最初で最後の偽恋人とのお泊まり
俺たちは学校にカバンを取りに行った後、結愛は替えの下着が欲しいと言ったのでコンビニに寄った。コンビニって本当に便利だよな。
ていうかそれなら泊まらずに帰ればいいのでは??でもそれを言うとなぜか怒られる想像ができるから言えなかった。完璧な俺はもちろん空気を読めるのだ!!
そのあと俺の家に着く。俺は玄関のドアの鍵を開ける。
「はい、どうぞ」
「お邪魔します」
礼儀正しいな。前にもこんなこと言ったな。
「今さら聞くけど、親に連絡した?」
「本当に今さらね。今からLINEでするわよ。
彼氏の家に泊まるって」
「偽だから誤解生む言い方やめて?
いや、男という部分を変えて!?
友達とかで良いだろ!」
家に入って真っ先にしたこと。手当て。
とりあえず殴られた俺の顔の手当てから始まった!
消毒液が超染みる。痛すぎる。泣きそう。
「痛くない?」
「痛い!!」
「大丈夫そうね。続けるわ」
鬼ですか‥???
ドSなのは良いけど俺ドMじゃないんだよな。
そういうのはたまにされるから良いんだよ。
いや他意はないぞ!?
俺の手当てが終わり結愛に先に風呂に入ってもらうことにした。
俺は前に結愛に貸したのと同じ黒のスウェット上下とバスタオルを用意する。下着は結愛がコンビニで買ったのを用意してるだろう。
「ねえ、せっかくだし一緒に入る?」
「悪い。冗談に反応する気力が今の俺にはない。
この俺でも疲れることはあるからな。
お前も疲れただろ?俺のために走ってたんだから」
「なんで知ってるの!?変態!!」
そう言って結愛は浴室に入っていった。久々に罵倒された気がする。いや罵倒されて嬉しくないぞ!?
今回は湯を溜めた。俺も結愛も疲れたからな。
結愛が風呂に入っている間、俺はソファに横になっていた。やばい、すごく眠たくなってきた。おやすみなさい‥
誰かに肩を揺らされてる気がする。
‥‥きて
‥‥‥てる?
‥‥‥‥ないわよね?
‥‥‥‥‥ま〜す
「〜ん、んぅ?」
俺は目を覚ます。情けない声を出してしまった。
この俺が寝ちゃうんだからやっぱ相当疲れてるな。
結愛の顔が俺の顔とかなり近い。起こしに来てくれたんだろう。俺の彼女、優しい‥‥‥!
「ふふ、おはよう。もう少しだったのに」
「‥‥‥?なんかよくわからないが、
起こしてくれてサンキュー。
俺も風呂入ってくるわ」
寝ぼけてたから何も頭が働いてない。この俺でも寝ぼけたりはするのだ。お茶目だろ!
「いってらっしゃい。その間にご飯作っておくわね」
「冷蔵庫の中身勝手に使っていいぞー」
なんか新婚夫婦みたいだな。いや、俺の発言は変か。
俺は風呂に入る。浴槽に浸かって声が出る。
ひぃ〜〜〜〜。なんかダサいなこれ。
なんか浴室の中が普段と違う匂いがする。今まで嗅いだことがない匂い?
これは‥‥‥まさか。
結愛の汗の残り香?
それともなんらかのフェロモン?
そんなわけないか。俺は今疲れてるしな。
いくら女子が入った後だからって完璧な俺はそんなこと考えない。完璧だからな!
「はぁ〜さっぱりした〜」
「おかえりなさい。もう準備できたわよ」
風呂から出てパジャマに着替えると結愛がすでに料理を終えていた。
出されているのはご飯、味噌汁、焼き鮭、サラダ、肉じゃが。
超美味そうなんだが‥!?料理もできるんかい!!
「超美味そう!!いただきまーす!」
「フフ、いただきます」
俺たちは食べ始める。
「うま!?美味すぎる!さすが結愛!!」
「そんなに褒めても何も出ないわよ?」
「素直な感想だ。
この俺が見え透いたお世辞を言うと思うか?」
「言わないわね。
そういえばあなたそういう性格だったわ」
照れてるデレてる。ほんとに攻撃的な態度がなくなったな。ちょっと残念かも。いやMじゃないよ?
「笑ってないで早く食べなさい!」
「すいません!」
笑っていたのがバレて注意されました。俺のお母さんかな??
結愛は将来良い奥さんになるんだろうなー!
結愛と結婚したやつ幸せだろうな!
うん、主導権握られること間違いなし!!俺が言うんだ間違いない!
いよいよ夜になった。ここで問題がある。
それは俺はどこで寝るか。
俺が住んでるマンションは1DKのため、一室にソファと俺が普段使っているベッドがある。 もはや一択だな。
「結愛は俺のベッドで寝ていいよ」
「良いの?じゃあお言葉に甘えて」
結愛はすぐに俺のベッドに入っていく。
即答かよ。しかも何の躊躇いもない。
大胆すぎませんか‥‥‥???
でも完璧な俺は動揺なんてしない。完璧だからな!
「じゃあ俺はソファで寝るから」
「ベッドで一緒に寝るんじゃないの?
あなたの性格だと絶対ベッドで寝ると思ってた」
「俺をなんだと思ってるんだ!?
俺は性格良いって言ってるだろ!?
お客さん優先に決まってるだろうが!」
「あなたがソファだと私がベッドで寝にくいわ。
私がソファでいい。どうせ、さあ早く寝ましょう」
そういって結愛がソファに横になる。
いや、この場合だと俺が寝にくいんですけど。
そう思いながら俺は自分のベッドに横になる。
そして部屋の電気を消す。
美少女とお泊まり、何も起きないはずが‥ありました。
俺は電気を消した直後に寝たのだった。
こうして最初で最後の偽恋人とのお泊まりが終わった。結愛の手料理、超美味かった!結愛と付き合う人は幸せだろうな!
今日で最後の偽彼氏の俺が言うんだ間違いない!
俺たちは明日から、もう他人だ。




