ってくる。こんなにダサい本音のどこがそんなにいいのだろうか???


 「理由が可愛すぎて最高だからあなたを応援するわ!

  かんばってね、蒼空!」


 「ああ頑張るよ。ありがとう」


 「でも、テストが終わったら1つだけ私のお願いを

  聞いてほしいの。それでもいい?」


 「あ、ああもちろん。それくらいでいいなら」


 軽く了承してしまったが、大丈夫だろうか。ま、完璧な俺ならなんとかなるか。


 「じゃあ今週はあまり電話かけないようにするわ。

  蒼空の邪魔したくないし」


 「結愛との電話が邪魔になるとは思ってないが、

  気遣ってくれてありがとう。俺、がんばるわ。

  ‥‥‥でも、勉強の合間の休憩中とかに、

  電話、かけてもいい??」


 「!!もう!少し寂しくなってる蒼空可愛すぎ♡

  なんでそんな可愛いの!?もう、好き♡

  寂しくなったらいつでも電話かけてきて。

  私、蒼空が寂しくなって

  頼ってくるの待ってるわ♪」


 いや、そんなに可愛い連呼されるとなんか男してなんとも言えない気持ちになる。完璧な俺は可愛いところもあるとは思うけど!


 この後、結愛との電話を終えて勉強に励む俺だった。


 結愛の応援にも答えないとな。


 テスト開始の5月18日まで約1週間。完璧な俺ならなんとかなる。



 ‥‥‥はず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ