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第74話 暴れる世界樹

 ピキピキと少しずつ壊れていく音が聞こえる中、レオンは打開策を必死で考えた。


(これが壊れたらそのまま串刺しだな・・・でも暗黒球ダークスフィアを解除しないとこっちからも魔法が通せないし・・・)


 レオンが考えている間にも世界樹の枝は暗黒球を破壊せんと、ぐるぐると枝を巻き付けていった。


「くそっ、考えてる暇はないか!」

 レオンが考えた作戦は暗黒球を解除した瞬間に最もMP消費量の少なく攻撃力の高い<ファイヤ>を放ち、枝の隙間を通ってここから脱出するというものだった。



「・・・<ファイヤ>!!」


 暗黒球が消えた瞬間に一斉に襲いかかってくる世界樹の枝は、レオンの放った炎に触れた瞬間に消し炭となり、レオンは世界樹の枝から抜け出すことに成功した。が、四方八方を囲っていた枝を消し炭にするほどの炎は、当然火元であるレオンもただでは済まなかった。


「ぐっ・・・<ウォーター>・・・<ヒール>。よし。」


 全身に大火傷を負った痛みは、一度のヒールでは全回復とはいかなかったが動けるほどに回復すると、レオンはすぐにマリーの元へと走った。世界樹はレオンに攻撃された火が燃え広がらないようにしているのか、枝を振り回し暴れ始めていたため先ほどよりもエリア一帯が攻撃範囲に広がりはしたものの集中的にレオンを狙わなくなった分、回避は楽になった。


 レオンはマリーを抱き抱え、通路まで駆け上がると、マリーをそっと床に寝かせ<ヒール>で傷口を修復した。

(うん、HPも残ってるし、大丈夫そうだな。傷口も塞がった。ただ、やはり光魔法はまだレベル4のままか・・・どうしたものか。)


 

「レオン!大丈夫か!!」

「お兄様!フェル!良かった、ご無事でしたか!お怪我はありませんか?」

 ルークとフェルも無事にレオンが倒し切れなかったモンスターを倒しながら最奥へと辿り着いた。

「ああ、私達は大丈夫だよ。それより彼女は・・・。」

 腹部が真っ赤に染まってぐったりと倒れ込んでいるマリーを見て、ルークは恐る恐るレオンに聞いた。

 レオンは心配そうなルークを和ませるように微笑むながら

「心配無用ですよ、お兄様!世界樹の攻撃に当たって瀕死だったようですが、ヒールをかけて今はHPも残ってますし、放っておけば聖女の自動回復能力で回復していくはずです。」

と答えた。レオンの返答にルークはホッと胸を撫で下ろし、

「そうか。」

と一言呟き、暴走している世界樹を覗き込んだ。


「あれが世界樹なんだね・・・。」

「はい。ただ、マリーの光魔法が最大のレベル5に達したので複製してみたのですが・・・。」

「レベル5になったんだね!ではこれで浄化ができるんだ!・・・どうしたんだい?」


 念願だった光魔法のレベル5を複製したレオンだったがその顔は暗かった。

「・・・先ほどから世界樹を見てるんですけど、何も魔法が思い浮かばないんです。つまり、どんな呪文なら世界樹を浄化できるか分からないのです。お兄様はいかがですか?」

 ルークは世界樹をじっと見つめた後、首を横に振った。


「そうですか・・・。」

「ねえねえレン、あそこだけ真っ黒だよ!」

「え?」 

 フェルが指差したのは先ほどまでレオンを捕まえていた枝だった。


「ああ、さっき俺が燃やしたから焦げたんだろ。お兄様も魔力回復薬は要りますか?」

「いや、私はいいからレオンが飲んでくれ。もうそれしかないんだろう。それにさっきはマリーに気をとられて気付かなかったが、レオンの体もボロボロじゃないか。ヒールをかけよう。」

「いや、俺は大丈夫ですよ!」

「私にできるのはこれくらいなんだからやらせてくれ。これが最後のヒールになってしまうかもしれないが。」

「・・・ありがとうございます。」

 レオンはルークの暖かい光魔法に包まれ、火傷を負った全身の痛みが消えていくのを感じながら魔力回復薬を飲み干し、身体に残るルークの優しい温もりを堪能した。

(やっぱりお兄様の光魔法は自分でかけるのとは全然違う!これがお兄様の力!し、幸せだ・・・!)



 そんなレオンの幸せなひと時を邪魔するかのように、またフェルはレオンの腕を引っ張り呼びかけた。


「ねえレン!やっぱりあそこ黒いよ!」

「だから!さっきも言っただろ。俺が燃やしたんだよ!」

「違うよ。あそこからは闇の力を感じる。」

「え?・・・<鑑定かんてい>」


 【世界樹:Lv - 状態異常:闇

  神が作りし世界を支える木。世界の穢れを吸い浄化する。】


「状態異常:闇、ってなんだ?俺の魔法を吸い込んだからか?」

 ゲームの世界でも見たことのない表示をレオンは見つめた。


「・・・世界樹をレオンの魔法があれば闇属性にできるのかも。」

「何か知ってるのか、フェル。」

「知らない。分からない。でも、レンの魔力を吸い込んだ枝からはヘリア様の、闇の力を感じる。

 ねえレンの魔法をもっとたくさんあいつに取り込ませればいいんじゃない?」

「俺の闇魔法を・・・?」


 レオンは口に手をあて黙り込んだ。フェルの提案通り、世界樹は確かに闇魔法を取り込む力を持っているのかもしれない。だが、取り込んだ後どうなるのか、結果の分からない、シナリオにはない行動をすることが果たして正解なのかレオンには判断できなかった。


「ねえレオン。ゲームだと世界樹は聖女の力で浄化されるんだよね?浄化された後はどうなるんだい?浄化が失敗したことは?」

「えっと、ゲームでは浄化の失敗、つまり主人公と攻略対象者が戦いに敗れると主人公の部屋まで戻され、その前のセーブポイント、つまり過去に戻って戦い自体がなかったことになるんです。そのため失敗するということ自体あり得ません。

 浄化が成功すると、世界に再び平和がもたらされ攻略対象者とともに凱旋パレードに参加後またいくつかのイベントを経てハッピーエンドかバッドエンドかに進み、ゲームは終わりだったと思います。」

「なるほど・・・。それではこの戦いにおいてはあまり参考にならなそうだね。」

「そうですね。元々攻略対象者達との恋愛を楽しむゲームなので、この戦闘の箇所はオマケのようなものですし、参考にするのは難しいかもしれません。」

(ゲームだと世界樹の戦闘だけは主人公が浄化をしている間攻撃を捌き続けろって言う、リズムゲームみたいな感じだったから、世界樹浄化のヒントとか、何も分からないんだよな・・・やはり主人公特有の何かがあるんだろうけど・・・)



 レオンは寝息を立てているマリーを見つめた。

 マリーはHPが3分の1ほどまで回復し、頬に血色が戻ってきても一向に起きる気配はなかった。

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