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第67話 主人公のレベル上げ

「レオン様、お待たせしました。」

 翌日の夜、見張りの騎士以外はみんなが寝静まった頃約束通りレオンはマリーと合流して神殿へと向かった。神殿の門番には事前にルークから丁寧にお願いをしてあり、彼はレオン達が通る頃合いを見計らって席を外した。


「よし、じゃあ扉を開けるぞ。」

「はい。お願いします。」

 マリーはレオンの腕に巻きつくようにしがみ付きながら、2人は世界樹への入り口を開けた。


「ここら辺のスライムだと弱すぎるからもう少し奥に行こう。そんなにくっついてると危ないぞ。」

「えー、でもでもマリーと2人っきりですよ?レオン様は嬉しくないの?」

「・・・嬉しいけど、今日はマリーが怪我をしないように、お前のレベル上げが目的だ。俺のせいで怪我したら意味ないだろ?ほら、手なら繋いでていいから。」

「はーい。」


 マリーは好感度が一切下がらないからか、日に日にレオンに対して子供のように、そして隙あらば襲い掛かろうとする獣のように獰猛になっていた。



(ホーンラビットでもいいけど、主人公は元々のHPも高いし、もう少し奥まで行っても平気かな・・・)


「レオン様?どこまで行くんですか?あまり奥まで行くと戻るの大変になっちゃいません?」

「1階層目は雑魚しかいないなら、3階層目にはアンデッド系のモンスターがいるからマリーのレベル上げには最適だ。3階層目の入り口まで行こう。」

「レオン様とお兄様はもうそこまで行ってらしたんですね。あー先に私もレベル上げて転移スキル習得しておくべきだったな。」


 実際のところはレオンが不在にすることも多くなったため、フェル1人の護衛で1階層目から下に降りたことはまだない。レオンが1階層目には雑魚モンスターしかいないと知っているのは前世の記憶があるからに他ならなかった。


(ゲームの設定では世界樹は確か5階層目の奥にあるはず。多分俺1人なら5階層目まで行ってきても平気だとは思うが、HPが0になったらゲームとは違ってもう蘇りはしないし、慎重に行った方がいいよな。)


 1階層目はスライムやホーンラビット。2階層目に出てくるのは少しレベルが上がりコボルトやミノタウロス。動きも早く攻撃力も高いが、レオンにかかればいないも同然だった。


「よし、着いたぞ。マリー大丈夫か?」

「ちょっと疲れましたけど、大丈夫です。」

「じゃあ俺が引きつけるから光魔法で攻撃。いいな?」

「はーい。」

「じゃ、やるか・・・。」


 レオンはモンスターの位置を鑑定スキルで探り、並外れた獣人の素早さを複製したその身体能力でスケルトンやリッチなどを手当たり次第に攻撃した。アンデッドモンスターには打撃攻撃は通用しないが、レオンを攻撃対象としてマリーの元まで引き連れていくには十分だった。


「キャー!!リアルで見る骸骨気持ち悪いー!レオン様そんなにいっぱい、大丈夫ですかー?」

「ああ、攻撃は避けれるレベルだから問題ない。光魔法を放つ時合図してくれ!上に飛ぶ!」

「分かりました・・・でわ、行きますよー!<光矢ライトアロー>!」

 レオンはマリーの攻撃に合わせて暗黒球ダークスフィアを唱え宙に浮かんで避難した。


(レベル1の光矢でも中々の威力だな。)

「その調子でどんどん打つんだ!光矢だと手前のモンスターにしか当たらないから広範囲の呪文でもいいぞ!」

「もうレオン様スパルター!疲れちゃうのやなんだけど・・・<女神の斬撃ライニングスラッシュ>!」


 レベル4の女神の斬撃で一瞬にしてレオンがかき集めてきたモンスター達は光の中に消えていった。流石のマリーもMPギリギリになってしまったようで、その場に膝をついて息を荒くしていた。

「お疲れ。レベル上がったか?」

「ハァ、ハァ・・・はい、スキルポイントたくさんゲットできたので、多分結構上がったと思います。私振り分けは部屋でやりたいので、後でやります。」

(なるほど、マリーは鑑定の水晶がないと自分のステータスも分からないのか。<鑑定>・・・うん、レベル11か。充分だな。光魔法はまだレベル4か。仕方ないが、続ければすぐに上がるだろう。)

「ああ、分かった。じゃあ今日はもうこれで帰ろうか。ほら立てるか?」


 レオンがマリーに手を差し伸べると、マリーは立ち上がろうとするのではなくレオンの腕を思い切り引っ張っや。レオンは予想だにしなかった圧に引っ張られ、マリーの策略通りマリーの上に覆い被さるように倒れてしまった。


「いてて、おい、マリー、ん!」

 マリーは倒れ込んだレオンの首に手を回し、押さえつけるように唇を奪った。


「ちょ、おい、やめろって。」

「えー、だってレオン様だって2人きりになりたいって言ってたじゃないですか?マリーこんなに頑張ったし、ね?マリーはもういつでもレオン様のものになる準備できてるんですよ?」

 マリーはレオンの手を自分の豊満な胸まで持って行き、再度顔を近づけて来た。


(こいつ・・・いい加減頭にきた。)

「<暗黒霧ダーク・スモーク>。」

 レオンはマリーに聞こえない声で呪文を唱えると、口付けをしてきたマリーの体内に自身の魔力で作られた黒い煙を吸わせた。この煙を吸っている間、自身で物事を考えることはできなくなり、煙の発生者・レオンの思い通りに操ることができる。


「記憶が飛んじゃうから怪しまれないように使ってなかったけど、ま、今回はMP切れで気失ってたとかって言えば納得するかな。さて、と。

 <闇空間ダークベース>。お兄様、フェル、もう出てきて大丈夫ですよ!」 

「・・・出て大丈夫なのかい?」

「ちょっと事情がありまして・・・マリーはまあ気失ってるような状態なんで、気にしないで大丈夫です。お兄様さえ良ければ一緒にレベル上げしながら帰りませんか?」

「うん、ちょっと待っててね。・・・ジオルド、聞こえるか?ジオルド。」


 ルークは闇空間から出るとすぐに身につけていた通信機であるピアスに魔力を通した。レオンと通信ができるように作ったピアスはもう一組作っており、ルークはそれをジオルドに渡していたのだ。


『やっと繋がったか!何してたんだ!ずっと連絡してたんだぞ!!本当にルークの言った通りになった!』

「やっぱりそうか。」

「・・・お兄様?」


 ルークは真剣な表情でレオンを見つめた。


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