表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/102

第42話 複製スキル最強

「やった、ついに・・・!フェル、やったぞー!!」

「おめでとう。」


 未開の地、アストメリアで毎日鑑定で位置を特定してはモンスターを狩る生活を続けて2年。この日レンは闇魔法の最大値レベル5に達することができた。そして脳裏にはレンが待ち望んでいた転移魔法に近いものも浮かんでくる。


「やってみるか。・・・<影移動シャドウムーブメント>」

「!?レン?どこに行ったの?」

「ここだよ。」


 レンが呪文を唱えると、レンはその場から姿を消し、フェルの影から這い出るように出現した。

「この魔法で影の中ならどこへでも移動できそうだ。ただまだ感覚が慣れていないな。影の中に入るのは簡単だけど、外の様子が分からないからどう出ていいか分からないや。レベル上げしてSPスキルポイントをDEXに振り当てまくってるけど、それでもどうしてもこれだけはやっと300いったくらいだもんな。闇魔法は中々コントロールが難しそうだから、正直俺のステータスとは相性イマイチだったなぁ・・・。」

「・・・レンの話は難しい。」

「簡単に言うと、フェルは元々足が速かったり力が強かったりするだろ?でも逆に魔力がないから魔法は使えない。こう言うのを俺は鑑定スキルで数値化してどれだけの強さかどうか見ることができるんだよ。で、俺は生まれながらに魔力が高くて力もそれなりにあるんだけど、DEX、つまりコントロールする力が弱くて魔法を扱いこなせてないんだよ。」

(本来はINTも低いから魔法を覚えるのに時間かかるみたいだけど、日本語で唱えれば使えるからこれは低くてもなんとかなってるんだよな。)


「・・・力が分かるなら複製コピーすれば良い。」

「え?複製って、そんなことできるのか?」

「分からない。複製スキルでは自分が対象のスキルを把握していないとできない。だから普通はできないと思う。でもレンならできるかもしれない。」


(確かに。魔法と違って本来能力値は目に見えるスキルではないから複製はできないと思ってたけど、俺の鑑定スキルがあれば数値化されているし・・・)


「やってみる価値はあるな。フェル、お前のスキルを複製してみてもいいか?」

「私はレンの奴隷。好きにしていい。」

「サンキュな。よしっ、じゃあフェルの方が俺より高いのはAGI(素早さ)か。これを、<複製コピー>・・・おっ本当にフェルと同じ数値になってる!!体もグッと軽くなった気がする!」

 レンが近くを走り回ると、これまでの何倍もスピードが出た。


「ふふっ、やっぱりレンはすごい。」

「あーこんなことならもっと早くに気がつけばよかったなぁ。失敗した。」

「そんなことはない。これはあくまでも複製。身に余る力を手に入れても使いこなせない。」

「まぁ、そっか。昔の俺がフェルのスピードを手に入れても身体が追いつかなかったかもな・・・。複製は万能じゃないってことか。」

「そう。私は魔力がないから複製スキルをそもそも使えない。ヘレナ様が言っていた。複製をするのには膨大な魔力が必要だと。でもレンなら使いこなせる。」

「確かに。今のだけでMP500消費してる。でも俺はもう1000超えてるからなんとかなったけど、これは一回でMP切れもあり得るのか。でも気をつければこれはすごいスキルだ!どんな魔法もコントロールできるように、DEX値を上げれるよう、これからはモンスターのステータスも確認しながら狩ろう!」



 そしてレンは翌日から無作為に近くのモンスターを狩っていくのではなく、鑑定スキルで探し出したなるべくレベルの高いモンスターの元へと向かった。


 【オーガ:Lv10 HP345

  攻撃力が高く、非常に獰猛。争いを好み、動くものにはすぐに襲いかかってくる。角は装備品にするとステータスに影響がある】


「オーガのATKは520。俺が400だから120上だな。これは<複製コピー>っと。角はせっかくだからもらっとこうかな。よし、頭だけ残るよう<常闇孔ブラックホール>!」


 レンが唱えるなりオーガの体は暗闇に吸い込まれ、思惑通り頭だけが取り残された。

「よし、この角は切り落としたら、<闇空間ダークスペース>」

「レン、何してるの?」

 レンが通常ならば高ランクのモンスターのオーガを最も簡単に倒し、楽しそうに角を宙に出現した暗闇の中に入れていく姿は、流石にフェルの目にも不審に写っていた。


「あぁ、闇魔法のレベルが最大になったからさ、こんなのできないかなって思っていたのが全部使えるようになったんだよ。これはアイテムボックス、つまりこの中になんでも仕舞えて、いつでも取り出せるって感じかな。」

「すごい・・・。でもこのオーガまだ生きている。」

「え?頭と体を切り落としたんだぞ?」

「モンスターは核が壊れないと完全には消滅しない。これはまた身体が再生する。」

「すごいな。じゃあフェルが倒してみてくれ。俺の特訓に付き合ってばっかで、フェルはあんまりレベル上げしてなかったしな。」

「いいの?ほとんどレンが倒したのに。」

「俺はもうレベルも35だし、十分だよ。後は複製スキルで不足分を補うだけだからな。もしフェルが良ければ一緒に戦えるよう、もっと強くなっていて欲しいんだ。」

「・・・私はレンの奴隷。レンが望むなら強くなる。」

 フェルはそういうとオーガの頭を殴り、頭の中になった核と呼ばれる丸い球が粉砕するまで殴り続けた。



 その後レンとフェルは強いモンスターを求め、どんどん奥へと進んでいった。

 どんなに強く素早いモンスターがいても、都度複製スキルで同等の力を取得するレンに対して、敵はいなかった。レンが身体が動けなくなるまで攻撃し、フェルが核を壊して経験値を獲得する。2人は順調に未開の地を攻略していっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ