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第59話 お兄様と一緒ならば

「お兄様、大丈夫って何か策があるのですか?」

「ふふふ。レオン、校内で鑑定魔法を使ったことはあるかい?」

「いえ、お兄様と約束しましたから属性の闇魔法以外は一切使っていません。」

「良い子だね。街中に魔力を感知する魔法がかけられているからね、使えばすぐにレオンの力がバレていたかもしれない。そこでこれをレオンにあげよう。」

「これは・・・?」

 ルークが渡したのは黒い石がはめられている銀の指輪だった。ルークがレオンの手を取り、右手の薬指にはめると、サイズもピッタリだった。


「これは魔法を使っても感知されにくくなるアイテム。私は自分の魔力量が人よりも低いだろう。だからジオルドともに魔力量を増やすものなど様々なアイテム開発の研究をしてきたんだ。まだ成功したアイテムは少ないんだが、これはレオンの魔法でも隠してくれるはずだ。」

「これで彼らに近づき、聖女の魔法を複製するんですね?」

「さすがレオン。校長の許可を得たと言っても何があるか分からないからね、手の内は隠しておいた方がいい。

 私も同じ光属性として何度か彼女と話したことがあるんだけどね、彼女は確かに各国の王子が惹かれるほどに不思議な魅力を持っているね。ジオルドが彼女に惹かれていくのもすぐに分かったよ。だからこの指輪だけは隠して持っておいたんだ。

 彼女が実際にヒールを使っているのも見させてもらったが、3年以上使い続けている私よりも彼女の方が何倍も強力な魔法を使えていた。恐らく魔力量が並外れているんだろう。でもレオン、君ならもっと強い魔法が使えると思うんだ。」

(ゲームの中でもアイテムは売店で働かれているお兄様から買うことがあったが、あれはもしかするとお兄様が作ったモノだったのかもしれないな・・・)


「レオンには申し訳ないが、ジオルドが言うように私は恐らく光魔法をレベル1以上あげることはできないだろう。3年間ほぼ毎日魔力が枯渇するほど使ってきたが、一向に新しい魔法を覚えられる気配がないんだ。だから私たちが彼らより先に穢れを祓うとしたら・・・」

「聖女の光魔法のレベルが上がった段階で俺が複製し、世界樹に向かえば良いんですね。」

「そう。恐らく単独のレベルであればレオンに敵うものはいないだろうが、ジオルドは武器や防具に魔力を込める方法を研究している。いくつか試作品で出来上がった剣もあるが、ジオルドが全て彼らに渡すだろう。それらがあればレオンの力に匹敵するかもしれない。そうすれば数の多い彼方が有利になる可能性が高い。」

(なるほど、ゲームのガチャガチャで得られるレアアイテムはジオルド経由で手に入れることになるのか?いやでも彼は風属性だったはず・・・)


「お兄様、恐らく俺の力で世界樹までたどり着くことは可能かと思いますが、世界樹の穢れを祓う魔法をかける間、俺はかなり無防備になります。俺の予想では聖女達が世界樹に行けるようになるまで後半年ほどは猶予があるでしょう。その間にまた俺と一緒にレベル上げしませんか?光魔法のレベルが上がらなくとも他のステータスを上げることは可能です!」

「・・・良いのかい?いや、でも私のレベル上げをしてもレオンにとってはメリットがないから、それよりフェルのレベル上げをした方が」

「お兄様と過ごせる時間が得られるのであればこれほどメリットなことはないですよ!」

「レンはいつもルーク様のことばかり話してるんですよ〜。」

「おい、こらフェル!余計なこと言うな!」

「ふふふ、そうか。レオンが良いならお言葉に甘えさせてもらおうかな。レオン、不甲斐ない兄だが、よろしく頼むよ。」

「お兄様!頭を上げてください!!本当に俺はお兄様のためにできることがあればそれで十分なんですから!」



 こうしてルークのレベル上げ第2弾がスタートすることとなった。


「お兄様、今やられている騎士団の回復については校長に頼んでおきますので、明日からまた特訓しましょう!俺は隣の部屋にいますので何かあったら呼んでください。それでは。」

「ああ、おやすみ。」 

 校長の指示通りレオン達の荷物はルークの隣の部屋に運び込まれており、すでに服なども全てきちんとクローゼットにかけられていた。


「よし、じゃあ行ってくるかな。」

「え?レン寝ないの〜?」

「ちょっと気になることがあってな。お兄様の指輪の性能確認も含めて行ってくる。ゲートを開けたままにしておくから何かあったら声かけてくれ。」

「はーい。」

「<影移動シャドウムーブメント>」


(うん、何かに感知されてるような感じもしないな。大丈夫そうだ。)



 レオンが影の中を蔦って向かった先は女子寮の一室。

「・・・でよ!もう!こんなのシナリオにないじゃない!」

(ここか。)


「この完璧美少女の私がどうしてこんな苦労しなくちゃいけないのよ!くそ、なんなのあいつ、バグ!?容姿を褒めればいいだけだったはずなのに!」

(やっぱりな。マリーは俺と同じか。)


 レオンはマリーの発言でこれまでに感じていた疑問が確信に変わった。


 マリーはレオンと同じく前世の記憶持ちの転生者。そしてキミコイのゲームのプレイヤーだったのだ。


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