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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第1章 学年一の美少女と。
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全てのことに決着を

 私は走っている。無我夢中に走っている。


 髪が乱れてる。汗をかいている。制服のシャツがぐちゃぐちゃになっている。


 そんなことどうでもいい!!!


 早く行かなくちゃ!!!蒼空、そら!!!!!


 あともう少しで着くからね!!!


 途中で息が上がって走れなくなり、私は人気がない道で膝に手を置いて立ち止まる。


         そして気づく。


  さっきから私の数m後ろに、同じ人がいることに。


 走ることに集中していて気づかなかった。


 私は後ろなんて全く確認してなかった。


 間違いなく私のストーカーだ。


 振り向くと目の前に他校の制服を着ている人が立っている。


 私の方を見てニヤけている。


 気持ち悪い!怖い!!


 でも、走り過ぎたせいで体が動かない。

 立っているのがやっとだ。


 ストーカーが私に近づいてくる。


 助けてなんて言えない!!

 蒼空は今がんばってるんだ!!!



      そら、、私に力を貸して!!!!



 「あなたなんなの!!!!

  この私をつけ回して!!!!

  そんなに私のことが好きなの!!?

  どこを好きになったの!!!?

  顔、それとも胸!?

  どうせ顔が好みとか胸が大きいとか

  そんな浅い理由なんでしょ!?

  ふざけないで!!!!!

  私は顔や胸の他にも良いところがあるの!!!!

  そんなことも気づいてないあなたを

  私が好きになるわけないじゃない!!

  こんなことをしてくる人を好きになるわけない!!

  それに完璧な私には!!!

  もう私には完璧な理想の彼氏がいるの!!!!」



    「私たちの邪魔をしないで!!!!!!」




 言った。言いたいことを言えた。ありがとう、そら。


 ストーカーが私の言葉を聞いて怒っているのがわかる。そして私に手を伸ばしてくる。




 私の足動いて、動いて、動いて、動いて!!!!


 助けて、助けて、助けて、助けて、助けて!!!!


         そら、助けて!!!



 私は怖くて耳を塞ぎ目を瞑る。


 少し時間が経っても私は触られている感覚がない。


 私はそっと目を開けて耳から手を離す。



 私の前には、私が待ち望んだ理想の彼氏がいた。




 「ごめ〜ん!待ち合わせに遅れた!!」


 彼は、振り向きながら笑顔でそう言う。



       遅いのよ、もう‥‥‥!!!



―――――――――――――――――――――――――



 何とか間に合った。移動中に高島に聞いたが、まさか結愛がこちらに向かっていたとは。だがおかげで間に合った。


 高島、俺が結愛に隠そうとしていたことをバラされたのは恥ずかしいが、おかげで間に合った。ありがとう。


 しかも結愛は目を閉じて耳を塞いでたから、俺が全力疾走して男を殴り、息が絶え絶えだったのは見てない。


 あんなにカッコ悪い俺は、見られたくないからな!


 「そら!、、、そら!!!!」


 彼女は抱き着いてくる。本当に無事でよかった。久しぶり、双頭の巨乳。


 「ついにストーカーが現れたんだな!

  たまたま近くに俺がいてよかった!

  あとは結愛の完璧な理想の彼氏に任せなさい!!」


 「!?ば、バカ!!!!」


 「痛い!」


 思いっきりビンタされる。え??なんで!?


 「テメェ何すんだ!!」


 俺の後ろの方から声が聞こえる。ストーカー野郎はそう言って立ち上がる。


 俺はすぐに後ろに振り向く。結愛が俺の背中から離れようとしなかった。


 「大丈夫だ。下がってくれ。そして俺を信じてくれ」


 「!う、うん!」


 俺は小声で伝えて結愛に後ろへ下がるよう促す。


 「ああ、まだいたのストーカー野郎。

  俺たち逢引き中なんで邪魔にしないでもらえる?

  そして、俺の彼女に近づくな。二度と」


 「誰がストーカーだと!?この野郎!!!」


 「そら!!!!」


 男が走ってきて俺の顔を殴る。結愛が心配そうな声を俺の後ろから上げる。


 「大丈夫だ。わざと殴られたから。なあ高島!」


 「はあ、はあ、そうね。

  あんたが全力疾走してる動画と、

  無理矢理七海に触ろうとしたキモい男の動画と、

  あんたが殴られた情けない動画が

  バッチリ撮れたわよ」


 ストーカーは全く気づいてなかったんだろう。携帯を俺たちに向けている高島は息が上がった様子で歩きながら言う。


 当然だ。俺は高島をかなりのペースで走らせていたんだから。俺は前方に結愛の背中が見えた時に高島に録画してもらうように頼んで、そこから全力疾走したというわけだ。高島には悪いことをしたな。


 高島にはストーカーの死角に入ってもらい、少し遠くから動画を撮ってもらっていた。


 一言余計なんだよ!!確かに情けなかったけど!


 「さあ、これでお前を殴り飛ばしてもいい

  大義名分ができたな!

  何か言い残すことはあるかストーカーくん?」


 「ふ、ふざけー!グハッ、、」


 「あ、ごめん!聞く前に殴っちゃった!!

  完璧な俺のお茶目な部分を

  見れたことに免じて許してね♪」


 男が地面に倒れる。まだ意識は残っている。


 俺は男の服を掴んで言う。


 「この俺は優しいイケメンだから、

  お前が二度と結愛に近づかないなら

  このことは黙っといてやる。

  お前が結愛を触ろうとした動画と

  この俺のご尊顔を殴った動画があるのを

  忘れんなよ???

  お前がこのこと広めたら、優しい俺でも

  彼女を守るために動画流しちゃうかもなぁ!!」


 俺は男の服を掴み直す。


 「結愛に二度と近づくな!!!!!!」


 俺は手を離すと、男は泣き叫びながら一目散に逃げていく。ダッセェなおい。いやほとんど意味のない喧嘩をしていた俺もダサいか。


 何はともあれ、一件落着だな。


 こうして、結愛を悩ませていた全てのことに決着をつけた俺。


 スマートに解決できる俺ってやっぱ完璧だな!


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