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第48話 ルークの旅立ち

「レオンは私が光の女神に会えると分かっていたのか?」

「いいえ、成人の儀の前に一度祈りを捧げた方がいいかなと思っただけですよ。」

「そうか。でもこれで私も公国のためにできることがまだまだありそうで嬉しいよ!さ、屋敷へ帰ろう。」


 レオンはルークにこう言ったが、恐らくルークが何かしらの女神の加護を受けられるのではないかと予想していた。と言うのも、ゲームの世界でのヒロインがルーク同様に成人の儀以外で女神から加護をもらったからだ。

 ヒロインは偶然にも聖人の儀の日に高熱を出してしまい、自身がなんの属性かを知らないまま過ごす。そこに世界樹の加護が弱まることで街に増えるモンスターを偶然にも倒すことになる。その後いつものように教会で祈りを捧げていると光の女神が現れ、光属性となり、あれよあれよと言うまに聖女として魔法学校に通うことになる、というあらすじだった。


(トリガーが何か分からなかったけど、教会で祈りを捧げる人はごまんといる中で、ヒロインしかやらなかったのはモンスターを倒してから加護をもらう、だと思ったんだよね。普通の人であれば15歳の成人の儀で加護をもらう儀式をしてなんらか属性持ちになってるし、属性持ちじゃなければ魔法も碌に使えないから、それまでにモンスターを倒すなんて、俺みたいな変人しかいないだろうし。

 ヒロインの容姿も関係あるかと思ったけど、お兄様ほど美しい人間もいないからここも問題なかったし、光り輝くお兄様が光属性。うんうん。当たり前の属性だよね。)


 ゲームの世界ではモブキャラだったルークの属性が何だったかは知らないが、治癒魔法が使える光属性はこれ以上にない素晴らしい属性と言えた。



 そして成人の儀を迎え、ルークはMP、ATKともにAランク、そのほかもほぼBランクと言う高水準のステータス。そして光属性ということで、この年の成人の儀はルークの話題で持ちきりになった。

 成人の儀に出席していた父ジークはルークの結果を知るなりすぐに屋敷へと向かった。


「ルーク、素晴らしい値だ。お前が日々鍛錬を怠らなかったと皆から聞いているぞ。これからも励みなさい。・・・レオン、久しく見ない内に大きくなった。」

「お久しぶりでございます、ジークお父様。」

 レオンは母が生きていた時は何度か父を見た記憶がうっすらとあるものの、それ以降顔を合わせることはなく、初めてジーク=クラリウスというこの公国の王と対面した。家にもほとんど帰らず、ルージュ達を処刑した無情な人間と思っていたが、その表情は思っていたよりも人間らしかった。


 お祝いの言葉でも言いに来たのかと思っていたレオンに対して、ジークが発した言葉は意外なものだった。


「しかし、光属性か・・・。残念だな。」

「ご期待に応えられず申し訳ありません。」

「な!お父様、お兄様の光属性ほど素晴らしいものはないじゃないですか!どこに不満があるのですか?!」

「レオン、やめなさい!」

「良い、まだ子供の言うことだ、無礼を許そう。

 レオン、幼いお前でもこの世界の成り立ちくらいは知っているであろう。我らクラリウス家は代々神に与えられた力を行使し、世界樹を守り、世界樹の加護が与えられしこの帝国内を守っている。この凍える大地、アレース公国において、必要なものは我らの守りしものを破壊せんとする敵を倒す絶対的な力だ。

 光属性は帝国にとって崇められる存在となるが、その力は癒しの力だ。ルーク、来年から帝国の魔法学校に行き、帝国のために何ができるのか励みなさい。帝国が求めるのならばそのまま帝国の指示に従え。良いな?」

「かしこまりました。」


 ジークが出ていくとレオンは怒りを爆発させた。

「なんだあれ!!お兄様の光魔法は素晴らしいものですよ!あんな奴の言うことなど聞かなくて大丈夫です。力ならば俺の力を使ってください、俺の力はお兄様の力ですから!」

「こらこらレオン、そんなことは言ってはいけないよ。でも私のために怒ってくれたんだね、ありがとう。ただ魔法学校にはお父様に反対されても行こうと思っていたから好都合なんだ。レオンに会えなくなるのは寂しいけれど、私はいまだに光魔法を1つも扱えない。MPが足りていないのかもしれないが、私のように生まれながらにステータスの低いものを救う方法がきっとあると思うんだ。

 だから私は魔法学校に入学するよ。レオンには悪いが、私が不在にする間、大抵のことはシンとリンがこなせるようになっているが、何かあった時は彼らのサポートをしてやって欲しい。頼めるかな?」

「・・・お兄様はずるいです。俺がお兄様の頼みを断らないことを分かって言っていますね?」

「ふふっ、そんなことはないさ。さ、魔法学校に入学するまでの間、これまでレオンにしてやれなかったこと、教えられなかったことをやろうね!」


 それからルークは言葉通り、レオンにマナーや剣の扱い方などを教え、レオンが望むままに一緒にピクニックに行くなど、忙しい当主業務と魔法学校の準備をやりくりしながらレオンのために時間を使った。

 そして春を迎え、ルークは帝国の魔法学校へと旅立って行った。魔法学校は全寮制、そして一度入寮するとよほどのことがない限り卒業までの3年間魔法学校のある中央都市の外に出ることはできなくなる。


「レオンならきっと魔法学校に入学してくるだろう。それまでの間に私ももっともっと勉強して、強くなるからね。待っているよ。」


 ルークはそう言い残し、馬車に乗って帝国へと向かった。レオンはルークの姿が見えなくなってもその場から離れようとはせず、フェルが引っ張るようにして部屋へと戻った。




いよいよ次から魔法学校の話に入っていきます!

前段階が長くなりましたが、ここからより恋愛シュミレーションゲームの世界に入っていくことになります。


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