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七河蒼空は、外見以外に問題あり  作者: とい
第1章 学年一の美少女と。
10/60

俺の顔は血がついていてもカッコいい

 拝啓、俺の家族へ。


 今、俺のご尊顔を殴られています。


 これには事情があるんです!!!!



―――――――――――――――――――――――――



 私は学級委員の仕事をしていた。蒼空は用事があると言って先に帰っていった。用事があるなんて珍しいわね。


 学級委員の仕事を終えた私は教室を出て帰ろうとする。


 すると電話がかかって来た。相手は高島さん。


 嫌がらせの一件以来、高島さんと私は一度も話していない。前に一応連絡先を交換しただけ。


 一体なんなのだろうか。そう思って電話に出る。


 「はい。七海です」


 「ごめん七海。

  あたしの電話なんて出たくなかった思うけど、

  たまたま今の光景を見てしまったから。

  あんたにどうしても伝えないといけないと思った」


 「私に伝えたいこと?高島さん、それは何ですか?」




 「よく聞いて。


  七河、他校の生徒に殴られてる」




―――――――――――――――――――――――――




 「いてぇな!!よくも超絶イケメンな俺の顔を!」


 俺はこいつらに何回か殴られた。

 口からは血が出てる。貴重な俺の血が〜〜!!


 「イケメンな顔が台無しだな!!

  でもそっちの方が似合ってるぜ!!!」


 「へ、当然の報いだ!!!!

  これに懲りたら二度と調子乗るんじゃねぇぞ!!」


 「ダッセェなぁ!!」


 ヤンキーたちはそんなことをそれぞれ言いながら俺に向かってまた殴りかかってくる。いや1人相手に3人で喧嘩する方がダサいと思うんだけど。


 うん、結構殴られたな。口の中も切れてる。血もまあまあ出たし。




         もういいか!!



 俺は腹に向かってきたその拳を体を捻って避けた。


 そしてヤンキーたちからバックステップで距離をとって地面に落ちている自分のブレザーとカバンの前に。


 そしてブレザーのポケットにこっそり入れておいた物を取り出して話し始める。


 取り出したものの停止ボタンを押して。


 「いや〜!!いい演技だった!!!

  このドラマのワンシーンみたいな会話を

  全て録音できました!!

  どうもご協力ありがとう!!!」


 そう言いながら携帯を出して、ボイスレコーダーのアプリを開き、さっき録音した音声を流す。


 ブレザーとカバンを地面に落とす前に録音ボタンを押してたんだよなあ!しかもバレずに、さすが俺だ!


 携帯はコイツらと会う前にあらかじめブレザーの中に入れておいた。さすが俺、用意周到!


 そして俺は殴られている間も、ヤンキーたちが足で俺のブレザーにぶつからないように自分が動いて絶妙な距離を保っていた。


 うん、さすがにノイズ入って音声が荒いけど会話の意味はわかる。あいつら声デカかったしな!ちゃんと録音できてる!


 上手く録音できてなかったら少し厄介だったがそれは杞憂だった。俺って運も良いんだな!


 ヤンキーたちは少し驚いた様子を見せたが、すぐに笑いながら言う。


 「録音したからって何になるんだ???

  お前が俺たちに半殺しにされて携帯壊されたら

  意味ねぇじゃねえか笑笑」


 「そうそう笑カッコつけんなって笑笑」


 「意味ないことしてご苦労だな笑笑」


 ヤンキーたちは口々に言う。俺は笑いながらこう言った。


 「じゃあさっさと確かめてみればいいじゃん笑

  それに3人もいて負けたら言い訳できないよ?笑

  ま、1人で挑んでくるよりは

  ちゃんと勝てる可能性も3倍されてるか!

  0パーセントの3倍は結局0パーセントだけどな笑」


 「テメェは一方的に殴られてただろうが!!

  喧嘩弱えくせにカッコつけてんじゃねえぞ!!!」


 そう言ってまた殴りかかってくる。


 なんでこういう奴らって挑発に弱いんだろうな。その時点で俺に勝てんわ。


 俺は携帯をズボンのポケットの中に入れる。ブレザーはそのまま地面に置き、カバンは少し遠くに投げておいた。


 この人数差だ。カバンに携帯を入れておくとこいつらの中の1人がそれを壊しにいくかもしれない。ブレザーも同様。だから今はズボンのポケットに入れた。カバンを投げたのは俺が今から動く時に邪魔になるから。


 俺はしばらく俺の顔に飛んでくるヤンキーたちの拳を自分の体を効率よく動かして最小限の動きで避け続けた。華麗に避けていく。


 まるで先の動きが見えているみたい!!


 すげぇ!!バトルマンガの強者キャラみたい!!さすが俺!!


 「な、なんで当たらねえ!!!」


 ようやくヤンキーたちは理解し始めたようだ。俺は見切って攻撃を避けていることを。俺はさっきまでわざと殴られていたことを。


 俺はもう一度攻撃を避け切ってから少し距離を取り話し始める。


 「なんでって、避け始めたからに決まってるじゃん!

  聞いたことない??俺って運動神経抜群!!!!

  今までわざと殴られてたのは録音だけじゃ

  お前ら殴った理由が正当防衛だと

  証明できない可能性が万に一つくらい

  あると思ったからだ!

  ま、仮に録音できてなくても他に手はあった!

  一方的に殴れて気分良かったか??

  おめでたいなわざと殴らされてたことも知らずに!

  良かったな俺の尊い顔に触ることができて!

  けど見て見て!!この適度に殴られて

  血がついてカッコいい俺の顔!!!

  俺の顔は血がついていてもカッコいい!!

  これでお前ら殴っても俺は正当防衛!!

  ノープログラム!!!万事解決!!」


 「お前、ふざけんじゃねぇぞ!!!!」


 「ふざけてんのはどっちだよ!!!!

  俺の超可愛い自慢の彼女を怖がらせやがって!!

  ついに初公開、七河蒼空の本気だ!!!!

  そんな俺の姿見れて感謝しろよお前ら!!!!!」



     こうして1VS3の喧嘩が始まった。



   俺の運動神経なら勝てることは間違いない。


     すげぇ、フィクションみたい!


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