表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/102

第54話 ゲーム開始

「はぁーー。疲れた。」

 レオンはパーティが終わるとすぐに寮に戻り着替えもせずにベッドへと倒れ込んだ。


「レン、ルーク様に会えたのにあまり嬉しそうじゃないね。」

「・・・そりゃお兄様に会えたのは嬉しいけど、ちょっと考えないといけないことが増えて来てるんだよ。」

「そういう時は、はい!これどうぞ。」

 フェルはレオンに紙とペンを差し出した。レオンの悩んだ時は紙に書いて頭を整理する癖は今も変わらない。


「ありがとう、流石俺の従者だな。」

「えへへ。」

 フェルから受け取り机に向かってレオンはゲームのシナリオを思い出せた限り書き出した。もちろんこれは日本語で書いているため誰にも読めない。唯一信頼しているフェルにすらレオンは前世の記憶があること、この世界が前世でプレイしていたゲームの世界であることは伝えていなかった。


(えっと、今思い出せた攻略対象者は俺を入れて3人。南のクリス、東のジオルド。クリスの場合はハッピーエンドになるとあのバカに帝国全土を乗っ取られる可能性があるからNG。ジオルドの場合はバッドエンドでお兄様に被害が出る可能性があるからNG。

 まぁ俺の力があれば最後のエンディングだけ変えることもできる気もするが、こういうのって大体シナリオから大きくずれるようなことができないっていうのが定番だよな。

 ゲームの世界でもお兄様は俺が二学年へ進学しても学校内に存在していた。設定では弟の俺の能力が分かったことで家に戻って来なくてもいいって半ば勘当された形で、そのまま卒業しても校内で働いていてたんだよな・・・。情報を教えてくれたりするお役立ちキャラって感じだったし、優しい顔と言葉が推しだったからよく探して会ってたけど、今は当主代行業務もこなせるお兄様が卒業して公国に戻っていてもおかしくない。

 これがゲーム補正だというのなら、用心するに越したことはないよな。

 ゲームのシナリオ通りに進んでいくとしたら、主人公ヒロインは次の二学年開始と同時に入学してくる。最近世界樹の加護が弱まり始めてるって噂だし、そろそろ各国の壁を越えてモンスターが現れていてもおかしくないからな。あとは最後の攻略対象者、西の王子だっけ?こいつとはまだ遭遇してないな。

 名前が出てこないし、うーーーん。こいつのルートはなんだったかな・・・。)


「レン、そろそろ寝ようよー。あまりシワ寄せると、跡になっちゃうよ?」

「あ、ああ先に寝てていいぞ?」

「ダメ!一緒に寝るの!」

「・・・分かったよ。」

 フェルは従者用のベッドが用意されているにもかかわらず、ほとんどそちらを使うことはなくレオンのベッドで2人で眠っていた。レオンはこうなることを見込み、入寮する際の要望書に唯一ベッドは大きめのものをと申請していた。


(部屋は狭くなったけど、ベッド広くして正解だったな。)


「おやすみ!」

「ああ、おやすみ。」

 フェルがレオンに嬉しそうに擦り寄るとレオンもフェルの温もりで瞼が重くなっていった。



 ♢



「やあレオン!今日から2年生だね!また1年よろしく頼むよ。今年こそ私が首席になってみせるよ!」

「おはようクリス、ロバート。相変わらず朝から元気だな。」

 二学年に進学しても成績の順位順で振り分けられるクラスには、レオンとクリス、ロバートをはじめほとんどが同じクラスメイトで構成されていた。


「それより知ってるかい?聖女様が見つかったって!」

「・・・それは本当か?」

「レオン!クリス様のお言葉を疑うとは・・・!クリス様には各国の情報が集まってくるのだ。貴様では得られないような情報もな。」

(なるほど。諜報機関も南の大国は長けているって訳か。各国にスパイでもいるんだろうな。)


「・・・それで、どこで見つかったんだ?」

「西のヘルメス公国さ!今日そこの王子と共に入学試験を終えられて編入してくるらしいよ。どこのクラスになるかな?ヘルメスの王子は確か私たちと同い年のようだが、聖女様はおいくつだろうか。」

「・・・俺らと同い年だろう。」

「え?そうなのか?」

「ただの勘だけどな。ほら、早く席に座ろうぜ。」



 レオンの言葉通り、予鈴が鳴ると同時に教師の後につられてキラキラと輝く髪を靡かせて1人の少女が入室してきた。そして豪華な装飾の付いた服を着た男が続けて入室してきた。

 男子生徒たちはもちろん、女生徒たちですらこの少女から目が離せなくなるような、そんなオーラを纏っていた。


「今日から君たちと同じクラスメイトになります。一学年の試験範囲はお二人とも問題ありませんでしたが、分からないところもあるでしょうから、皆さん協力してあげてください。」

「初めまして、マリアンヌと申します。どうぞお気軽にマリーと呼んでください。仲良くしていただけたら嬉しいです!」

「どうも〜。皆さん俺のことは眼中にもないようだけど、これでも今は西のヘルメス公国の王子やってます、ユリウス=ライトリヒです。俺のことも気軽にユリーって呼んでね。」

 ユリウスが挨拶をしながらウインクを飛ばすと、女生徒からは黄色い悲鳴が上がった。


 ユリウスが「今は」と言ったのには意味がある。ヘルメス公国は“金”を最も価値のあるものだと考えており、国民のほとんどが商家で成り立つ。帝国内で唯一世襲制を取っておらず、一番利益をあげている家が10年間王座に座れるため、ライトリヒ家が現在は国王として君臨しているが、それも後2年の話だった。


(そうだ、西の攻略対象者はユリウス=ライトリヒ。あいつはまだ人間味のあるキャラクターで好きな方だったな。確か、金以外信用できないみたいなキャラクターで主人公ヒロインのことだけは信じられるようになる、みたいなストーリー展開だっけ。

 ハッピーエンドでは聖女の力を使ってライトリヒ家は他が真似できない圧倒的な利益を生み出し王になる、バッドエンドでも主人公を誘拐、監禁して王になるんじゃなかったっけ。こいつのルートに進んでくれるのが一番俺に取ってはいいけど、さて、どのルートに入っていくかな・・・)



 こうしてゲームのシナリオ通り、全てのキャラクターが揃い、レオンの二学年が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ