七海結愛は俺にとって‥‥‥
しばらく2人で泣いた後。
俺は今の情けない姿を見られてるのが恥ずかしくなりすぐに七海から離れる。とはいっても太ももの上に跨られているので座った状態のままだが。
「あら、もう終わり?
もっとあなたを感じていたいのに」
七海は恥ずかしくなることを平然と言ってくる。
すると、七海は目を瞑る。唇を突き出してくる。
完璧な俺はそれで何を求めているのかわかる。
そして俺は、七海の頭に軽くチョップした。
「痛、お預け?あなたってドSね」
いや、お前にだけは言われたくないわ!!!!
俺はさっきの襲われたことを思い出して恥ずかしくなり七海から目を逸らす。
でも、七海は両手のひらで左右から俺の頭を掴み、無理やり自分の方に向けて、目を合わせてくる。
「見せて。今の蒼空の顔が真っ赤で可愛いところ♡」
そう言って七海は俺に目を合わせてニヤニヤしている。こいつ‥!!天性のドSだな!!!!!
「さっきの蒼空、動画で撮っておけばよかった」
「お前脅す気か!?
そんなのみんなに知られたら
俺は生きていけない!!!!!!」
「何言ってるの?
あんな可愛い蒼空を
他の人に見せるわけないでしょ?
家で何回もさっきの蒼空を見たいからよ」
「絶対いやだ!!!!!恐ろしいこと言うな!!!」
こいつ本当にあんな俺も好きなのか???
俺はまだあまり信じてないことを言う。
「こんなクソダサい俺のことを本当に好きなのか」
それを聞いた七海は返事をする。
「もちろんよ。私は蒼空が好き。
確かに外見も超タイプだけど、
何より本当のあなたの性格と価値観が大好き。
愛おしい。可愛すぎる。
あなたはいつも私を興奮させる。
昨日だって蒼空の家のお風呂で
あなたを想って慰めたし、
ソファで寝てる蒼空にキスしようとした。
その前にあなたが起きちゃったけどね。
わざとベッドにも入った。
あ、その時は抱き枕にして匂いを嗅いでただけで
他には何もしてないから安心して?
さあ、いつさっきの続きをしましょうか。
早く私の処女をもらって?
ご家族にはいつご挨拶に行こうかしら。
プロポーズはロマンチックな場所でされたいな。
結婚式はどこで挙げようかしら。
私、こどもは最低2人は欲しいわ♡」
「‥は!?ちょっと待て!!
何言ってんだ!!
好きか聞いただけなのに飛躍しすぎだろ!!
しかも知らないことがいっぱい出てきたぞ!?
理解が追いつかない!!!
ていうかお前本気か!?
人に認めてもらいたいくせに
人からの好意を怖がってるクソダサい俺に!?
お前からの告白なんて、
俺以外の相手なら即OKだぞ!?」
すると七海が俺の頬をつねってくる。痛い!!
「私の好きな蒼空をバカにしないでって言ったよね。
他の人なんてどうでもいい。興味ない。
私はもうあなたのことしか考えられない。
あなたがカッコよくて、可愛すぎるのが悪い。
あなたの全てが私の好きな要素。
それに私と蒼空の苗字は
同じ漢字と似た意味の漢字。
やっぱりこれは運命ね♡」
俺が言っていた苗字似てるってこと
お前も思ってたんかい!!
「じゃああなたが1番納得できる言い方をするわ。
超絶イケメン、頭脳明晰、運動神経抜群、
器の広さ、そして決して完璧ではない
美しい性格と価値観を兼ね備えた、
カッコよくて可愛い蒼空が好きです。
私と付き合ってください」
七海は顔を少し赤くして、真っ直ぐに伝えてくれた。
間違いなく今までされた告白の中で1番納得できる告白だった。
なんで彼女はこんなにも刺さることが言えるのだろうか。
俺は初めての俺に向けられた真っ直ぐな告白に対して返事をできずにいた。
正直俺は色々な考えを拗らせすぎてて、七海を恋愛対象として好きなのかどうかわからない。
でもこれだけは言える。とても感謝している。
そう思ってると七海は俺から離れて立ち上がる。
「もちろん返事はまだいいわ。
あなたはまだ人の好意が怖いんでしょ?
わからないんでしょ??
私の想いには真剣に答えてほしいもの」
「七海‥、あ、ありがとう」
「結愛って呼んで。
あんなに私が気持ちを伝えたのだから。
偽の関係解消したら、すぐに苗字呼びに戻す
優しい蒼空は大好きだけどね。
これは私のお願い。
これくらいは、聞いてほしい」
こんなに可愛すぎるお願いがあるだろうか。
彼女は自分の気持ちを表したり、自分から行動したりときは平然としているけど、相手に何か要求する時は恥ずかしがるんだな。よくわかった。
「わかった。気持ちは本当に嬉しい。
本当の俺も好きになってくれたんだから。
でもまだ気持ちの整理がつかない。
もしかしたらかなり待たせてしまうかもしれない。
本当に申し訳ないが、必ず真剣に返事をする。
こんな俺をそれまで待っていてくれるか、結愛」
「!もちろんよ。あなたって本当にカッコいい」
いや、セリフはかなり最低なこと言ってるよ??
しかも名前で呼ばれて恥ずかしがっている。
結愛自身が昨日行ったことを平然と暴露してたのに。
「あ、1つ言っておくけど今日のあれ。
私のファーストキスだから。
蒼空、責任取ってよね♡」
重いことを軽く言うな!!!
責任ってどう取るんだ!!!!
「重いことを軽く言うな!!!
それに俺だって初めてだったんだ!!」
それを聞いた結愛が途端に嬉しそうな顔をする。
その顔、俺に刺さるわ‥‥
「そうなんだ♪とっても嬉しい♡
最高だわ。蒼空の初めては私がもらった。
それにお互い初めてを
捧げ合うことができるなんて。
それに私は、ちゃんと責任、取るからね♪」
すげえ恥ずかしいこと平然と言ってるぞこいつ!!!
しかもなんか怖い!!!!!!
「さあ、そろそろ帰りましょうか、蒼空」
「あ、ああ」
完璧な俺がこんな返事しかできなかったなんて。
不覚だ。今日の俺自身が不覚だ。
こうして俺と結愛は一緒に帰る。
偽恋人の関係を解消し、完璧な俺の友達になってくださいと言ったら拒否されて襲われ、隠していたダサすぎる本当の自分を全部知られて、そんなダサい俺の彼女になりたいと言われた。
こんな話を誰が信じてくれるのだろうか。
1人もいないな。まだ俺自身が信じきれてない。
結愛に対する気持ちは整理できてないが、わかったことがある。
七海結愛は面白い女ではなく、恐ろしい女なのだと。
そして、俺にとって特別な人なんだと。
今言えることは1つ。来週の学校行きたくない!!
この後俺は自分の教科書を取りに教室へ行きました。
いや、あの話した後に取りに来るとかダサいな、俺。
幸い、完全下校時間の少し前だったので廊下と教室には誰もいなかった。
本当によかった。
だって、結愛が俺にずっと抱き着いているから。
こんな姿見られたらますます俺は、みんなから嫌われてしまうだろう。
結愛は教室はおろか、廊下の移動中ですら俺から全く離れなかった。
こいつ、いつクールだったっけ?




