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第6話 秘密の練習場

 翌日再度エマに生活魔法を習おうとするも、エマは頑なに首を横に振り、レオンに二度と15歳の成人の儀まで魔法を使わないよう何度も説いた。

「いいですね、レオン様。恐らくレオン様は他の人よりも魔法量が多いのかと思われます。ライトだったから良かったですが、他の生活魔法ですと危険があるかもしれません。15歳の成人の儀が終えるまでは魔法は絶対に使わないでくださいね!」


 エマの真剣な表情にレオンは渋々「は〜い」と返事をしたが、頭の中は魔法のことでいっぱいだった。


(さて、どうやって抜け出そうかな・・・)

  


 ♢


 その日の夕食後。いつも通りエマからのおやすみのキスでベッドに入り、エマの足音が遠退くのを確認すると、レオンは部屋を抜け出した。部屋から抜け出していることがバレると継母からの折檻があり、食事を抜かれたことがあったためやろうとは思わなかったが、そのリスクを冒してでも魔法を試してみたくて仕方なかった。


 ラッキなーことにレオンの部屋は1階の執事やメイドたちの部屋の奥にある。両親や兄の部屋は2階で、レオンの部屋はルージュの嫌がらせで光が当たりにくい角部屋にされていたのだったが、これのおかげで部屋から抜け出して外に出ることが容易だった。


 屋敷の裏に広がる森の中へレオンは走り、ある程度離れたところに少しひらけた場所を見つけた。


「・・・うん、ここなら木で僕の姿も見えないからライト使ってもバレなそうだし、ここを練習場にしよう。まずは魔法のコントロールだよね・・・確かゲームの中だと各キャラの初期ステータスで、レオンはDEX(器用さ)が低くて、攻撃力高いのにバトルで当たる確率低くて大変だったんだよね・・・」


 『キミコイ』の世界では、ゲーム序盤はヒロインと一緒にヒロインの育成と各キャラクターとのストーリーを進めて親愛度を高めていく王道のラブストーリー。そして中盤からは、魔法学校の地下にある世界を支える<世界樹>の汚れを払うため、ヒロインとヒロインが選んだ攻略対象で共に魔物と戦いながら世界樹に向かうという、バトル要素が加わってくる。

 各キャラクターの使える魔法や初期ステータス・装備は決まっており、全てのキャラクターでクリアするためには装備を整えるためにレアアイテムを求めガチャガチャを回すことが推奨されていた。この仕組みにより多くのユーザーが金を落とした。

 しかし光は課金をするほどの余裕はなかったため、毎日もらえるログインボーナスやメンテナンス後の詫び石、またチュートリアルで倒すことのできる雑魚モンスターを何百・何千と倒すことで地道にヒロインと攻略対象者のレベルを上げ、レベルアップでもらえるSPスキルポイントによってレアアイテムに頼ることなくクリアをしていたのだ。


 その中で最も大変だったのが今の自分、レオン=クラリウスだった。初期ステータスで圧倒的に高いMP(魔力)、ATK(攻撃力)を誇っている一方で、INT(知力)が低いために新しい魔法を覚えるために必要な経験値が多く、DEX(器用さ)が低いために敵に魔法が当たるかどうかが運次第だった。

 本来は初回課金の際についてくるLUK(運)値がアップするアイテムを身につけるだけでレオンはクリアできる、簡単なキャラクターなのだが、LUKは神様の定めたものという設定上SPで上げることができないため、課金をしないでクリアするという条件を加えると、非常にクリアするのが難しいキャラクターだった。


「SPをDEXにひたすら割り当てて、全体魔法攻撃を覚えられるようになるまで毎日チュートリアルのスライムだけ倒したよね・・・レベルアップするように作られなくてスライムの経験値がほとんどないから、大変だったなぁ。

 ゲームの世界だとレベルアップが必要だったけど、現実の世界でも同じなのかな?そもそも僕の今のステータスはどんな感じなんだろう・・・

 ま、考えても分からないし、スライム倒すにも魔法が使えないと意味ないから、とりあえずは生活魔法を使えるようになろう!!」


 レオンは気を取り直し、兄を想って命名した「ルークライト」をその日から毎晩部屋から抜け出しては練習を続けた。

 初めは全身から魔力の限り光が溢れ出してしまっていたライトも、1ヶ月も経つ頃には、指先だけを光らせることに成功するまでに至った。



「うん、なんとなく感覚が掴めるようになってきた!今日はそろそろ帰ろうかな。」


 その日もルークライトの練習を終え、屋敷にこっそりと戻ると、深夜の時間帯には珍しく、執事の部屋から灯りが漏れていた。

 本来ならバレる前に部屋に戻るべきなのだが、なぜかレオンは吸い寄せられるように執事の部屋に近寄っていった。



読んでいただきありがとうございます!

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