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第9話 練習の成果

 翌日からレオンは常に毒薬草の葉を何枚か千切り、こっそりと持ち歩くことにした。ゲームの世界では、毒薬草を魔法学校の魔法研究室に持って行くと、魔法薬学の先生がポーションにしてくれていたが、現実ではどのようにポーションに加工ができるか分からなかったためそのままの状態で持ち歩くことにしたのだ。


(どれくらいの効果があるか分からないけど、ないよりはマシだもんね。問題はこの味だけど・・・死ぬよりはマシだから頑張ろう・・・)


 試しにレオンが葉を齧ってみたところ、鑑定の結果にも書いてあった通り凄まじい苦味が襲った。恐らくポーションに加工することでこの苦味は中和されるのかもしれないが、こればかりは我慢するほかなかった。

 その日からスープ、水、何かを口にする度に見つからないよう手にちぎって隠しておいた毒薬草を食べることにした。食事は全て食後の苦味で味わえたものではなく、流し込んで食べるレオンを見ては度々ルージュから「下品」と罵られたが、気にしないようにした。

 食事の際には執事やメイドが扉の前に立っており、レオンの食事は全て専属メイドのエマが給仕を行う。レオンは背後に立っているエマにも気付かれないよう最新の注意を払いながら毒薬草を食べ続けた。


 そして毒薬草を食べ始めてから3日後、いつものようにエマがスープを出してきた際、エマはスプーンを落としてしまった。いつものエマならばこんなミスをするとは考えにくかった。

 ペコペコと頭を下げ謝罪をしながら机の下に潜るエマを覗き込み、

「エマ?大丈夫?」

とレオンが問うと、エマの目にはすでに大粒の涙が溜まり、今にもこぼれ落ちそうだった。


「・・・っ!申し訳ございません、こちら取り返させていただきますね。」

 エマは誰にも涙を見せないよう慌てて拭いながら、にっこりと笑い、スプーンと一緒にスープも片付け、すぐに新しいものを用意した。

 

 毒薬草を食べていたため、これまでに食べたものに毒を盛られたかどうか判別できていなかったが、エマの行動でレオンはこれが初めてだったのだと推測した。


 執事の渡した毒がどれだけ強力なものかは分からない。ゲームのレオンが毒を口にしても死ななかったということは致死率は高いものではないのかもしれないが、今のレオンはまだ5歳と体が小さい。同じものを口にしても死ぬ可能性はあるため、気を抜くことはできなかった。


 

 それから1ヶ月。毎晩練習をして毒薬草を探し、部屋に戻ってステータスボードを確認する。これがレオンの日課になっていた。レオンはルークライトを意識した場所・サイズに無詠唱で点灯させることができるようにまでなった。

 驚いたことに1ヶ月でDEX値の数値が5上がり、【毒耐性:弱】の文字が加わっていた。

 ゲームの世界ではモンスターを倒して経験値が上がる際に得られるSPで上げるか、アイテムでしか数値は変えられなかった。


(・・・現実とゲームでレベル上げの概念が違うのかな?毒耐性がついたってことは、毒薬草はもう食べなくていいのかな。でも【弱】だからなぁ・・・)


 毒耐性の威力が分からなかったことと毒薬草の苦味も「こういう料理」として思えるくらいに慣れたので、レオンはそれからも毎食毒薬草は食べ続けることにした。

 そしてDEXの数値が上昇したことで、次の生活魔法を覚えることにした。ライトの威力が強力だったため、周囲に害を与えてしまいそうな<ウォーター><ファイア>の二つは<(ルーク)ライト>を習得し終えてから試すと決めていたのだ。


「火事になったら怖いから、まずは<ウォーター>の方からかな。」


 レオンは頭の中で蛇口をひねるイメージをし、手から水が出てくることを想像したが、水はチョロッと出てすぐに消えてしまった。


「またか・・・ライトの時と同じで、すぐに消えちゃう。イメージが悪いのかな・・・」


 レオンはふーっと深く息を吐き、初めてライトを成功させた時のように頭の中にまず大好きなルークを思い描いた。そしてルークが美味しそうに水を飲むところを想像し、

「<ウォーター>」

と呟くと、手から一斉に水が溢れ出てきた。そしてDEX値が上昇したからか、滝のように溢れ出てきた水もすぐに少しずつ威力を弱めることにも成功した。


 同様に<ファイア>もルークが太陽の下で剣術を習っている姿を思い浮かべることで取得に成功した。

 威力の調整が出来ていないからか<ファイア>を終えるとドッと疲れが出てクタクタになったが、エマが言っていた全ての生活魔法を取得することができた喜びで、足取り軽く鼻歌まじりに屋敷へ戻った。


読んでいただきありがとうございます!

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これからも執筆を続けられるようがんばりますので、

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